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飛来峰記事

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4月13日(土)の午後、善通寺診療所の年度総括会議を行いました。前半はSDHの学習会と位置付けて、高松平和病院の内科・家庭医療科の佐藤龍平先生に講演をお願いしました。

SDHは、Social Determinants of Healthの略で、「健康の社会的決定要因」訳されます。

健康は、遺伝子や生活習慣など、「生物学的要因」だけで決まるわけではありません。所得や家族、友人・知人とのつながりなどの「個人の社会・経済要因」と、国の政策や職場・コミュニティーでの人のつながりを含む「環境としての社会要因」があります。これらをまとめて「健康の社会的決定要因」と呼びます

野良猫と飼い猫は寿命が異なる。それは何故か、と身近な話から分かりやすく解説してもらいました。

SDHの視点を大事にして日常診療を行っていく必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の後半です。

問題は、入院7日以内に「家族と面談」というところで、同居家族がいればともかく、一人暮らしでこどもは遠方というのはよくあります。こどもが仕事をしていればすぐには来られません。時間外ならいけるといわれると、今度は職員の側が時間外労働になり長時間労働になるという問題もあります。家族にしても、すぐに来てほしいと言われても仕事の都合がつかない、仕事をしていなくても子供の行事などもあるしすぐにはいけない、すでに肉親の介護を行っているなどという事もあります。

2017年6月21日に開催された「第3回入院医療等の調査・評価分科会」でも、「入退院支援を困難にしている理由・課題等をみると、相談員の人員体制の不足、支援のための時間確保が困難、患者・家族等との面会日の日程調整が困難(特に日勤帯だけでは困難)との指摘がある」とまとめられています。

もう一つが「20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う」ということです。すべての医療機関が一堂に会するのが理想的ですが、「各機関の退院支援職員同士が協議を出来る機関数で行う」「一堂に会することで、対面しての業務上の意思疎通ができないものは要件を満たすことにならない」などの縛りがあり、地域連携懇談会のような形で20以上の医療機関に参加してもらっても、現実的には個別に懇談する時間が取れないので、ハードルは高い、といわざるを得ません。

また、「地域連携診療計画管理料」「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)」が廃止され、「地域連携診療計画加算」が新設されました。在宅療養支援診療所等に紹介する場合は、「退院時共同指導」が算定できますが、それ以外の医療機関に紹介する場合の点数で、入院時から退院に向けてスムーズに進むような仕組みであると言えます。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の前半です。

今回は16改定について触れます。

16改定では、「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針)に基づき、社会保障1700億円削減を実現するために全体としてマイナス改定となりました。

改定の中心は、入院の再編と機能分化・強化と連携です。

急性期病床では、最も単価の高い7対1看護体制の病床を減らすために、算定要件として、より重症度の高さを求める、該当患者数の割合を引き上げる、在宅復帰率を引き上げるなど、中小病院では算定が困難な条件を設定しました。

14改定で新設された「地域包括ケア病棟入院料」には、手術料が出来高で算定できるように変更され、中小病院の役割がより明確になりました。

療養病棟では医療の必要性がより高い患者の入院が必要となるなどの変更がなされました。急性期病院からの転院を促進する目的がある一方、軽症患者が入院できにくくなるという側面があります。

「病院から在宅へ」という動きを加速するものとして、「退院支援加算」が新設されました。従来の「退院調整加算」が廃止され、要件を厳しくした「退院支援加算1」を新設、従来の「退院調整支援加算」は「退院支援加算2」(以下、「2」)になりました。「退院支援加算3」はNICU等に入院中の小児等が対象となります。

新設された「退院支援加算1」は、入院後3日以内(「2」は7日以内)に退院困難な要因を有する患者を抽出し、7日以内(「2」はできるだけ早期)に患者・家族と面談し、7日以内にカンファレンスを実施(「2」は実施すればよい)などと要件が厳しくなり、特にハードルが高いのが、20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う、というものです。介護保険との関連では、介護支援専門員との連携実績が必要です。

新入職員のオリエンテーションの季節です。4月2日に、香川医療生協研修室で、23人の新入職員対象に「医療福祉生協のいのちの章典」についての講義を行いました。

「医療生協の患者の権利章典」「医療生協の介護」の実践をもとに、「医療福祉生協のいのちの章典」に発展してきた歴史に触れながら、実践の大事さを伝えるのは新人に対してはむつかしいのですが、世界の医療生協の活動を伝えながら(写真を多用して飽きないように)話をすすめています。

