第1181回:医療ひっ迫原因は民間医療機関の問題ではありません(その2)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年2月21日付(第1874号)に掲載した、「医療ひっ迫原因は民間医療機関の問題ではありません」の後半です。

菅首相は1月13日の記者会見で、コロナ患者受け入れを、民間にもより広げる必要性に触れ、「民間病院に一定数を出してほしいと働きかけをずっと行ってきている」と述べました。

厚労省の示したデータによれば、救急や重症患者を治療する急性期病院のうちコロナ患者の受け入れが可能な病院は公立73%、公的84%に対し、民間は30%にとどまる、としています。

しかし、日本の病院の8割が民間病院で、その多くは200床未満の中小病院です。

また、急性期病床を持つ約4,300病院のうち、民間病院で200床未満は約2千です。

新型コロナ患者の受け入れ状況は100床未満でみると、公的・公立が40に対して、民間は113です。100床以上200床未満では公的・公立が134に対し民間は256で、受け入れ率でみれば低くても、病院数では民間の方が多いのが実態です。

民間病院では、公的病院のように自治体等からの繰入金はありません。もともと医師・看護師等の人員にも余裕はありません。構造的にも一般患者とコロナ疑い患者の動線を完全に分けるのも難しいのが実態です。

コロナ患者を受け入れるためにベッドを空けておくと減収になります。2人部屋を個室に、4人部屋を2人にしても減収になります。

減収補填はしない、人員の補充は「自己責任」というのでは、受け入れようがないというのが正直なところです。

民間医療機関の受け入れが問題、というのは、「民間医療機関バッシング」といえるのではないでしょうか。

公的・公立病院の病床削減政策の転換、社会保障の充実が求められています。