毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

飛来峰記事

香川県でも、新型コロナ感染症が発生しています。東京や大阪ほどではありませんが、現場で仕事をしているとり少しずつ増加しているという感じです。

一方、感染した患者さんや勤務先の会社等や同僚に対する、いわれのない非難が聞こえてきます。

香川県の浜田知事は、県内で感染者やその家族、それに医療関係者などへのひぼう中傷が確認されているとしたうえで「戦うべき相手は人ではなく、ウイルスです。正しい情報のもとに冷静に一丸となってウイルスと戦っていきたい。差別や偏見、ひぼう中傷は行わないようお願いしたい」と呼びかけました。

全国知事会も、「おもいやり」と「やさしさ」の輪を広げましょう、として以下のような呼びかけを行っています。

私たちが闘う相手は、新型コロナという「ウイルス」であって「人間」ではありません。みんなの隣人を責めてもウイルスは無くなりません。

新型コロナは、あなたご自身も含め誰もが感染しうる病気です。

新型コロナとの闘いを克服していくため、ひとりも取り残されず、みんな人間として、命も健康も、そして平穏な暮らしも、私たちみんなの決意と実践で守り抜いていきましょう。

患者・家族など新型コロナウイルスと闘う方々に対する差別的扱いや誹謗中傷は、絶対に許しません!

医療従事者をはじめ、新型コロナ治療や社会機能維持のため頑張る方々に感謝し、応援します!

都道府県境を越えて来られる方々を非難したり、傷つける行為をせず、お互いに尊重し合います!

奈良県天理市の並河健市長は、自身のフェイスブックで、以下のように呼び掛けています。こういった声を拡げていくことが重要だと思います。

全文は長文ですが、ぜひお読みください。

天理大学ラグビー寮での集団感染の発生に関連し、天理大学学生全般に対する不当な扱いの是正を求めた天理市長として、クラスターが発生した団体に「謝罪」を求めることについての見解を申し上げます。ポイントは以下の3点です。

● 感染の発生について、どう表現するか、当事者以外が口出しすべきでない。

● 風評被害も、不当な扱いも根っこは同じ。社会の「謝罪」圧力が原因。

● 謝罪を求め、傷つけ合い、萎縮する悪循環を見つめ直さない限り、薬やワクチンができても、日本社会は真に「コロナ禍」を克服したことにはならない。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年6月21日付(第1851号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その1)の後半です。

5月28日に医団連(※)が記者会見を行い、医療・介護の現場が新型コロナ感染症の影響により経営危機に陥っているとして、国が減収分を全額補てんするなどの支援策を求めて安倍晋三首相、加藤勝信厚生労働相あてに緊急要請書を提出しました。

この要請の前後から、メディアでも医療機関の経営問題が大きく取り上げられるようになりました。記者会見で配布された資料から引用します。

民医連では、3・4月の外来患者数は前年同月比で2割前後の減少、外出自粛や風評被害、院内感染等への不安からくる受診控えが生じている。検診は、特定健診や企業検診がストップしている影響で、4月は激減している(5月はほぼゼロ)。

入院患者数は感染拡大地域を中心に減少、感染者や感染が疑われる患者を受け入れている病院では、空床確保や多床室の個室化などによる入院制限のため患者数が減少している。

介護分野では、感染リスクを避けるために利用者が減少、事業そのものを休止したり、感染対策にかかる費用増などにより経営が困難になっている。

そのため、経営への影響は、67.6%が「深刻」、30.6%が「一定影響がある」と回答。影響が長引いた場合、資金ショートが起きる可能性があり、6月末が10.1%、7月末が17.5%など、約半数が上半期のうちに、4分の3が年度内には資金破綻の可能性があるとしました。

福祉医療機構の無利子無担保融資を利用したり、利用予定の法人もありますが、借金であることにかわりはなく、将来に膨大なツケを回すわけで根本的な解決策にはなりません。

これは民医連に特徴的な問題ではなく、すべての医療機関に共通の問題です。

民医連の緊急要望として、①新型コロナウイルス感染患者・利用者(疑い含む)への対応による、特別の負荷に対する適切な財政支援(PCR・抗体検査等の不備による救急 病院での疑い患者入院を含む)、②個々の責任に帰せない損失(患者減少・収益減少)に対する財政支援などを求めています。

