毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 12月 2019

2019年も最後の回になります。今年は今回で77回目になります。途中でペースが落ちたので少し反省しています。

社会保障の話題が中心でしたが、地方政治新聞「民主香川」に国保問題に関する連載をしていたので、国保の歴史を調べたためいくつかの学びがありました。6月には医療福祉生協連の理事を退任し会長交代をしました。

来年は診療報酬の改定の年です。引きつづき社会保障の問題点を明らかにする情報発信をしていきたいと思います。

12月16日、厚労省の第88回社会保障審議会介護保険部会が開催され、介護保険制度見直しのとりまとめ案を示しました。

介護施設等での食費や居住費は原則自己負担ですが、申請をすれば非課税世帯の低所得者は年金収入等に応じて「補足給付」(補助)が受けられます。厚労省は、この基準となる収入区分を見直し、年金収入等が月10万円なら自己負担増が、今より2万2千円増える(特養多床室利用の場合)案を提案しています。

1か月の介護サービス費が上限を超えた場合に払い戻される「高額介護サービス費」についても、年収約383万円以上の「現役並み所得」のばあい、医療保険に準じて見直す案を示しています。17年の法改正時に年間上限を引き上げたばかりのものです。自己負担2割・3割導入時に「高額介護サービス費があるから自己負担増にはならない」と説明していましたが、2階に上がって梯子を外された形になります。

さらに要介護1・2の生活援助サービスを総合事業に移す点については、総合事業からの事業者撤退が相次ぎ担い手が不足しているため「引き続き検討」ということになりました。

財界の強い要求であるケアプランの自己負担化、現在原則1割の自己負担を2割に引き上げることなども「引き続き検討」となっています。

介護保険制度改悪許すなの声を、「引き続き」あげていく必要があります。

※詳細は、下記のアドレスを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000576824.pdf

12月17日加藤厚労相は、2020年度診療報酬改定を0.46%マイナス改定とすると発表しました。内訳は、本体部分が0.55%引き上げ、薬価が0.98%マイナス、材料価格が0.02%マイナスとなるとしました。

全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、12月18日に「安倍政権下での4回連続マイナス改定に抗議する~2020年度診療報酬改定率について~」とする談話を発表したので紹介します。

加藤勝信厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣は12月17日、2020年度の診療報酬改定率について折衝を行い、本体部分を0.55%引き上げとし、そのうち0.08%を「救急病院における勤務医の働き方改革への特例的な対応」とすることで合意した。一方、薬価は0.99%、医療材料価格は0.02%引き下げ、診療報酬全体の改定率は、0.46%のマイナス改定となる。安倍政権下で強められてきた医療・社会保障費の抑制路線のもとで、4回連続の実質マイナス改定となった。11月13日の中医協に報告された「第22回医療経済実態調査」結果では、病院では赤字基調が続いていること、医科・歯科診療所とも経営の改善が見られないこと、依然として医療・歯科医療従事者の給与水準は低い状況に留まっていることなどが示されている。今後高齢化なども背景に、複合的な疾患様態や様々な生活背景を抱える患者が増え、プライマリケアを支える地域の医療機関の役割発揮が求められている。またより多くのマンパワーを要する在宅医療に参入する医療機関を増やすことが喫緊の課題となっている。これらの問題解決のためには、医療従事者の人件費を保障し、患者・国民に提供される医療の質を担保する診療報酬の役割がますます重要となっている。本体0.55%引き上げは、この間の物価・人件費の上昇にすら届いていない。診療報酬の連続マイナス改定に強く抗議するとともに、国民医療を守る立場から診療報酬の大幅引き上げを求めるものである。

香川県保険医協会報2019年11月20日号(No.420)の「主張」欄に、「消費税増税と全世代型社会保障について」という文章を書いたので、転載します。

9月20日に全世代型社会保障検討会議の第1回会合が開催されました。そもそも、社会保障は、憲法25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を、国が「増進に努めなければならない」もので、「全世代」が対象となるのは当然のことです。

