第1195回:医療福祉生協連10周年記念誌が発刊されました(その1)

日本医療福祉生活協同組合連合会は、2020年に10周年を迎えました。2020年9月に10周年記念行事を行う予定でしたが、コロナ禍で中止を余儀なくされました。10周年記念誌の発刊も延期され、この程発刊されることになりました。

私の執筆した部分を2回に分けて紹介します。タイトルは「医療福祉生協の理念」と「いのちの章典」をつくる、です。

日本生協連医療部会は、91年5月に「医療生協の患者の権利章典」(以下、「権利章典」)を策定、05年4月に「組合員・利用者・職員がともにめざす医療生協の介護」(以下、「介護」)を策定し、さまざまな活動を行ってきました。

医療部会創立50周年を迎える年、07年5月に第4次5か年計画を確定します。「-健康をつくる。平和をつくる。-地域の思いを協同の力で『かたち』に変える」(以下、「『かたち』プラン」)です。この中で、「50年の医療生協運動の大きな前進は、保健・医療・福祉という『いのち』に直接かかわる分野を住民参加の生活協同組合で担うことの優位性を物語っています」と評価すると同時に、「権利章典」や「介護」に基づく実践が医療生協の特徴であると断言する状況ではないこと、そして、「権利章典」と「介護」に基づく活動を基準としたサービスで地域の信頼がよせられていることを12年のあるべき姿としました。

10年10月、医療福祉生協連が事業を開始しました。「権利章典」「介護」の2つの文書を引き継ぐ新しい文書について、11月に「患者の権利章典検討小委員会」をつくり、検討を開始しました。

「権利章典」の実践を振り返り、よい医療とは何か、いつまでも人間らしくにこだわる介護、医療生協の健康観、健康習慣、まちづくりの活動など前進面を確認しました。また、タイトルに「医療福祉生協」をつけるか、医療だけでなく介護も含めた視点が大事、憲法のどの条項を反映させるのか、協同組合という観点が弱いのではないか、95年のICA声明の到達点を反映させる、個人情報保護や自己情報コントロール権の視点、患者・利用者ともに医療の安全性について高める視点、患者・利用者と医療・福祉従事者が立場や役割の違いを認めながら協同することを強調するなどを中心に議論を進めました。