※医団連(医療団体連絡会議)は、保団連(全国保険医団体連合会)、民医連(全日本民主医療機関連合会)、医療福祉生協連(日本医療福祉生活協同組合連合会)、新医協(新日本医師協会)、医労連(日本医療労働組合連合会)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年6月21日付(第1851号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その1)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。その特徴について連載を始めましたが、新型コロナ感染症の蔓延のため、臨的な措置ですが、診療報酬制度が次々と変更になりました。

この変更は一時的なものとされていますが、新型コロナ感染症が終息を見たわけでもなく、いったん連載を中断しました。

そういう訳で新型コロナ感染症が医療に与えている影響についてしばらく連載をすることにしました。

厚生労働省が国内での感染者を初確認したのは、1月16日です。この感染者は武漢市に滞在後、日本に帰国した中国人とされます。その後2月1日にクルーズ客船から下船した旅客の感染が確認され、一気に国内外での感染が広がりました。

当初は、マスク不足など物品不足の報道が中心でした。
その後、発熱が4日続かないと診断のためのPCR検査が受けられない、入院が必要であっても入院ができない、発熱しているだけで診察を断られる患者が続出するなどの問題点が出てきました。

これらの問題は後日検証していきたいと思います。今回は、新型コロナ感染症蔓延に伴い、医療機関にどのような影響が出ているかについて触れたいと思います。

10日付「朝日」は、「東京の医療 逼迫せず」を否定した医師は、というタイトルで、杏林大病院(東京都三鷹市)の山口芳裕・高度救命救急センター長インタビューを掲載しました。

新型コロナウイルスの感染状況などを分析する東京都の会議でそう訴え、医療体制に余裕があると強調する政府に疑問を呈した。と報じました。

杏林大病院でも、7月後半から感染者の入院や、感染が疑われて救急搬送されてくる「疑い患者」が増えてきました。そのたびに救命救急センターでは、(高性能な)N95マスクやガウン、手袋などフル装備で対応します。感染者用の病床をふやすのは簡単ではない、患者の転院や、準備期間を考えると、病床が不足する事態に陥ると指摘しています。

確かに、3月や4月の時期には、手術の延期や入院受け入れの延期などで感染症に対応する病院は感染者のための病床確保ができました。しかし、そのため多くの医療機関で大きな赤字を抱えることになり、大病院の中では夏のボーナスはゼロにするというところまで出ました(その後支給されるようになったようですが)。このまま、手をこまねいてみていたら、病床確保が困難になるのは目に見えているのではないでしょうか。

山口医師は「新型コロナへの対応は短期間では終わりません」「社会と医療がコミュニケーションをとりながら、対策をしていかねばなりません」「国民と医療の信頼関係が必要」と強調しています。まったく同感、という感想を持ちます。いまこそ、新たな対応が求められています。

メディアの報道によれば、8月4日大阪府の吉村知事が会見を行い、新型コロナウイルスの軽症者に「ポビドンヨード」を含んだうがい液でうがいを実施した結果、陽性になる頻度が下がったと明らかにしました。「皆様もよく知っているうがい薬を使ってうがいをすることによって、コロナの患者さん、コロナがある意味減っていく。コロナに効くのではないかという研究が出ました」(TBS NEWS)という発言です。

この話のおかしなところは、「うがい」という行為に効果があるのか、「ポピドンヨード」に薬理学な効果があるのかがよく分からないということです。
「すべての傷にポピドンヨードを使用するのは不適」、というのが医学的常識です。症例を選べば有効という意見もあり、100%ダメということではありませんが。

吉村知事の発言は、翌日に「コロナを予防できるものではありませんが、唾液を介して人にうつすリスクを抑制し、感染拡大防止に寄与する可能性がある」とトーンダウンしましたが、知事が「コロナに効くのではないか」といえば、多くの府民・国民がドラッグストアなどに買いに走るのは容易に想像できることです。

