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飛来峰記事

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前回(10月15日第1067回飛来峰)の続きです。

前回紹介した意見をもう少しわかりやすく解説すると、

・現在後期高齢者医療保険は原則1割負担ですが、これを2割負担とし、将来的に3割とする。

・同じような薬が薬局で売っている場合は、保険外しとする。

(例えば、風邪薬、湿布、花粉症の薬など)

・一定収入があれば、年齢に関係なく3割負担とする。

 (ここでいう一定収入とは、高額所得という意味ではない)

・外来受診時の負担は、1 ~ 3割だが、それにプラスして、例えば、1回500円プラスとか負担を増やす。

・マイナンバーカードを活用し、医療や介護の保険料の納入状況、医療や介護の利用状況、年金の受給額などを、紐づけして総合的に把握する。

・地域医療構想をしっかりと実施して、入院ベッドの削減を行う。

ということになると思います。

この問題は引き続き取り上げていきます。

9月10日(第1060回)飛来峰の続きです。

「全世代型社会保障検討会」の第1回会合が、9月20日に開催されました。

当初、会議は非公開とされ、事後の概要説明でも閣僚以外の発言者の氏名を伏せていました。「検討会議に当事者がいない」というマスコミからの指摘に対し、全世代型社会保障改革担当相として議長代理を務める西村康稔経済再生相は、選出された委員は審議会等の議論も踏まえて発言するし、与党や自分の方でもヒアリングするなどと釈明していました。

現在公開されている議事録(※)に出ている意見のうち、医療に関するもを拾うと、以下の通りです。

・年齢で負担額を区切るのではなく、75歳を過ぎても、74歳までの自己負担を継続する

・市販品類似薬をどう扱うかなどの医療保険の給付範囲を見直す

・年齢によって負担割合が決まるのではなく、能力に見合った負担を

・75歳になられる方の負担を継続する

・外来受診時の負担金

・後期高齢者負担金の拡大による健保組合の負担増にならないよう

・年齢をベースとするものではなくて、応能負担の徹底が重要

・マイナンバーの活用が重要

・地域医療構想をしっかりと実施

・無駄なベッド数の削減等をやっていくべき

・地域医療構想の完全実施など、医療提供体制改革を進めていく

・高齢者の負担のあり方は大きな論点

などです。

※議事録

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/dai1/gijiroku.pdf

(次回に続く)

厚生労働省は9月26日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の第24回会議を開催し、2025年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証を要請する対象となる病院名を公表しました。

具体的には、一般病床もしくは療養病床を持つ医療機関であって、平成29年病床機能報告において「高度急性期」もしくは「急性期」病床を選択した公立または公的医療機関1455病院中、424病院(29.1%)が「再検証要請対象医療機関」であると実名を公表しました。そのため、全国の多くの地域で、この地域で入院できる病院がなくなるのかと不安を呼び、行政関係者からも「これはひどい」「地域の現状を無視している」という声が上がっています。

再検証の要請対象となるのは、以下の2つの条件です。

1.がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、へき地、研修・派遣機能の9領域で、「診療実績が特に少ない」とされた277病院。

2. がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期のすべての領域で「類似かつ近接」とされた307病院。

1.にも2.にも該当するダブりを除いたのが、424病院です。

しかし、これまで、脳卒中や心筋梗塞などは、地域に拠点病院を定めそこに患者を集中させる政策をとってきました。多くの病院は医師不足、スタッフ不足などが背景としてあり、この政策に従い救急医療等を行ってきました。

つまり、政府の方針に従い、脳卒中や心筋梗塞患者が自医療機関にきても、拠点病院に紹介していたわけで、その結果=診療実績をみただけで、脳卒中や心疾患の診療実績のない病院として判定され、「地域で不要な病院」と言わんばかりの扱いをうけるわけです。現場の医師としては、2階に上がったら梯子を外された、という気分になります。

地域で必要な病院が次々と消えていく政策と言わざるを得ません。

この話題はしばらく続けます。

後期高齢者医療制度の保険料が、10月から変わります。

75歳の誕生日を迎えると自動的に後期高齢者保険に加入することになります。この保険料には年収に応じて納める「所得割」と、加入者全員が納める「均等割」があります。

後期高齢者医療保険は、制度のネーミングが不評であったこともあり、保険料を軽減する様々な措置を講じました。また、制度が導入されるまでは保険料が不要であった「被扶養者」にも新たに突然保険料が請求されるため、軽減措置が講じられました。この「軽減措置」が、17年から段階的に廃止されることになっていました。

