第1082回:国民健康保険制度を考える(その10)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年10月20日付(第1828号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その5)の後半です。

以下、先述の記事(※)からの引用です
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47年8月に創刊された「岩手の保健」(岩手県国保連編)の巻頭には発刊の言葉として「反省と新発足~国民健康保険組合制度について」という文章が掲げられています(岩手県保険課長竹下定)。

……健康は、個人の幸福の根源である。

従って個人の健康が害されて病気になったときに、経済的な理由からして充分に、それを治療させることができないというようなことは、言うまでもなく人生の最も大きな悲惨事であって、これをそのまま放任しておくということは人道としてゆるされない……。

そのように人道主義ということから出発して、経済的な弱者の個人的な幸福を、保護することを目的とした従来のいわゆる社会事業と相通じた、思想的根柢の上に立っていたということになる。

我が国の社会立法は国民健康保険制定に至るまでは、多くの場合は、都市民を対象とし、農漁村民を対象としたものは極めてまれであった。そのようにして完全なる自治制をもつ、社会立法としての国民健康保険は最も時重要なる地位にあるものであるから、現下の国民健康保険については、静かに反省してみる必要がある……。

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岩手に次いで、1956年に滋賀県が、1957年に山形県が皆保険を達成しました。

※「大転換する国保―社会保障としての国民健康保険―」寺内順子(大阪社保協事務局長)