特定のうがい薬の効果が正しいのかどうかはともかく、自分の発言の影響を考えなかったのかと疑問を持つものです。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年5月17日付(第1848号)に掲載した、「診療報酬の改定を考える」(その2)の後半です。

こういったことを背景にして、2040年を展望した「だれもがより元気に活躍できる社会の実現を目指す」ための政策課題を3つ挙げています。

具体的には、以下の分野です。
①多様な就労・社会参加として、雇用・年金制度改革等
②健康寿命の延伸として、健康無関心層へのアプローチの強化と地域・保険者間の格差の解消を目指す。そのために、以下の 3分野を中心に、取組みの推進を目指しています。
 ・すべての人の健やかな生活習慣形成
 ・疾病予防・重症化予防
 ・介護予防・フレイル対策、認知症予防
③医療・福祉サービス改革として、
 ・ロボット・AI・ICT等の実用化推進、データヘルス改革
 ・タスクシフティングを担う人材の育成、シ ニア人材の活用推進 ・組織マネジメント改革 ・経営の大規模化等

そして、これらを実現するために、引き続き取り組む政策課題として、「給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保」としています。

前置きが長くなりましたが、こういった観点で診療報酬改定が行われていることになります。

横文字や耳慣れない言葉が続出するため、少し解説します。

新体力テストとは、東京オリンピックを契機に国民の体力・運動能力の現状を明らかにする目的で行われた「体力・運動能力調査」を見直し、国民の体位の変化や高齢化を踏まえ、1999年から導入されたもの。垂直跳びや背筋力などが除かれ、長座体前屈(足を伸ばした状態で座り、どれくらい体を前に倒せるか)などが追加されている。

タスク・シフティングとは、2012年11月20日に開催された「第29回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の資料によれば、「医行為の一部の他の職種への委譲」のことで、簡単に言えば医師でなければできない行為を他の職種に移行すること。じゃあ、日本語で言えばいいのにという気がします。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。
2020年5月17日付(第1848号)に掲載した、「診療報酬の改定」を考える(その2)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。その特徴と今後の厚労省の狙いについて、しばらく触れます。

厚生労働省の「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の初会合が2018年10月22日に開催されました。

その中で、2019年「10月の消費税率の引上げによって、2025年を念頭に進められてきた社会保障・税一体改革が完了」したとし、「今後、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年を見据えた検討を進めることが必要」と指摘しました。

2040年を見通すと、担い手である現役世代が減少する一方、高齢者は従来に比し、「若返り」が見られるとしています。

文部科学省の「平成28年度体力・運動能力調査」によれば、65歳から79歳の高齢者における握力、上体起こし、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行などの体力は年々向上傾向が認められています。

男性でも女性でも、2016年の「70歳から74歳」の新体力テストの点数は、1998年の「65歳から69歳」の点数を上回っています。同じく2016年の「75歳から79歳」の点数は男女とも1998年の「70歳から74歳」を上回っています。体力面でみると約20年間で5歳程度若返っていることになります。

また、内閣府のアンケート調査で、「高齢者とは何歳以上か」という質問に対し、1998年度は「75歳以上」または「80歳以上」と答えた人を合わせて24.4%だったのに対して、2012年度には合わせて36.5%と増加しています。

協会けんぽや健保組合などの医療費を取り扱う支払基金(社会保険診療報酬支払基金)と、国民健康保険や後期高齢者医療保険の医療費を取り扱う国保中央会(国民健康保険中央会)が4月診療分の確定数値を発表しました。

請求点数でいうと、入院では、支払基金が7.3%減、国保は7.1%減、後期高齢者が5.7%減でした。医科外来では、それぞれ16.9減、13.7%減、10.1%減でした。歯科では、それぞれ13.3減、19.3%減、17.2%減でした。

金額に換算すると(1点10円)、入院は908億円減、医科外来は1,893億円減、歯科は414億円減、総計3,215億円の減になります。単純計算で年に換算すると4兆円近い減になります。都道府県別でみると、東京都や神奈川県など首都圏の減少が著明です。

