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飛来峰記事

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香川県保険医協会報2020年4月号の「主張」欄に、新型コロナ感染症流行による「医療崩壊」を防ぐために、と題する文章を掲載しました。少し古い話題ですが、内容は今も通用するものなので、掲載します。

2020年4月7日に7都府県に発令された「緊急事態宣言」は、対象が全国に拡げられた後、5月15日に香川県など39県が解除されました。これからの医療体制に求められる問題点を考えてみます。

新型コロナ感染症の新規患者は減少しています。しかし、これまでのPCR検査数が余りに少ないため、現状が十分把握できていません。抗体検査をはじめ様々な検査法が開発されていますから、感染の拡がりを明確にする必要があります。

今後起きるかもしれない爆発的流行に備え、PCR検査などが、医師の判断により速やかに行えるよう体制の整備が必要です。検体採取に危険を伴う場合の検査場所の確保や必要物品の備蓄なども重要です。地域により異なりますが、発熱外来などの整備も検討課題です。

陽性患者の家族内感染を防ぐため、ホテルや施設などで一定期間隔離が可能な体制も重要です。

入院患者の振り分けも大事で、各病院の専門性、検査器械、個室数など難しい問題はありますが、今ある「調整会議」を活用し、重症度に応じた入院体制の準備が必要です。

市中にはマスク等が流通し始めていますが、臨床現場ではマスク、フェイスガード、エプロン、消毒用物品などが不足しています。多くの医療機関で、使い捨てのマスクを何日も使用する、洗って再利用するなどの例もあります。感染者対応時に必須のN95マスクも繰り返し使用するなど、やむを得ず本来の使用法とは異なる対応をしている実態もあります。

必要な物品が医療機関に届けられるように、政府・自治体に求めるものです。

多くの医療機関で3月以降、特に4月は外来患者数の激減、検診の中止・延期が多い、感染を恐れる利用者が続出しデイケアやデイサービスの利用者減など、経営的に苦境に立たされているのが現状で、保障が必要です。検査や治療に携わる医師・看護師など職員の「危険手当」など処遇の面も対応が必要です。

今後とも協会として、現状を把握し必要な提言を行う予定です。

香川県保険医協会は、6月下旬に医療機関の経営に関するアンケート調査を行い、メディアに情報提供を行い、6月30日に香川県知事に要望書を提出しました。

「すべての医療機関の減収補填に関する要望書」と題する文書の内容(大要)を紹介します。

この間、マスク不足や深刻な患者減・収入減など、会員等にアンケート調査を行い、貴職に要望や申し入れを行い、メディアにもデータを公表したところです。

5月度の医療機関の実態について調査を行いました。

5月の外来患者数は昨年に比し減少、昨年は大型連休の影響で診療日数が少なく、それとの比較でもさらに減少している点が特徴です。約9割の病院で15~30%減、医科診療所でも7割以上が15~30%減、歯科診療所では8割以上が15~30%減で、新型コロナ感染症の医療機関への影響が大きく現れています。

収入面では病院は100%が減収、医科では9割以上、歯科では7割以上、合計して8割以上の医療機関で減収となり、3割近い減収です。この状態が続き、適切な支援がなければ、地域の第一線医療が壊滅的な状態になることも考えられ、国や県などの支援が必須であると考えます。

この間、感染患者を受け入れている病院への支援が強化された一方で、感染患者を受け入れていない病院・一般診療所への支援(減収補填)は見送られています。第一線医療を守り、新型コロナ感染症対応する医療機関の負担を軽減するうえでも、すべての医療機関への減収補填が求められています。地域医療を守り、医療崩壊を防ぐために、以下の施策の実現を強く要望いたします。

[要望項目]

一、医療機関の保険診療減収分について、公費による補填を行ってください。

一、予想される感染流行に対する、マスク等の物品の確保を行ってください。

6月27日に、要介護認定の申請件数について「新型コロナウイルス感染拡大の影響が深刻化した3月以降、全国で大幅に減少していたことが26日、時事通信の調査で分かった。必要な人がサービスを受けられていない可能性が高く、専門家は筋力や認知能力の低下につながると懸念する」と時事通信が報じました。

