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飛来峰記事

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地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年2月16日付(第1839号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その9)の後半です。

協会けんぽや組合健保、共済保険の加入者から見たら、関係ないと見えるかもしれません。しかし、定年退職後や、病気・倒産などで失業したら、国保に加入することになります。国保は国民皆保険制度を支えるもので、「公共システム」の一部といえますから、この制度を充実させることが社会保障制度の基本です。

厚労省は、国保料に対する法定外繰入を行う市町村に対してペナルティーを科す方針です。

内閣府が19年10月9日に開催した、第27回経済・財政一体改革推進委員会に対して、厚労省が提出した資料によれば、法定外繰入等の解消等に対する検討として、「骨太方針等に基づき、法定外繰入等の早期解消を図るべく、2020年度の保険者努力支援制度において、市町村指標の新設、赤字解消計画の見える化や進捗状況等に応じた評価指標の設定、マイナス点の設定など、抜本的な強化を図った」とし、「保険者努力支援制度」における評価指標を設けました。

具体的には、18年度決算において決算補填等目的の法定外一般会計繰入等を行っていない場合は、プラス35点。赤字削減・解消計画を策定していない場合、又は赤字削減・解消計画を策定しているが、赤字の削減目標年次、削減予定額(率)若しくは具体的な取組内容のいずれかを定めていない場合はマイナス30点など、実績や「見える化」の「指標」で評価をしていくというものです。これを元にして交付金額が決まります。

厚労省はこれまでの国会答弁で、公費の繰入は「自治体の判断」としてきました。この方針を180度転換するものです。「地方創生」はどこにいったのか、ということになります。

※国保料・税は国保料。保険料・税は保険料と記載しました。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年2月16日付(第1839号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その9)の前半です。

今回は、高すぎる国保料、払いきれない国保料について触れます。

20年度から高松市が、国保会計の赤字を理由に国保料を大幅に値上げすることが問題になっています。

もともと、国保は財政基盤が弱いため、国からの補助金なしには成立しない制度でした。ですから、国保会計の収入構成は、61年をとると国庫支出金が42.8%、保険料が44.4%、その他が12.8%となっていました。75年には国庫支出金は58.5%まで増えました。

84年10月から退職者医療制度が実施され、それに伴い国庫補助率が改正され、85年は45.0%に減少しました。

97年に老人保健法が改正され外来の一部負担金が1月1020円から1日500円(月4回まで)になりましたが、この時に国庫支出金は35.6%、その後も下がり続け05年は31.0%、07年は25.7%になりました。

その後も国庫支出金は減り続け、17年度は21.1%になっています。

17年度の市町村国保の財政は、保険料が19.8%、国庫支出金は21.1%、前期高齢者交付金が22.5%、都道府県支出金が4.5%、共同事業交付金が20.3%、その他が11.8%となっています。

自治体会計は基本的な公共サービスを行うための一般会計と、それ以外の特別会計があります。国保財政は特別会計にあたります。この二つの会計間で予算を組むうえで移動させることがあります。この移動には、法令を根拠として行う法定繰入と、そうではない法定外繰入があります。

国保会計への国庫補助が、先に述べた通り減らされてきましたから、保険料が増加していきました。そこで、保険料軽減や、赤字決算を補填するために、多くの自治体が法定外繰入を行って来ました。

※国保料・税は国保料。保険料・税は保険料と記載しました。

3月10日付(第1102回)で、後期高齢者の原則1割担を原則2割に、2倍に引き上げることは問題があると指摘しました。

2019年12月19日に、全世代型社会保障検討会議が明らかにした「全世代型社会保障検討会議中間報告(案)」によれば、「後期高齢者の自己負担割合の在り方」として、以下のように述べています。

・70歳までの就業機会確保や、年金の受給開始時期の選択肢の拡大による高齢期の経済基盤の充実を図る取組等に併せて、医療においても、現役並み所得の方を除く75歳以上の後期高齢者医療の負担の仕組みについて、負担能力に応じたものへと改革していく必要がある