事務局から報告のあった感想の一部を紹介します。「医療生協の特徴を理解することができました」「患者を中心に据えた医療のあり方を考えさせられました」「謙虚な態度で、相手の話に耳を傾けることという、最後の言葉が心に残りました」などでした。きちんとうけ止めてもらっているようで安心しまた。

講演中の風景です。

講演中の風景です。

3月30日に善通寺診療所でアスベスト相談会を開催しました。西讃地域で毎年1回行っているもので、事前に地元紙に折り込み広告を入れて告知するものです。今回はこれまでと異なった地域にも広告したため、これまで相談のなかった地域の方が来院されました。

こういった相談会は粘り強く毎年行っていくことが大事で、この間、自然災害などで古い家屋の解体作業が全国で行われていますから、これからも必要な取り組みだと思います。

相談会のビラの横の写真は、マッターホルンの写真です。
山登りと写真の好きな地域の組合員さんから
お借りしたものです。

3月13日に開催された厚労省の「第20回 医師の働き方改革に関する検討会」の報告書(案)によれば、「我が国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられており、 危機的な状況にある」という認識が示されています。

医師の罰則つきの上限労働時間は、勤務医に対しては、2024年度から適用され、上限時間をどうするかが検討課題になっていました。

取りまとめの案では、一部の医師には年1860時間の残業を認めるとなっておりこれが大きな問題となっています。

学生の身になってみれば、超長時間労働が許容される職場にはいきたくないと思うのが当然です。この問題は「病院の医師の労働時間」という問題だけでは済みません。

今後もこの問題を考えていきたいと思います。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年2月17日付(第1805号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その10)の後半です。

「地域包括ケア病棟入院料」は病室単位で算定できるもので、在宅療養支援病院・在宅療養後方支援病院・二次救急医療施設(※)・救急告示病院のいずれかを満たし、リハビリテーションを実施しているなどの要件があります。「地域包括ケア病棟入院料」には、高い点数が算定できる「1」と、低い点数になる「2」がありますが、「1」の場合は、在宅復帰率が70%以上というハードルが設定されています。

つまり、救急医療に対応する、在宅医療のバックアップ機能を持つ、リハビリテーションを行う、在宅(※2)復帰機能を持てば収益につながる制度であるといえます。

療養病棟でも、一定の在宅復帰率を有する病棟に対する評価が新設されました。「在宅復帰機能強化加算」で、1月(※3)以上入院していた患者の50%以上が在宅に退院する、退院した患者が1月以上在宅生活が継続していることを確認するなどの条件が必要です。

リハビリテーションでも、一日でも早く退院を促進するために、急性期病棟におけるリハビリテーション専門職の配置に対する評価として「ADL維持向上等体制加算」が新設されました。専従のセラピスト(常勤理学療法士、常勤作業療法士、常勤言語聴覚士が1名以上)を配置する必要があります。すべて「常勤」というところがミソで、それなりの職員を抱えないといけないというメッセージでもあります。

回復期リハビリテーション病棟でも365日リハビリテーションを行うことをめざし、従来は「休日提供加算」がありましたが、高い点数を算定するには、休日を含め、週7日間リハビリテーションを提供できる体制が算定要件として包括されました。休日も行うことが前提とされた訳で、文字通り「毎日がリハビリ」になりますが、一日も早い回復を望む患者にとってはメリットは大きいと言えます。


二次救急医療施設
入院を要する救急医療を担う医療機関で、救急救命センターなどの三次救急医療機関以外のもの

2在宅の定義
基本的に自宅・アパートやマンションなどの集合住宅などを指します。様々な施設については、改定のたびに変化しているのでここでは触れません。

1月
「ひとつき」と読みます。1ヶ月というと、1月は31日、2月は28日か29日、4月は30日ですから、「定義」になりません。そこで、月初めから月末なら「ひとつき」、1月25日から2月24日までも「ひとつき」と言います。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年2月17日付(第1805号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その10)の前半です。

第1018回(2月19日付)・第1019回(2月26日付)では主に12改定について触れました。2012年は、2回目の診療報酬・介護報酬の同時改定でしたから、介護保険サービスとの関連で退院に向けた改定がありました。

14改定では、改定のポイントとして、「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組み、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築を図る」こととされました。そのため、退院に向けた細かな変更はなく、システムそのものに目を向けた改定となっています。