「都道府県庁所在地(東京都は新宿区)と政令市の計52市区に、1〜5月の要介護認定の新規申請件数などを尋ね、昨年の同期間と比較」「コロナの影響が少なかった1月は増加と微減が大半で、全国の申請総数は昨年並みだったが、その後は感染拡大に比例する形で減少。5月は全市区でマイナス」になったというものです。

感覚的なものですが、意見書作成件数が減ったような気もします。来週予定されていた、介護保険認定審査会も早々と「資料の不揃いにより中止」と連絡が来ました。

介護保険の意見書には「新規」「区分変更申請」「更新申請」があります。「区分変更申請」は、期限はまだあるが状態が変わった、例えば脳卒中後遺症や骨折で介護の手間が増えた場合で、これは新型コロナ感染症とは関係ないように見えます。

「更新申請」は、4月7日に厚労省が事務連絡を発出し「新型コロナウイルス感染症への感染拡大防止を図る観点から」「要介護認定及び要支援認定の有効期間を、従来の期間に新たに12ヶ月までの範囲内で市町村が定める期間を合算できること」としました。

つまり市町村の判断で最長1年まで延ばせることになったので、その分対象患者は減るのですが、問題は、「新規」の申請をためらう、「更新申請」もためらう可能性はないのか、ということです。

「新規」が減少したのは上記の通り明確ですが、「区分変更」も新型コロナ感染症に遠慮してはいないか、きちんと見ていく必要があると思います。

6月25日に高松市内で、香川医療生協の41期第52回通常総代会が開催されました。総代定数250名(欠員2名なので総数248名)中、248名全員の出席ですが、新型コロナ感染症対応のため可能な限り書面議決をお願いし実出席は10名、他は書面議決での参加となりました。

とはいっても、現理事、新理事、要員等の出席が必要ですから、人と人との間をあけるのに苦労しました。

提案されたすべての議案が賛成多数で議決され、新しい理事会が選出されました。同日開催された第1回理事会で、私は再び代表理事理事長に選出されました。

総代会での開会あいさつの大要を紹介します。

今年の総代会は、新型コロナ感染症が全国で終息の目途が立たない中で開催されます。香川県では、2か月余り新規感染者がでていない状態ですが、まだまだ予断を許せない中での開催となり、例年とは異なる形となりました。

浜田恵三香川県知事、大西秀人高松市長をはじめ、多くの行政・保健関係者、協同組合等から暖かいメッセージをいただいています。

さて、2019年度は、前年度から続く経営改善の取り組みが最大の課題でしたが、役職員・地域組合員さんの取り組みにより過去最大の経常利益をあげることができました。心からのお礼と、この結果にともに喜びを分かち合いたいと思います。

この一年間は、「協同の力で、いのち輝く社会をつくる」をテーマに、医療生協の「る・る・ぶ」で活動にとりくむ、日本国憲法が活きる平和な社会と、くらし安心の社会保障をつくる、に取り組んできました。幅広い活動で大きく前進したことを確認したいと思います。

2020年度方針については、討議途中から新型コロナ感染症の問題が発生し、大きく改善した経営に暗い影を投げかけています。「緊急事態宣言」解除を機に、再度仕切り直して取り組みを進めていきたいと思います。

また、組合員活動も一時期中止を余儀なくされましたが、新型コロナ感染症に十分留意しながら再開し始めたところです。新たな情勢での組合員活動のありかたについて、経験交流を行いながら、発展させていきたいと思います。

地方政治新聞「民主香川」に、「診療報酬の20改定を考える」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年4月19日付(第1845号)に掲載した、(その1)の後半です。

さて、診療報酬改定は安倍政権発足時以来、消費税増税の補填などを含む名目数値はともかく、実質改定率ではマイナス改定が続いています。14改定はマイナス1.26%、16改定はマイナス1.31%、18改定はマイナス1.19%、20改定ではマイナス0.46%でした。安倍政権下で通算5%近い削減が行われたことになります。

今回の改定は、改定項目でみると率直に言って、あまり大幅な改定ではないように見えます。これまでのように、病床の新しい仕組みの導入や、外来医療を大きく変えるような制度の導入などがあったわけではありません。

