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Monthly Archives: 2月 2020

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年1月19日付(第1836号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その8)の前半です。

前回は、「国保料」と「国保税」、「応能割」と「応益割」、「所得割」と「資産割」、「均等割」と「平等割」について述べました。今回も、国保の都道府県単一化以前の仕組みについて述べます。

自治体によって国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)が異なりますが、その要因は、以下の3点です。

①保険給付費、つまり国保を利用する際の医療費の違い。

②住民所得の違い。

③都道府県及び市町村からの繰入金。

①は、高齢化率、医療機関の分布、疾病構造などが影響します。
高齢者が増えると病気になる人が増えますから当然医療費も増えます。近くに大病院があると高額な検査が増えるし、入院しやすい状況になりますから医療費は増加します(年齢には関係ありませんが)。医療費の増加の一因でもある高額薬剤を使用する疾病が多ければ、医療費も増加します。

②国保料の算定のうち、「所得割」については、住民の所得により異なってきます。保険給付費が多く所得が少なければ、所得割の料率が高くなります。

③市町村国保に対しては、都道府県を通じて支給される国の特別調整交付金(結核・精神の疾病に係る医療費等が多額である場合等)のほか、一般会計からの繰入金があります。後者の額は自治体の姿勢により大きく異なりますから、単純に他自治体と比較はできません。

また、国保法では低所得者に対する減免措置(法定減免制度)と、自治体が定める申請減免制度があります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の後半です。

さらに、保険料を減免する規定の運用が柔軟な自治体とそうでないところ、事実上の無保険者を作り出す被保険者資格証明書(資格証明書)の発行に積極的なところとそうでないところなど、自治体間の差は大きいというのが実態です。

これは結局、自治体=首長や議会の姿勢によるものですが、住民の意識はどうかという問題もあります。

話が少しそれますが、毎年秋に、社会保障推進協議会(社保協)が「自治体キャラバン」を行い県内すべての市町、香川県、香川県後期高齢者医療広域連合と懇談を行っていますが、ここへの住民参加が十分かというと、必ずしもそうではないという問題もあります。

国保の保険料は、支払い能力に応じて決められる「応能割」と、支払い能力に関わらず一定の条件に合致すれば決められる「応益割」があります。

応能割には、所得に応じて決められる「所得割」と、資産に応じて決められる「資産割」があります。所得割の計算方式には所得比例方式(旧ただし書き方式)と住民税方式があります。13年度からは原則所得比例方式になり、総所得から基礎控除(33万円)を引いた金額に保険料率をかけて計算し、現在はすべての自治体でこの方式をとっています。住民税方式によると、各種控除額を引いて計算するために低所得者の保険料率が下がることがありました。

応益割には、加入人数に対して決められる「均等割」と、世帯に対して負担が求められる「平等割」があります。問題は、「均等割」で、子どもが一人生まれるたびに増えるわけで、古代から中世にかけて世界でみられた「人頭税」と同じ性格をもつものとして批判の的になっています。

この応益割の比率が高くなると、所得に関係なく国保料が増えるわけで、高すぎる国保料ということになります。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の前半です。

今回は、国民健康保険の仕組みを考えてみます。

15年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法の一部を改正する法律」が成立、18年4月からは、これまでの市町村に加え、都道府県も国民健康保険制度の運営を行うことになりました。

今回の内容は、国保の都道府県単一化以前の仕組みついて述べることにします。

国保は各自治体が保険者となり運営しています。そのため、保険料の算出方法やその金額は自治体により異なります。そもそも、呼び名が「国民保険料」「国民保険税」と異なります。

「国民健康保険ガイド」を参考にして述べます。

保険料と保険税は、関係する法令が異なります。保険料の場合は国税徴収法、保険税の場合は地方税法により徴収されます。

滞納した場合の徴収権の消滅時効は、保険料は2年ですが、保険税は5年です。差し押さえの優先順位が、保険料の優先順位は、住民税の次ですが、保険税は住民税と同じです。

自治体の立場でいえば、保険税の方が優先して弁済を受けることができるので、「有利」ということになります。

国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)は、加入の届出をした日からではなく、資格を取得した日から支払う必要があります。保険税は遡って請求できる期間が長いため、届出が遅れると遡って課税されることになり、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が、保険料と保険税では異なります。

保険料の遡及は最大2年ですが、保険税は最大3年になります。

いずれにしても、滞納した場合の話ではありますが、そもそも払える額の保険料なのか、という問題があります。

本欄1095回(2月7日付)の続きです。

今回は、独立行政法人 国立病院機構 高松医療センターです。1月28日に、香川県保険医協会理事会の声明を手に、高松医療センターを訪問しましたが、院長・事務部長ともに処方で不在のため資料を渡すだけになりました。アポなしでの訪問ですから、不在でもやむを得ないのですが。

高松医療センターの現況を、ホームページからかいつまんで引用します。全文は、下記のアドレスを参照ください。

https://takamatsu.hosp.go.jp/about/greeting.html

昭和16年に「香川県立高松療養所」として創設され、日本医療団への移管、そして昭和22年に厚生労働省に移管され「国立高松療養所」を経て「国立療養所高松病院」となりました。平成20年に現在の「高松医療センター」へと変遷してまいりました。