この10月からは具体的には、年金収入が年80万円以下の低所得者(約378万人)に対して保険料を9割軽減している特例措置を廃止され、本則の7割軽減に引き下げられ、保険料は3倍化。年額で平均1万3500円(20年度)になします。

代わりに「年金生活者支援給付金」の支給や介護保険料の軽減が行われますが、低所得者ほど負担が重い消費税増税とセットであり、「消費税は社会保障の充実のため」という看板に偽りがあることが明確になったといえます。

消費税が導入されてから31年になります。この31年間で、消費税による税収は397兆円、同時期に法人3税の税収は298兆円減りました。また、所得税・住民税の税収も275兆円減っています。

その原因は、大企業や富裕層への減税や優遇税制により税収が大きく減ったことにあります。法人税率引き下げ、大企業向けの優遇税制、所得税の最高税率の引き下げ、大株主優遇の証券税制などです。

消費税増税が繰り返された1997年から2017年の間に、世界の主要国のGDP(国内総生産)は、米国が227%、フランスが178%、ドイツが166%に対し、日本は110%と、成長しない国になっています。

国民経済に多大な負担を強いる消費税増の強行に強く抗議します。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年9月15日付(第1825号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その4)の後半です。

角川村保健組合は、36年4月に設立されています。角川村のホームページには以下のように記述されています。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 

組合は村立診療所の中に置かれ、角川村の人々は安心して診療を受けられるようになった。国は38年7月、国民健康保健法を施行。これにより「角川村保健組合」は、国民健康保険組合に改め、同年8月1日、法律に基づく「角川村国民健康保険組合」として全国第1号の設立認可を受けた。

角川地区に建立された記念碑には、「相扶共済」の文字ととも次のような碑文が刻まれている。

「この地山形県最上郡戸沢村大字角川村は、僻地で交通の便悪く、医師のいない村として民生の上まことに困難を感じた人達が、その対策としてできたのが、角川村保険組合で、36年4月から発足した。

38年7月国民健康保険組合に改め、設立認可第1号をもって全国市町村にさきがけし、国保本来の使命である相扶共済の精神を旨として実践、現在に至ったものである。(以下、略)」

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 

いずれも、限られた地域の中での相互扶助の組織から始まったことがわかります。

42年の国民健康保険法の改正により、任意であったものが強制的に設立しなければならなくなり、組合員として資格のある人はすべて加入しなければならなくなりました。

小泉親彦・陸軍軍医中将(厚生大臣)は、全市町村に国保組合を設立、国保を中心とした“国民皆保険”施策を実行しました。43年度末には、市町村の約95%で国保組合が設立され、加入者数も2000万人を超えたと記録されています。

しかし、前回も触れたように、戦争が進むにつれ、「医療制度そのものが成り立たなくなり、敗戦を迎えることになります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年9月15日付(第1825号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その4)の前半です。

前回、1938年に国民健康保険法が制定され、任意設立の「国民健康保険組合」(国保組合)を保険者とし、世帯主や同一事業者などの従事者で原則「任意加入」であったことについて触れました。

日本で最初の国保組合は、法制定前の36年に、埼玉県南埼玉郡越ケ谷町(現在、埼玉県越谷市)と、山形県最上郡角川村(現在、山形県最上郡戸沢村)に設立されました。

どちらの自治体も、国保組合発祥の地としているので、両方とも紹介します。

引用にあたり、元号表記を西暦に変更、一部文字を省略しています。

越谷市のホームページには、以下のように記述されています。

◇ ◆ ◇ ◆ ◇

越ヶ谷順正会は、36年に越ヶ谷町に成立した国民健康保険類似組合第1号です。

越ヶ谷順正会の前身は昭和初期に設立された「至誠会」という無尽講(注1)で、町税完納を目的とした組織でした。その後、町税の滞納は家族の罹病が大きな原因であることを知り、医療救助を目的とした共済組合「順正会」の設立を目指しました。