・団塊の世代が75歳以上の高齢者となり、現役世代の負担が大きく上昇することが想定される中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、全ての世代が安心できる社会保障制度を構築する

・後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方については1割とする

としました。

厚生労働省保険局調査課が2019年12月に公表した「医療保険に関する基礎資料 ~平成29年度の医療費等の状況~」によれば、後期高齢者の負担を現役世代と比較すると、

・1人あたりの患者負担額は1.7倍

・1人あたりの入院診療費は、6.6倍

・1件あたりの入院日数は、1.4倍

・100人あたりの入院件数は、6.2倍

になっています(「しんぶん赤旗」作成)。

後期高齢者の負担割合と、現役世代の負担割合だけを取り出して比較するのは「公平」ではないといえるのではないでしょうか。低年金による収入減、複数の疾患を持ち窓口負担が1割といえども、多数の疾患を有する後期高齢者の負担は、今でも多いものです。

後期高齢者の原則2割負担化は行うべきではありません。

1月31日に開催された第124回社会保障審議会医療保険部会では、「医療保険制度改革に向けた議論の進め方」が資料として配布されました。医療保険制度改革に関しては、閣議決定等で検討スケジュールが示されており、

①「新経済財政運営と改革の基本方針2019(令和元年6月21日閣議決定)」において、「骨太方針2018及び改革工程表の内容に沿って、総合的な検討を進め、骨太方針2020において、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取り組むべき政策を取りまとめる。」

②「全世代型社会保障検討会議中間報告(令和元年12月19日)」において、後期高齢者の自己負担割合の在り方や大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大について「来年(令和2年)夏までに成案を得て、速やかに必要な法制上の措置を講ずる。」とされている。

今後は、全世代型社会保障検討会議中間報告を踏まえ議論する項目・後期高齢者の自己負担割合の在り方・大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大が議論の中心になっています。

後期高齢者の原則1割担を原則2割に、2倍に引き上げること。大病院(4月からは200床以上の病院が対象の予定)への、紹介状を持たない受診に対して、一定額の(現在は数千円)自己負担をさらに課すものとされます。

消費税は引き上げる、年金は減らされる、医療や介護の自己負担は増やされるでは、高齢者の生活が成り立たないのではないでしょうか。後期高齢者医療の2割負担には強く抗議するものです。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年1月19日付(第1836号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その8)の後半です。

法定減免は、世帯主(国保加入者でない場合を含む)と加入している家族の総所得が、国の定める基準額以下の世帯が対象となります。区分に応じて7割、5割、2割と減額されます。世帯主と国保加入者の前年の所得の合計が33万円以下の世帯は、「応益割」の7割が減免されます。

「応益割」には、加入人数に対する「均等割」と、世帯単位の「平等割」がありますから、減免措置とはいっても、収入のないこどもであっても負担が強いられることにかわりはありません。

5割減免は略します。

以前は、2割減免は、世帯主と加入者の前年所得が33万円+(35万円×世帯主を含む加入者数)以下の世帯が適応になります。

夫婦と学童期の子供2人の場合で考えると、夫婦の所得を合わせて208万円を超えると適応になりません。19年度には少し改善しており、先の35万円が51万円、208万円が288万円になります。

なお、減免制度を利用するためには確定申告をしなければなりません。

この軽減制度を利用している加入者は、15年度データで、国保加入世帯の52.7%ですから、「高すぎる国保料」であることは間違いありません。

前年度の収入がなければ所得税はかかりませんが、前年度の収入がなくても国保の保険料は払わなければなりません。前回述べましたが、「応益割」には、加入人数による「均等割」と世帯単位でかかる「平等割」があります。これはいずれも所得には関係ないからです。

納税緩和制度というのもあります。徴収猶予、換価の猶予、滞納処分の執行停止です。

徴収猶予が認められると1年以内の納付が猶予され、さらに1年延長できます。また、差し押さえを受けていたときは解除を申請でき、延滞金が減免されます。

「換価の猶予」は差し押さえの猶予というものです。認められれば、差し押さえ処分の解除や延滞金などが減額・免除され、1年以内の分納(最長2年)が認められます。

いずれにしてもこういった制度について知っておく必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年1月19日付(第1836号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その8)の前半です。

