第1139回:新型コロナ感染症が医療機関の経営に与えた影響(その4)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年7月19日付(第1854号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その2)の後半です。

日本病院協会などの病院関連団体、日本医師会、全国保険医団体連合会や全国の保険医協会・保険医会、前回も紹介した全日本民主医療機関連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会など多くの団体が窮状を報告しています。

大学病院でも同様です。東北大学病院(仙台市)は、宮城県内に7つある新型コロナウイルスに対応した指定医療機関の1つで、重症者も含めて複数の患者を受け入れ、全員退院しています。病院では感染の拡大に対応するため3月下旬から従来の感染症専用のベッドだけでなく、集中治療室の2つのベッドも空けていて、緊急性が低いほかの病気の手術を延期するなどしてきました。この影響で、4月と5月の手術の件数が前の年の同じ月に比べてそれぞれ200件余り減少しました。4月分の診療報酬は前の年の同じ月よりおよそ4億円減少しています。(NHK WEB 6月22日)

小児科や耳鼻咽喉科、整形外科などでは深刻な患者減になっています。

「緊急性のない手術は延期」「ペースメーカーのチェックは1年後でよい」など、確かに「不急」ではあっても、「不要」ではないはずの医療行為が遠ざけられている気もします。

「これまでくる必要なない患者が多かったのではないか」という声もありますが、「不要」という判断はなかなか難しいのではないでしょうか。

企業検診の延期が続く中でも、小規模事業所で新型コロナ感染症患者が極めて少ない地域では検診が行われています。そんな中で、胃カメラを行い内視鏡手術可能な早期胃がんが見つかると、やや複雑な思いがします。

もしこの方の勤務先が大企業で全国組織なので一律検診延期だったとして、半年後に発見して「早く見つかってよかったですね」と言えるかどうか、「半年前にもあったんですよね」と聞かれたらどう答えるか、難しい問題です。