「朝日」によれば、いわゆるアベノマスク(布マスク)を、「今後さらに約8千万枚を配る予定であることが厚生労働省などへの取材でわかった」としています。マスクが必要であることは間違いありませんが、緊急の政策としては、医療機関への直接的な支援が必要なのではないでしょうか。

香川県保険医協会報2020年4月号の「主張」欄に、新型コロナ感染症流行による「医療崩壊」を防ぐために、と題する文章を掲載しました。少し古い話題ですが、内容は今も通用するものなので、掲載します。

2020年4月7日に7都府県に発令された「緊急事態宣言」は、対象が全国に拡げられた後、5月15日に香川県など39県が解除されました。これからの医療体制に求められる問題点を考えてみます。

新型コロナ感染症の新規患者は減少しています。しかし、これまでのPCR検査数が余りに少ないため、現状が十分把握できていません。抗体検査をはじめ様々な検査法が開発されていますから、感染の拡がりを明確にする必要があります。

今後起きるかもしれない爆発的流行に備え、PCR検査などが、医師の判断により速やかに行えるよう体制の整備が必要です。検体採取に危険を伴う場合の検査場所の確保や必要物品の備蓄なども重要です。地域により異なりますが、発熱外来などの整備も検討課題です。

陽性患者の家族内感染を防ぐため、ホテルや施設などで一定期間隔離が可能な体制も重要です。

入院患者の振り分けも大事で、各病院の専門性、検査器械、個室数など難しい問題はありますが、今ある「調整会議」を活用し、重症度に応じた入院体制の準備が必要です。

市中にはマスク等が流通し始めていますが、臨床現場ではマスク、フェイスガード、エプロン、消毒用物品などが不足しています。多くの医療機関で、使い捨てのマスクを何日も使用する、洗って再利用するなどの例もあります。感染者対応時に必須のN95マスクも繰り返し使用するなど、やむを得ず本来の使用法とは異なる対応をしている実態もあります。

必要な物品が医療機関に届けられるように、政府・自治体に求めるものです。

多くの医療機関で3月以降、特に4月は外来患者数の激減、検診の中止・延期が多い、感染を恐れる利用者が続出しデイケアやデイサービスの利用者減など、経営的に苦境に立たされているのが現状で、保障が必要です。検査や治療に携わる医師・看護師など職員の「危険手当」など処遇の面も対応が必要です。

今後とも協会として、現状を把握し必要な提言を行う予定です。

香川県保険医協会は、6月下旬に医療機関の経営に関するアンケート調査を行い、メディアに情報提供を行い、6月30日に香川県知事に要望書を提出しました。

「すべての医療機関の減収補填に関する要望書」と題する文書の内容(大要)を紹介します。

この間、マスク不足や深刻な患者減・収入減など、会員等にアンケート調査を行い、貴職に要望や申し入れを行い、メディアにもデータを公表したところです。

5月度の医療機関の実態について調査を行いました。

5月の外来患者数は昨年に比し減少、昨年は大型連休の影響で診療日数が少なく、それとの比較でもさらに減少している点が特徴です。約9割の病院で15~30%減、医科診療所でも7割以上が15~30%減、歯科診療所では8割以上が15~30%減で、新型コロナ感染症の医療機関への影響が大きく現れています。

収入面では病院は100%が減収、医科では9割以上、歯科では7割以上、合計して8割以上の医療機関で減収となり、3割近い減収です。この状態が続き、適切な支援がなければ、地域の第一線医療が壊滅的な状態になることも考えられ、国や県などの支援が必須であると考えます。

この間、感染患者を受け入れている病院への支援が強化された一方で、感染患者を受け入れていない病院・一般診療所への支援(減収補填)は見送られています。第一線医療を守り、新型コロナ感染症対応する医療機関の負担を軽減するうえでも、すべての医療機関への減収補填が求められています。地域医療を守り、医療崩壊を防ぐために、以下の施策の実現を強く要望いたします。

[要望項目]

一、医療機関の保険診療減収分について、公費による補填を行ってください。

一、予想される感染流行に対する、マスク等の物品の確保を行ってください。