第1142回:支払基金のデータから見た新型コロナ感染症の医療機関への影響

これまで本欄に何度か、新型コロナ感染症のまん延が医療機関の経営に打撃を与えていることに触れてきました。今回は、日本全体でどうだったのか、という話題です。

社会保険診療報酬支払基金が、9月1日に「令和2年6月診療分の件数が前年同月比で13.6%減少」と6月の日本全体の医療のデータについて公表しました。このデータは協会けんぽや健保組合などの「勤め人」に関わる診療データです(これ以外に「国民保険」等のデータもあるのですが)。

前年同月比で、4月以降大幅な減少が続いていましたが、6月分は減少幅は縮小しています。とはいっても、総計で前年6月に比し件数は13.6%減、金額では3.9%減になっています。ただし、曜日の並びの関係で、土曜を含む平日が今年の方が昨年より多い、土曜は昨年の方が多い、ということですから、土曜が休日でも診療日でも、外来は今年の方が昨年より診療日数が多いわけで、それでも昨年より減っているということになります。

2月診療分でみると、インフルエンザの流行時期の関係で、今年は昨年より件数は3.0%増加していました。それが、3月は12.0%減、4月は22.9%減、5月は24.2%減、6月は13.6%減、ということになります。

このまま、医療機関の経営に直接的な支援がなければ、まさに「地域医療の崩壊」になりかねません。