前回は、「国保料」と「国保税」、「応能割」と「応益割」、「所得割」と「資産割」、「均等割」と「平等割」について述べました。今回も、国保の都道府県単一化以前の仕組みについて述べます。

自治体によって国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)が異なりますが、その要因は、以下の3点です。

①保険給付費、つまり国保を利用する際の医療費の違い。

②住民所得の違い。

③都道府県及び市町村からの繰入金。

①は、高齢化率、医療機関の分布、疾病構造などが影響します。
高齢者が増えると病気になる人が増えますから当然医療費も増えます。近くに大病院があると高額な検査が増えるし、入院しやすい状況になりますから医療費は増加します(年齢には関係ありませんが)。医療費の増加の一因でもある高額薬剤を使用する疾病が多ければ、医療費も増加します。

②国保料の算定のうち、「所得割」については、住民の所得により異なってきます。保険給付費が多く所得が少なければ、所得割の料率が高くなります。

③市町村国保に対しては、都道府県を通じて支給される国の特別調整交付金(結核・精神の疾病に係る医療費等が多額である場合等)のほか、一般会計からの繰入金があります。後者の額は自治体の姿勢により大きく異なりますから、単純に他自治体と比較はできません。

また、国保法では低所得者に対する減免措置(法定減免制度)と、自治体が定める申請減免制度があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の後半です。

さらに、保険料を減免する規定の運用が柔軟な自治体とそうでないところ、事実上の無保険者を作り出す被保険者資格証明書(資格証明書)の発行に積極的なところとそうでないところなど、自治体間の差は大きいというのが実態です。

これは結局、自治体=首長や議会の姿勢によるものですが、住民の意識はどうかという問題もあります。

話が少しそれますが、毎年秋に、社会保障推進協議会(社保協)が「自治体キャラバン」を行い県内すべての市町、香川県、香川県後期高齢者医療広域連合と懇談を行っていますが、ここへの住民参加が十分かというと、必ずしもそうではないという問題もあります。

国保の保険料は、支払い能力に応じて決められる「応能割」と、支払い能力に関わらず一定の条件に合致すれば決められる「応益割」があります。

応能割には、所得に応じて決められる「所得割」と、資産に応じて決められる「資産割」があります。所得割の計算方式には所得比例方式(旧ただし書き方式)と住民税方式があります。13年度からは原則所得比例方式になり、総所得から基礎控除(33万円)を引いた金額に保険料率をかけて計算し、現在はすべての自治体でこの方式をとっています。住民税方式によると、各種控除額を引いて計算するために低所得者の保険料率が下がることがありました。

応益割には、加入人数に対して決められる「均等割」と、世帯に対して負担が求められる「平等割」があります。問題は、「均等割」で、子どもが一人生まれるたびに増えるわけで、古代から中世にかけて世界でみられた「人頭税」と同じ性格をもつものとして批判の的になっています。

この応益割の比率が高くなると、所得に関係なく国保料が増えるわけで、高すぎる国保料ということになります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の前半です。

今回は、国民健康保険の仕組みを考えてみます。

15年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法の一部を改正する法律」が成立、18年4月からは、これまでの市町村に加え、都道府県も国民健康保険制度の運営を行うことになりました。

今回の内容は、国保の都道府県単一化以前の仕組みついて述べることにします。

国保は各自治体が保険者となり運営しています。そのため、保険料の算出方法やその金額は自治体により異なります。そもそも、呼び名が「国民保険料」「国民保険税」と異なります。