 今回改定の特徴点は、以下の点です。

①初診料や再診料、入院料等の基本診療料等の本体点数(基本的な部分の評価)は全く引き上げられませんでした。

②検体採取(採血時の評価など)、院内調剤、注射、処置、点数などの汎用点数(よく使われる部分)が引き上げられました。

③救急医療体制の評価として、救急車・救急ヘリによる搬送件数が年間2千件以上ある地域の救急医療基幹病院を対象に、地域医療体制確保加算が新設されるなど、救急医療の集約化が図られました。また、入院医療の再編・統合を加速するために、「重症度、医療・看護必要度」を強化しています。これは、公立・公的病院の再編や引き続く民間病院の再編に続くものと考えられます。

④医師の働き方改革については病院勤務医だけが対象ですが、医師事務作業補助体制加算、看護補助者の配置や、看護職員・看護補助者の夜間配置に係る点数が引き上げられました。施設基準でも、常勤者要件の緩和や、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算で要件を満たす取り扱いがいくつかの点数で取り入れられています。

※今回改定は、技術料など本体でプラス0.55%、薬価・材料価格がマイナス1.01%です。

地方政治新聞「民主香川」に、「診療報酬の20改定を考える」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年4月19日付(第1845号)に掲載した、(その1)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。しかし、今回は新型コロナ感染症の蔓延のため異例の経過となりました。

病院協会等が行う中央の説明会が中止、厚労省による地方厚生(支)局、都道府県幹部職員向けの説明会も中止になりました。

診療報酬改定時に各地方で行われる、集団指導(診療報酬改定説明会)も、2月25日に決定された新型コロナウイルス感染症対策本部の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に従い、中止されました。

保険医協会が行う、改定内容がわかりやすいと評価の高い」「新点数説明会」も中止、協会会員を対象とするWEB説明会に変更になりました。

最初に述べた「集団指導」とは、講習会形式で、①保健医療機関の新規指定時、②指定更新時、③診療報酬の改定時など、必要に応じて実施されるものです。

「指導」とは、95年12月に定められた「指導大綱」等に基づいて行われ、「保険診療の取り扱い、診療報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを主眼」として行う行政指導です。

一方、「監査」とは「不正・著しい不当が強く疑われる保険医療機関」に対して行われるもので、行政が強制的に行う質問・検査で、注意・戒告・取消処分が行われることがあります。

定期的に保健所が行う「立入検査」や、厚生支局の「適時調査」と、不正が疑われて行う「監査」との違いを理解できていない人が、安易に「今度、監査がある」などと口走ることがあります。いらぬ誤解を生むので、困ったものですが。

河野太郎防衛相は15日、山口県と秋田県で進めていた地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(地上イージス)の配備計画を停止すると発表しました。地上イージスから発射される改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」は、発射後分離する推進エンジンを周辺住宅などに落下させないためには大幅改修が必要と判明したため、と説明しています。

要するに北朝鮮から発射されたミサイルを打ち落とそうとしたら、地上イージスが発射したミサイルの部品がどこにおちるかわからない、ということです。この計画に賛成の立場ではありませんが、どこに落ちてもいいように周辺に人家や重要施設がないところに作れば、多少ずれても心配ないはずです。

ルーマニアにも地上イージスが配置されています、約900ヘクタールの面積を持つルーマニア陸軍基地内の米軍基地。基地の周囲には原野や農地が広がり、最も近い人口約3200人の村までは約4キロの距離があります。

一方の秋田県の新屋(あらや)演習場は、演習場の至近から住宅地が切れ間なく広がり、フェンスから500メートル圏内に勝平小学校、勝平中学校、秋田商業高校があります。そもそも、南北2キロ、東西800メートルと限られた土地しかないところに作るのは無理な話です。

ではなぜ秋田なのか。元秋田大准教授の福留高明さんが作成し、フェイスブックに投稿した地図では、「北朝鮮からハワイ、グアムへの最短経路が直線で描かれる図法を用いた。地上イージスの配備候補地とされる秋田市と山口県北部が直線とほぼ重なっていることが分かる」とされています。

