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Monthly Archives: 9月 2020

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年8月9日付(第1857号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その3)の前半です。

7月31日、新型コロナウイルスの感染者が全国で1500人を超えました。 医療機関の経営問題がマスメディアでも、やっと取り上げられるようになりました。

独立行政法人福祉医療機構が7月9日に「病院経営動向調査」を公表しました。病院経営動向調査モニターの対象となる375施設のうち83%の311施設が回答した結果です。

全国に緊急事態宣言が発令された4月は一般病院の74.3%が減収、5月は一般病院の8割強で減収、2割強の病院では減収幅が30%を超える見込みとしています。

「病院経営にとって想定をはるかに超える影響」で、1割減収が3カ月続けば「およそ25%の病院で資金繰りが苦しくなる」とし、「収益がすぐに改善するという見通しはたてにくく」「融資を含めた各種対応」を望んでいます。

医学部のある大学と病院でつくる全国医学部長病院長会議は、7月20日に、新型コロナ感染症の影響による経営実態を公表しました。それによると、4月と5月合わせて313億円の損失が出ています。

診療に伴う収入が前年同月比で、4月は収入が10.1%減、費用が0.2%増で191億円の赤字。5月は、収入が16.1%減、費用は4.2%減で122億円の赤字となりました。

外来患者は4月が21%減、5月が27%減、ベッドの利用率は、4月が11.6%減、5月が16.4%減となっています。手術件数の減少も4月は1万8千件(19%)、5月は2万8千件(31%)で経営的に大きな打撃になっています。

新型コロナ感染症にかかった患者さんや、家族、同僚、勤務先への嫌がらせや偏見・差別の例が絶えません。対応している医療機関やその職員、家族に対しても偏見・差別が絶えることなく、許せないことです。

本欄でも、4月14日(1109回)17日(1110回)8月28日(1137回)で、この問題を取り上げてきました。

日本看護協会の福井トシ子会長は4月22日、オンラインでの記者会見で、看護師やその家族に対する偏見や差別の現状を説明し、看護師への危険手当や、公費によるPCR検査の充実などを訴えました。

その中で、「感染者を受け入れる病棟が限られる中で、対応する看護師も単身者等の条件で選抜され、自らの感染・家族への感染が不安で精神的につらい」「妊娠を継続しながら医療機関で勤務しており、家族からは『出勤するな』と言われ、苦しい」などの声を紹介しました。

差別や偏見も、「患者を受け入れている医療機関の看護職の子供が、保育園の登園の自粛を求められた」「業務終了後、タクシーに乗車しようとした際、看護職という理由で乗車を拒否された」「夫が勤務先より休むよう言われた」「子供がいじめにあった」など、家族に対する差別や偏見の例も挙げられました。(以上、4月22日「読売」より)

9月14日の浜田知事の定例記者会見で、県内で発生した医療機関内での感染について、「昨日、医療従事者に関して、今回の感染をもって中傷が生じないようにお願いしたいという旨発言があった」がと問われ、「医師、看護師の皆さまが、医療従事者の皆さまが、このコロナの対応に当たっていただいている、また、コロナ以外についても、いろいろな影響が出ている中で、日夜対応していただいていることに、改めて感謝申し上げたいと思います」と回答しました。

行政のトップが、偏見や差別を行わないように県民に訴えるというのは大変大事なことだと思います。

前回、社会保険診療報酬支払基金のデータを紹介しました。全国保険医新聞の9月15日号に、支払基金と国保中央会のデータを合算した数字が掲載されています。これで、日本全体の医療の状況がほぼ100%近く把握できます。

それによると、医療費については、以下の通りです

入院 入院外 歯科
4月 -6.5% -14.0% -15.6%
5月 -10.1% -15.8% -15.7%

入院外とは外来と同じです。前回は「件数」つまり、外来患者数データでしたが、今回は収入そのものです。

どこの業界でも15%減というのは経営が続くどうかという致命的な影響を示す数値です。

このまま、医療機関の経営に直接的な支援がなければ、まさに「地域医療の崩壊」になりかねません。

これまで本欄に何度か、新型コロナ感染症のまん延が医療機関の経営に打撃を与えていることに触れてきました。今回は、日本全体でどうだったのか、という話題です。

社会保険診療報酬支払基金が、9月1日に「令和2年6月診療分の件数が前年同月比で13.6%減少」と6月の日本全体の医療のデータについて公表しました。このデータは協会けんぽや健保組合などの「勤め人」に関わる診療データです(これ以外に「国民保険」等のデータもあるのですが)。

前年同月比で、4月以降大幅な減少が続いていましたが、6月分は減少幅は縮小しています。とはいっても、総計で前年6月に比し件数は13.6%減、金額では3.9%減になっています。ただし、曜日の並びの関係で、土曜を含む平日が今年の方が昨年より多い、土曜は昨年の方が多い、ということですから、土曜が休日でも診療日でも、外来は今年の方が昨年より診療日数が多いわけで、それでも昨年より減っているということになります。

2月診療分でみると、インフルエンザの流行時期の関係で、今年は昨年より件数は3.0%増加していました。それが、3月は12.0%減、4月は22.9%減、5月は24.2%減、6月は13.6%減、ということになります。