会議は当初非公開とされ、事後の説明でも閣僚以外の発言者氏名を伏せていました。マスコミからも「当事者がいない」という指摘があります。

「全世代型社会保障」という言葉は、「骨太方針2018」に出てきたもので、「消費税率の8%から10%への引上げ を実施し、少子化対策や年金、医療、介護に対する安定的な財源を確保する」としたものです。しかし、周知のとおり、消費税で社会保障がよくなったという事実はありません。

後日公開された議事録に出ている意見のうち、医療に関するものを拾うと、以下の通りです。
  ・年齢で負担額を区切るのではなく、75歳を過ぎても、74歳までの自己負担を継続する
  ・市販品類似薬をどう扱うかなどの医療保険の給付範囲を見直す
  ・年齢によって負担割合が決まるのではなく、能力に見合った負担を
  ・75歳になられる方の負担を継続する
  ・外来受診時の負担金
  ・年齢をベースとするものではなくて、応能負担の徹底が重要
  ・マイナンバーの活用が重要
  ・無駄なベッド数の削減等をやっていくべき
  ・地域医療構想の完全実施など、医療提供体制改革を進めていく

などです。

分かりやすく言うと、原則1割負担の後期高齢者医療保険の自己負担を2割とし、将来的に3割とする。風邪薬や湿布薬、花粉症の薬、漢方薬など同効薬が薬局で売っている場合は、保険外しとする。1~3割の外来受診時の負担に一定額プラスして自己負担を増やす。マイナンバーカードを活用し、医療や介護の保険料の納入状況、医療や介護の利用状況、年金の受給額などを、紐づけして総合的に把握する。地域医療構想をしっかりと実施して、入院ベッドの削減を行うなどです。

とても容認できるものではなく、反対の声を大きく上げていく必要があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年10月20日付(第1828号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その5)の後半です。

以下、先述の記事(※)からの引用です
 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

47年8月に創刊された「岩手の保健」(岩手県国保連編)の巻頭には発刊の言葉として「反省と新発足~国民健康保険組合制度について」という文章が掲げられています(岩手県保険課長竹下定)。

……健康は、個人の幸福の根源である。

従って個人の健康が害されて病気になったときに、経済的な理由からして充分に、それを治療させることができないというようなことは、言うまでもなく人生の最も大きな悲惨事であって、これをそのまま放任しておくということは人道としてゆるされない……。

そのように人道主義ということから出発して、経済的な弱者の個人的な幸福を、保護することを目的とした従来のいわゆる社会事業と相通じた、思想的根柢の上に立っていたということになる。

我が国の社会立法は国民健康保険制定に至るまでは、多くの場合は、都市民を対象とし、農漁村民を対象としたものは極めてまれであった。そのようにして完全なる自治制をもつ、社会立法としての国民健康保険は最も時重要なる地位にあるものであるから、現下の国民健康保険については、静かに反省してみる必要がある……。

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

岩手に次いで、1956年に滋賀県が、1957年に山形県が皆保険を達成しました。

※「大転換する国保―社会保障としての国民健康保険―」寺内順子(大阪社保協事務局長)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年10月20日付(第1828号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その5)の前半です。

前回(第1062-1063回)は戦前の国民保険制度の黎明期について触れました。

戦前の国民健康保険制度の成立の背景について、「全国保険医新聞」17年3月25日号の記事(※)から引用します。
 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

戦前の国民健康保険法は38年に施行されました。……兵士の多くは農民であり、特に東北は陸軍から「良兵産出地帯」などと揶揄されていましたが、農村地帯は貧困かつ「無医村」であり、医療は手の届くところにはありませんでした。……政府はそれまで農民の健康状態には全く無関心でしたが、徴兵検査で全国的に甲種合格率が下がったことに危機感を持ち、農民の医療保障に初めて関心を持ったのです。
 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

戦争が終わり、46年11月3日公布、47年5月3日施行で現在の日本国憲法がスタートします。

憲法25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と定められています。

憲法とは国民の守る義務を定めたものではなく、国家権力(政治家や公務員など「権力者」)を縛る規範です。

その後国保法改正が続き、48年の第3次改正で、戦前の任意設立の「国民健康保険組合」から市町村公営の原則、市町村内の世帯主または同一事業者などの従事者の「任意加入」から被用者でない住民の強制加入が定められるという変更が行われました。