そうでなくても、新型コロナ感染症対策で、赤字国債を大量に発行しながら対策が必要な状態です。不要・不急な予算措置は速やかに中止すべきです。

※イージス・アショアについては、秋田魁(さきがけ)新報の連載が役立ちます。会員登録すると、毎日1本ずつ記事を読むことができます。お勧めですね。
https://www.sakigake.jp/special/2019/aegis_shield/

香川県保険医協会は、5月25日~30日にかけて、会員アンケートを行いました。その結果の概要は、6月9日付本欄に紹介しましたが、まとめの文章を紹介します。

以上の集約結果から、外来・在宅における受診抑制が顕在化している。5月以降にもこの様な状況が続くと一次医療が成り立たなくなる。今後、2波・3波の感染拡大が予想されているが、新型コロナ感染患者やその疑いのある患者に対応する医療機関だけでなく、第一線の医療を担う地域の医療機関がその役割を果たせ持たなくなる。

医療の「公共性」「公益性」から考えて、一次医療を支えている開業医、民間の病院・医院・歯科医院が診療を継続し、地域住民に安心・安全な医療を提供し続けるためには、公的に財政支援や物資等の支給が緊急に求められる。

保険医協会の全国団体である全国保険医団体連合会が、5月25日に記者会見を行い、全国の保険医協会が取り組んだアンケート調査の中間集約を発表した。その内容と、香川の結果はほぼ同一の傾向となった。

香川県保険医協会は、5月25日~30日にかけて、会員アンケートを行いました。その結果の中間まとめについては、5日付「毎日」が報道しました。最終まとめは9日に記者発表する予定でしたが、会見場である県政記者室は「3密」の可能性が高いので、やるなら協会で会場を準備してほしいという幹事社からの連絡が直前にあったため、やむなく中止となりました。

データは各社に届けていますが、その概要について取り上げたいと思います。

30%近い回答率で、切実な声と感じられました。調査は、昨年4月と本年4月の数値の比較です。
患者数は、9割以上の医療機関で患者減がおき、医科診療所では殆どすべてで患者減が起きている。医科診療所では4分の1以上が30%以上患者減と回答した。

患者からの予約の延期やキャンセルについては、全体に増加しているが、歯科で予約延期やキャンセルが顕著である。医科診療所・病院でも5~6割ある。厚労省が緊急性のない歯科治療は延期するよう連絡文書を出した影響も考えられる。

保険診療収入は、圧倒的に減少。4分の1以上の医科診療所で減収となっており、病院は100%が減収。歯科も9割近くが減収となっている。数字は4月分であり、5月はさらに減収が予測されている。

第2次補正予算での医療機関対策は、新型コロナ感染症を直接診療している医療機関が対象であり、一次医療を担う診療所などは対象外であり、医療機関全体に対する対策が必要です。

5月25日付の続きです。

医療機関の経営問題は、5月28日に行われた医団連(※)が行った「SOS 新型コロナで、医療も介護も未曽有の経営危機に 医科、歯科、介護、保険薬局、鍼灸院などへの経済支援を求める緊急会見」が反響を呼び、メディアも大きく取り上げるようになっています。

往診をしていても、病院が大変なんですね、患者さんは減っているんですかと、患者さんやご家族から声をかけられるようになりました。医療福祉生協連加盟の院所でも、マスコミ報道があっただけでも、4月単月で1億円の赤字(関東地方)、1.2億円の赤字(九州・沖縄地方)、5千万円の赤字(近畿地方)など、大変な状態になっています。これほど巨額でなくても、ほとんどの病院・診療所で、検診の中止、外来減、デイケアの減などで大きな影響を受けています。医療・介護・福祉事業は営利事業ではありません(介護は営利企業が参入していますが、撤退をしている企業もありますから、儲けは少ないということです)。水や空気、道路のような公共性をもった「社会的共通資本」(※2)です。これを守るためには、あれこれの施策だけではなく、直接経営を支援する取り組みが必要です。

※医団連:医療団体連絡会議
全国保険医団体連合会(保団連)・全日本民主医療機関連合会(民医連)・日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)・新日本医師協会(新医協)・日本医療労働組合連合会(医労連)

※2:「社会的共通資本」とは、故・宇沢弘文さんが提唱した言葉。岩波新書に詳しい。

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