医療提供体制については、14年6月に公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」により改正された「医療法」に基づいて、14年10月から「病床機能報告制度」が実施されました。

病床機能報告制度とは、病棟単位で高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つのいずれの病床機能に該当するかを、毎年都道府県に報告することが求められるものです。

「高度急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」で、「急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」とされます。「回復期機能」はリハビリテーションなど在宅復帰に向けた機能、「慢性期機能」は、長期療養が必要な場合です。

「高度急性期機能」と「急性期機能」の違いが今一つよくわかりませんが、それはともかく、この病床の機能分化に先立ち、在院日数を短くすることが求められる急性期病院で、04年に新設された、一定期間長く入院が可能だった「亜急性期入院医療管理料」が廃止され、「地域包括ケア病棟入院料」が新設されました。

 (次回に続く)

香川県保険医協会報2019年2月20日号(No.412)の「主張」欄に、「統一地方選・参院選の争点を考える」を掲載しました。転載します。

今年は選挙の年です。4月に統一地方選挙、7月に参院選挙が行われます。安倍首相は、参院選に合わせて衆参同時選挙を狙っているとも言われています。一連の選挙の争点について考えてみたいと思います。

昨年の12月10日に閉会した第197回臨時国会は、「改定出入国管理法」などが大きな焦点になりましたが、「漁業法」「水道法」など国民生活に大きな影響をもたらす法律も成立しました。

出入国管理法の問題は、外国人労働者の受け入れ業種や医療保険などの社会保障の扱いについて法律で定めることなく、詳細については政省令などに委ねた、いわば「空っぽ」の法律だということです。製造業など明らかに労働力不足の現場での外国人労働者の受け入れには、一定のルールが必要ですが、それが明確になっていません。

漁業法の改定は、70年ぶりの抜本的な改定にも関わらず、衆参合わせて22時間余りの短時間で採決が強行されました。沿岸漁業の漁業権を地元漁業者に優先してきた仕組みを廃止し、地元外の企業に与えることを可能にする問題があります。「海区漁業調整委員会」の公選制を廃止し、知事の選任制になることから、知事の恣意的判断が働くのではないかとの懸念が示されています。

水道法の改定は、水道事業の運営権を民間に売却できる仕組みを導入することなどが盛り込まれたもので、水道料金が高騰する可能性や水の安全性に疑問が出されていましたが、18年7月に8時間の審議で、第196国会で衆院を通過、臨時国会で7時間の審議で参院を通過、与党の自公両党が賛成討論を放棄するといったもので、まともな検討がされたとは思えません。

「憲法改正」については、これまで「9条に自衛隊を書き込むだけで何も変わらない」といっていた安倍首相が、自衛官募集と関連付けて「憲法にしっかりと自衛隊と明記」することを唱えるなど、憲法改正も争点になります。

「森友」「加計」「統計不正」問題、そして消費税増税の問題など、課題は山積しています。「連続選挙」で、国民の意思を明らかにする必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年1月20日付(第1802号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その9)の後半です。

入院日数の制限のある一般病棟でも、従来は、病棟または病室単位で、ある程度長く入院ができる「亜急性期入院病床・病棟」がありましたが廃止され、「地域包括ケア病床・病棟」が新設されました。1日当たりの包括点数が決まっており制約は多いものの、60日間算定できますから、入院した日に退院の話が始まることもなく、疾病によっては適切な医療が提供できる制度という側面もあります。

在宅医療のバックアップ機能を行う「在宅医療後方支援病院」(在後病)が新設されました。200床以上の病院が対象で、診療所等が訪問診療を行っている患者で、在後病に登録した患者が緊急入院すると「在宅患者緊急入院加算」2500点を病院が算定できます。訪問診療を行っていると、夜間・休日等に病院に紹介する時には困難を極めます。病院にとっても、診療所にとっても、患者・家族にとってもメリットのある制度です。因みに、1病院につき1患者、つまり患者が複数の病院に登録することはできないことになっていますが、在後病が満床の場合は、いったん診察したうえで、あらかじめ契約している他の病院に紹介入院できるようになっています。

200床未満の病院の場合は、在宅療養支援病院(在支病)として、自らが訪問診療を行い、入院は自院で対応するという仕組みです。

因みに、香川県には、18年12月1日現在で、在宅医療後方支援病院は3か所、在宅療養支援病院は12か所です。

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