「国民健康保険ガイド」を参考にして述べます。

保険料と保険税は、関係する法令が異なります。保険料の場合は国税徴収法、保険税の場合は地方税法により徴収されます。

滞納した場合の徴収権の消滅時効は、保険料は2年ですが、保険税は5年です。差し押さえの優先順位が、保険料の優先順位は、住民税の次ですが、保険税は住民税と同じです。

自治体の立場でいえば、保険税の方が優先して弁済を受けることができるので、「有利」ということになります。

国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)は、加入の届出をした日からではなく、資格を取得した日から支払う必要があります。保険税は遡って請求できる期間が長いため、届出が遅れると遡って課税されることになり、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が、保険料と保険税では異なります。

保険料の遡及は最大2年ですが、保険税は最大3年になります。

いずれにしても、滞納した場合の話ではありますが、そもそも払える額の保険料なのか、という問題があります。

本欄1095回(2月7日付)の続きです。

今回は、独立行政法人 国立病院機構 高松医療センターです。1月28日に、香川県保険医協会理事会の声明を手に、高松医療センターを訪問しましたが、院長・事務部長ともに処方で不在のため資料を渡すだけになりました。アポなしでの訪問ですから、不在でもやむを得ないのですが。

高松医療センターの現況を、ホームページからかいつまんで引用します。全文は、下記のアドレスを参照ください。

https://takamatsu.hosp.go.jp/about/greeting.html

昭和16年に「香川県立高松療養所」として創設され、日本医療団への移管、そして昭和22年に厚生労働省に移管され「国立高松療養所」を経て「国立療養所高松病院」となりました。平成20年に現在の「高松医療センター」へと変遷してまいりました。

創設当時の「結核専門の医療」から昭和40年頃には「脳卒中リハビリテーションの医療」へ昭和61年からは神経難病患者の受け入れを開始しました。そして徐々に受け入れ患者数が増加し、令和元年現在、香川県における結核の最終拠点病院および神経筋疾患の領域別拠点病院の役割を担っています。

一般診療として、病院全体を障害病棟に機能転換しました。機能的には亜急性期から回復期の役割を担っております。

平成30年4月、4個病棟全てが障害病棟となりました。

平成31年2月、筋ジストロフィーの専門外来を開始しました。同時に、療養介護病棟の空床を利用し、医療型短期入所サービスを開始しました。

厚労省は、厚労省が定めた9つの項目(第1092回 1月28日付を参照)について診療実績が乏しい、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期医療」について「類似かつ近接する医療機関がある」とされました。

しかし、上記のHPの内容からすれば、すでに自主的に役割を定め病床機能の変更が終わっています。

今回の厚労省の判断が、いかに実情を見ていないか明らかではないでしょうか。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年11月17日付(第1831号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その6)の後半です。

現在の日本の社会保障の中心となる仕組みは「社会保険」です。国保などの公的な医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、いずれも同じ構造で、これらの保険で社会保障予算の九割を占めています。

社会保険には、「社会原理」と「保険原理」という、二つの性格があります。

「社会原理」とは、個人にも負担を求める(保険料負担がある)が、被用者保険のように事業主にも負担を求めるというものです。

かつて、建設労働者などには「ケガと弁当は手前持ち」という言葉がありました。病気、ケガ、高齢に伴う問題、失業などは個人の責任や助け合いの仕組みでは解決できません。

本紙七月号に、旧社会保険庁が発行していた、「社会保険の手引き」を引用し、日本の社会保険を以下の五点で特徴づけていると紹介しました。

①相互扶助 ②企業主の責任③国が責任をもって運営(公費の投入)④加入の義務付け⑤保険料負担。

これが「社会原理」で、民間保険との大きな違いです。

「保険原理」とは、サービスを利用するのなら保険料を納めなさい、ということです。民間保険なら、保険料が払えないならそこで終了、ということになります。

昨今の財界等からでてくる議論は、この「保険原理」だけに着目した「受益者負担」という主張です。

しかし、病気になり保険給付を受けることが「益」(利益)なのでしょうか?だれも、保険給付を期待して病気になったりケガをするわけではありません。好き好んで入院する人はいません。

「受益者」という言葉を使うこと自体が本質から目を背けるものになっているといえます。

そういった観点から自治体のホームページをみてみる必要があります。

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