57年には「国民健康保険全国普及4ヵ年計画」が発足し、58年に国保法の全面改正が行われ、被用者保険に加入していない人は全て、国民健康保険制度に加入することになり、国民皆保険制度が実施されることになりました。

これに先立ち、55年には岩手県が、戦前の医療利用組合をもとにして、健康保険の100%加入を達成しています。

※「大転換する国保―社会保障としての国民健康保険―」寺内順子(大阪社保協事務局長)

2020年は医療費の定価を示す診療報酬の改定の年です。財務省は11月1日に開催した財政制度審議会財政制度分科会の中で、「国民医療費は過去10年間で平均2.4%/年のペースで増加。このうち、高齢化等の要因による増加は平均1.1%/年であり、残りの半分程度は人口増減や高齢化の影響とは関係のない要素によるもの」とし、診療報酬の引き下げを提案しました。

しかし、一方で医療保険を支える財源として「公費については、既に国債発行に大きく依存し、将来世代につけ回しを行っている」としました。

しかし、政府・厚労省はこれまで、消費税は社会保障の充実にために使う説明してきました。消費税を8%から10%に引き上げたとたん、医療費は国債による借金で賄っているといい始めました。

これほどおかしな話はありません。社会保障財源を確保するのは憲法25条に定めた「健康で文化的な生活」を保障する国の責務です。いまこそ、社会保障の充実をの声を上げていく必要があります。

香川県保険医協会は11月28日の定例理事会で、オスプレイ飛行等の日米合同訓練に対する抗議文を採択したので紹介します。

この問題は、単に一地域の問題ではなく、国民の命と安全にかかわるものです。さまざまな団体・個人が声を上げていくことが重要です。

米軍再編に係る訓練移転に関する訓練に抗議します

2019年11月28日

11月14日、「米軍再編に係る訓練移転に関する訓練計画(日米共同訓練)」の説明が、訓練が行われる地元の坂出市で行われたと報じられました。

訓練期間は、本年12月1日から13日、場所は坂出市と高松市にまたがって広がる国分台演習場とされ、訓練ではオスプレイ(MV-22)が4機程度使用される内容となっています。香川県内にオスプレイが飛来するのは初めてで、四国内での訓練は初めてです。

一昨年(2017年)12月13日に、沖縄県名護市沿岸に墜落する大事故を起こしたオスプレイを、訓練に使用することについて、香川県をはじめ地元自治体や住民は非常に困惑し、不安を訴えています。訓練場所付近は、教育関係施設や観光施設、寺院が存在しており、また、収穫期を迎えたミカン農場が広がる場所です。本来は多くの人々が娯楽、観光、研修などに訪れる平和な場所です。

森田中国四国防衛局長は、機体の安全確認は防衛庁がしている旨の発言をしていますが、「『オスプレイにリスク』エンジン改善を勧告 米監査機関が報告書」との報道もあります。また、オスプレイは開発段階で事故が多発したことから、安全性を疑問視・憂慮する声が米国内でもあがっています。

何よりも、オスプレイは単なる輸送機ではなく、敵地に潜入して偵察や破壊活動、要人の殺害や拉致、爆撃や空挺作戦の誘導を行うなどを任務とする兵器です。今回、訓練に使用されるMV-22は海兵隊用の機材で、既に岩国基地において夜間潜入訓練を行っており、基本的な任務は同様です。

任務も、機体の安全も、また沖縄同様の事故発生の危険も併せ持った、オスプレイによる日米合同訓練に、人間の生命と健康を守る医師・歯科医師は、国民の健康と生命を脅かすオスプレイの飛行に、断固として反対します。

私たち香川県の保険医は、日本政府が日米地位協定など、日米同盟最優先の態度・方針を改めるよう求めるとともに、オスプレイを使用する合同訓練に強く抗議します。