このまま、医療機関の経営に直接的な支援がなければ、まさに「地域医療の崩壊」になりかねません。

9月6日に、第151回保団連四国ブロック会議が開催されました。

前回150回は節目の会議なので少し規模を大きくと準備していましたが、6月2日付本欄第1119回で紹介したように記念講演会や祝賀会は中止とし、WEB会議で開催しました。

今回も主幹は徳島協会ですが、WEB会議での開催となりました。意見交換は対面の会合ではないため十分な意見効果とはいきませんが、活発な討論が行われました。

会議で採択された「全医療機関に対する国・地方自治体に補償を求める決議」の要求項目を紹介します。

一、すべての医科・歯科医療機関に対して、支援金、給付金等による減収補填策を講じること特に、新規開業の医療機関に対しては、融資の返済猶予、家賃・人件費の補助などの財政措置を講じること

一、感染予防のための医療用マスク、消毒薬等の衛生材料を国において確保し、全ての医科・歯科医療機関に不足が生じた場合は迅速・確実に供給する体制を整えること

一、受診控えによる住民の健康悪化や重症化を防止するため、患者さんが安心して医療機関を受診できる環境づくりをさらにすすめること

一、安心して社会活動が行えるよう、「新型コロナ」の検査体制を徹底的に拡充すること。

9月5日に香川医療生協研修室で、「香川アスベスト被害者を守る友の会」の第9回総会が開かれました。7月に開催する予定でしたが、新型コロナ感染症蔓延に伴い9月に延期したものです。感染の収束には至っておらず、記念講演は再度延期として「総会」だけ開催することになりました。

依頼していた講師の先生には大変申し訳ないと思います。来年の第10回総会は、WEB開催を前提にして企画する予定です。

この1年余りの活動の重要な点は、香川県との懇談の開催です。昨年の11月19日付の本欄第1075回に報じた通りですが、自治体が、アスベストの飛散しやすい「レベル3」対応の条例の必要性を強く訴えました。先月は高松市の担当部局との懇談を考えていましたが、これも開催自体が困難なため申し入れを延期しています。県や市も感染対策を講じたうえで徐々に研修会を再開していますので、こちらも速やかに申し入れを行う予定です。

こういった地道な取り組みを続けていきたいと思います。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年7月19日付(第1854号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その2)の後半です。

日本病院協会などの病院関連団体、日本医師会、全国保険医団体連合会や全国の保険医協会・保険医会、前回も紹介した全日本民主医療機関連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会など多くの団体が窮状を報告しています。

大学病院でも同様です。東北大学病院(仙台市)は、宮城県内に7つある新型コロナウイルスに対応した指定医療機関の1つで、重症者も含めて複数の患者を受け入れ、全員退院しています。病院では感染の拡大に対応するため3月下旬から従来の感染症専用のベッドだけでなく、集中治療室の2つのベッドも空けていて、緊急性が低いほかの病気の手術を延期するなどしてきました。この影響で、4月と5月の手術の件数が前の年の同じ月に比べてそれぞれ200件余り減少しました。4月分の診療報酬は前の年の同じ月よりおよそ4億円減少しています。(NHK WEB 6月22日)

小児科や耳鼻咽喉科、整形外科などでは深刻な患者減になっています。

「緊急性のない手術は延期」「ペースメーカーのチェックは1年後でよい」など、確かに「不急」ではあっても、「不要」ではないはずの医療行為が遠ざけられている気もします。

「これまでくる必要なない患者が多かったのではないか」という声もありますが、「不要」という判断はなかなか難しいのではないでしょうか。

企業検診の延期が続く中でも、小規模事業所で新型コロナ感染症患者が極めて少ない地域では検診が行われています。そんな中で、胃カメラを行い内視鏡手術可能な早期胃がんが見つかると、やや複雑な思いがします。

もしこの方の勤務先が大企業で全国組織なので一律検診延期だったとして、半年後に発見して「早く見つかってよかったですね」と言えるかどうか、「半年前にもあったんですよね」と聞かれたらどう答えるか、難しい問題です。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年7月19日付(第1854号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その2)の前半です。

4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法規定に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言が発出されました。4月16日には対象地域が全都道府県になりました。

東京都など当初指定された7都道県などでは、3月頃から新型コロナ感染症患者が急増していたため、病院への受診をためらう傾向が顕著になりました。また、医療機関の側でも発熱患者の診療をためらう傾向もありました。

また、人間ドックや検診についても関連学会等から注意喚起や延期勧告などがなされ、厚労省や自治体も特定検診などの延期の指示がありました。呼吸器関連の学会からも検診での呼吸機能検査については事実上中止勧告が行われました。

本来なら5月は企業検診をはじめ学校検診や予防注射も始まる時期です。 また、6月頃からは自治体の特定検診も始まる頃です。

外来受診を控える患者が増え、検診や予防接種を受ける人も減りましたから、新型コロナ感染症患者が増加している地域だけでなく、それほど流行している訳でもない地域でも一斉に患者・利用者が減少することになりました。

もちろん、ウイルスという目に見えない病原体が相手であり、症状の出ない感染者がたくさんいると思われるがPCR検査の対象が限られていたこともあり、病院に行けば隣に座っている人が感染者かもしれないという恐怖感もあったのだと思いますからやむを得ない点はあったと思います。

しかし、医療機関では患者・利用者が激減するという結果を招きました。