しかし「順正会」の設立は治安警察法に触れるとして一時頓挫しましたが、国民健康保険制度の成立を目指す内務省の協力を得て36年に「越ヶ谷順正会」が成立しました。

その後、38年7月に国民健康保険法が公布されると、「越ヶ谷順正会国民健康保険組合」として認可、41年には「越ヶ谷町国民健康保険組合」へと発展していきました。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

注1:むじんこう。相互に金銭を融通しあう目的で組織された組織のことで、頼母子講(たのもしこう)と同じ。

保団連(全国保険医団体連合会)理事会は、9月9日に「直ちに国会を開き、消費税増税を中止することを求める」という声明文を発出し、国会議員やマスコミ各社に送付しました。その大要を紹介します。

「政府・与党は10月4日から臨時国会を開くとしているが、私たちは、国民生活にも関わる」「諸課題について、直ちに国会を開いて国民に説明し、打開のための徹底的な審議を行うことを求める」

「賃金の低迷と抑制され続けてきた貧弱な社会保障の下で、国民は日々の生活防衛を強いられ、増税前の『駆け込み需要』すら起きないのが現状である」

「消費税増税は国民生活の悪化と受診抑制や治療中断をさらに加速させ、患者・国民の命と健康が脅かすことになり、地域医療に従事する医師・歯科医師として断じて容認できない。また税率引き上げによって医療機関の控除対象外消費税(損税)の矛盾が拡大し、個々の医療機関はもとより地域医療全体に影響が及ぶことは必至である」

「政府・与党は、国民の生活実態を直視し、消費税増税に対する不安の声に耳を傾け、一刻も早く10月消費税増税の中止を決断すべきである」

全文は下記のアドレスを参照ください。

https://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/190909_seimei_dietptax.pdf

共同通信が8月31日に「社会保障改革へ月内に新会議創設」と題するニュースを配信しました。

それによると、「9月中下旬にも有識者を加えた新たな会議を創設することが31日、分かった。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になり始めて公費支出が急増する2022年を控え、医療などの負担増を含む見直しが焦点となる」としています。

これまで社会保障「改革」の内容は、「骨太方針****」に明らかにしていましたが、今年は参院選前であったため、具体的な内容は記載されませんでした。選挙が終わり、この秋にはこういった議論が盛んになります。

しかし、本来国会を開催するか、閉会中審査で予算員会や厚生労働委員会などを開催し議論を始めるべきです。

国会とは別に「会議」を作り、そこで議論を行い結果を国会に事実上押し付けるというやり方は、民主主義とはかけ離れたものです。

いまこそ、社会保障の在り方を国会で堂々と議論すべきです。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年8月11日付(第1822号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その3)の後半です。

38年に制定された国民健康保険法は第1条にその目的として「相扶共済の精神に則り疾病、負傷、分娩又は死亡に関し保険給付を為すを目的とするものなり」(※2)と書かれており、「相扶共済」という考え方が強調されています。

44年に厚生省保険局長となった伊藤謹二さんの「国民健康保険の思い出」に、こんな記述があります(※3)。

法律制定当時の国保の主眼点は、農山漁村民の防貧ないし生活の安定だった。その旗印が時局の激化と共に、大東亜共栄圏を建設しようとする大理想達成の強力な手段となった。つまり、当時謳われた人口増加策や健兵健民政策の担い手としての使命を課せられたのであった(一部略)。

やはり富国強兵政策の一環という側面が色濃いものでした。

発足当時の国民健康保険の保険者は、任意設立の「国民健康保険組合」で、市町村内の世帯主または同一事業者などの従事者で原則「任意加入」でした。

42年に法改正が行われ、自治体による組合の設立が事実上強制され、住民のも強制加入となりました。しかし、太平洋戦争が進むにつれ、戦地に人がとられ、医療機関も運営できなくなり、医薬品もなくなり、保険「制度」そのものが崩壊していきます。

話はそれますが、やはり平和でなければ、健康は維持できず、「健康」と「平和」は一体のものであると思います。

平均寿命統計では、第6回(昭和10年度)集計で、男性:46.92歳、女性:49.63歳。戦時中のデータはなく、第8回(昭和22年度)が、男性:50.06歳、女性:53.96歳です。

この後、急速な高齢化が進む訳で、平和が大事ということになります。


※2 カタカナをひらがなに直しています。
※3:読売新聞「国民皆保険・皆年金」(2013年)

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