第1176回:オンライン診療の問題点(その7)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年1月17日付(第1872号)に掲載した、「オンライン診療の問題点」(その4)の前半です。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は、20年11月13日に第12回、12月21日に第13回が開催されました。

この検討会では、当初「年内に方向性を取りまとめ、恒久化に向けて現在の指針を改定」(11月2日NHK)、と報じられましたが、第13回検討会では、当面のまとめとして、「令和2年内に一定の方向性を示すことを念頭に検討を進めてきたものの、……時限的・特例的措置を当面継続することを念頭に……丁寧に検討することが適当」としましました。つまりこれまでの検討は「丁寧」ではなかったと認めた訳です。

理由は、「新型コロナウイルス感染症が再度拡大している」としていますが、全国の新規感染者数は11月中旬から急増していますから、20年度内に新型コロナウイルス感染症が収束する見込みが外れたということでしょう。拙速な制度改正が延期されたことはよかったと思います。

先月号で、問題例を紹介しましたが、検討会で出された意見を参考に、問題点を考えてみたいと思います。

医師の側でいうと、初診の場合の安全性・信頼性を担保するためには、医師が患者の医学情報を把握しているとか、医師・患者間の信頼感が必要です。しかし、初診時に患者の医学情報を把握し信頼感があるというのは、往診患者の家族であるとか、今診ている患者に付き添ってきている方など、極めて稀なケースだと思います。

検討会でも「受診歴のない患者の初診オンライン診療は怖いと感じている」と指摘されています。