創設当時の「結核専門の医療」から昭和40年頃には「脳卒中リハビリテーションの医療」へ昭和61年からは神経難病患者の受け入れを開始しました。そして徐々に受け入れ患者数が増加し、令和元年現在、香川県における結核の最終拠点病院および神経筋疾患の領域別拠点病院の役割を担っています。

一般診療として、病院全体を障害病棟に機能転換しました。機能的には亜急性期から回復期の役割を担っております。

平成30年4月、4個病棟全てが障害病棟となりました。

平成31年2月、筋ジストロフィーの専門外来を開始しました。同時に、療養介護病棟の空床を利用し、医療型短期入所サービスを開始しました。

厚労省は、厚労省が定めた9つの項目(第1092回 1月28日付を参照)について診療実績が乏しい、「がん」「心疾患」「脳卒中」「救急」「小児」「周産期医療」について「類似かつ近接する医療機関がある」とされました。

しかし、上記のHPの内容からすれば、すでに自主的に役割を定め病床機能の変更が終わっています。

今回の厚労省の判断が、いかに実情を見ていないか明らかではないでしょうか。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年11月17日付(第1831号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その6)の後半です。

現在の日本の社会保障の中心となる仕組みは「社会保険」です。国保などの公的な医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、いずれも同じ構造で、これらの保険で社会保障予算の九割を占めています。

社会保険には、「社会原理」と「保険原理」という、二つの性格があります。

「社会原理」とは、個人にも負担を求める(保険料負担がある)が、被用者保険のように事業主にも負担を求めるというものです。

かつて、建設労働者などには「ケガと弁当は手前持ち」という言葉がありました。病気、ケガ、高齢に伴う問題、失業などは個人の責任や助け合いの仕組みでは解決できません。

本紙七月号に、旧社会保険庁が発行していた、「社会保険の手引き」を引用し、日本の社会保険を以下の五点で特徴づけていると紹介しました。

①相互扶助 ②企業主の責任③国が責任をもって運営(公費の投入)④加入の義務付け⑤保険料負担。

これが「社会原理」で、民間保険との大きな違いです。

「保険原理」とは、サービスを利用するのなら保険料を納めなさい、ということです。民間保険なら、保険料が払えないならそこで終了、ということになります。

昨今の財界等からでてくる議論は、この「保険原理」だけに着目した「受益者負担」という主張です。

しかし、病気になり保険給付を受けることが「益」(利益)なのでしょうか?だれも、保険給付を期待して病気になったりケガをするわけではありません。好き好んで入院する人はいません。

「受益者」という言葉を使うこと自体が本質から目を背けるものになっているといえます。

そういった観点から自治体のホームページをみてみる必要があります。

本欄1092回(1月28日付)で、1月23日に開催された香川県保険医協会の2019年度第9回理事会で採択された「声明」を紹介しました。

1月28日に、この声明を手に、さぬき市民病院、香川県済生会病院、国立病院機構高松医療センターを訪問しました。高松医療センターは院長・事務部長ともに不在で資料を渡すだけになりました。また、滝宮総合病院は時間の関係で訪問はできませんでしたが、他の2病院では懇談することができました。同日、東部構想区地域医療構想調整会議が開催されました。

この訪問での懇談内容と、調整会議に出席した方からの報告を聞いての感想です。

さぬき市民病院は、さぬき市立ですから、そもそも他の病院との合併・再編ということにはなりません。病院のあり方を決めるのはさぬき市議会・さぬき市民ということになります。他の医療機関との連携や役割分担は、国の指示に従うというものではなく、地域における役割と医師体制や財政規模とを検討する中で自主的に決めるべきものです。

香川県は2013年に策定した「第六次香川県保健医療計画」で香川県内を5つの医療圏に分け、調整を行ってきました。さぬき市民病院は、大川保健医療圏の中核病院としての機能を果たしてきました。しかし、2016年10月に策定した「香川県地域医療構想」の趣旨などを踏まえ、2018年3月に策定した「第七次香川県保健医療計画」で、香川県内の「構想区域」を3つとし、大川保健医療圏と高松保健医療圏を合わせて、「東部保健医療圏」としました。

そのため、「大川」では中心であっても、「高松」と一緒に様々な指標を並べたら、下の方に位置することになります。救急受け入れの数字などがその典型です。圧倒的に人口の多い「高松」の方が救急受け入れ件数が多くなるのは当たりまえと言えます。相撲でいえば、取り組みの途中で「土俵が広くなった」ようなもので、住民目線から言えばおかしなやり方だと思います。

病院のHPをみても、2008年6月に精神科病床を廃止し416床から226床に減床(その後199床に)、2012年1月に新病院となり、総病床数は179床になっています。感染症対応やDMAT対応など、地域でなくてはならない病院として機能しています。

こういった実態をみていないのが、今回の厚労省の、病院名の「発表」と言えます。

 地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年11月17日付(第1831号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その6)の前半です。

前回(12月13日付)は、58年に国保法の全面改正が行われ、被用者保険に加入していない人は全て、国民健康保険制度に加入することについて触れました。そして、61年に国民皆保険制度が実施されることになりました。

この国民健康保険法の第一条には、この法律の目的として、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定められました。

戦前の38年に制定された国民健康保険法は第一条にその目的として「相扶共済の精神に則り……」と書かれていたことと比較すると、憲法25条の内容が反映していることが、よくわかります。

高松市のホームページの「国民健康保険概要」、国民健康保険の項には「私達は、いつ、どこで大きな事故や病気に見舞われるか分かりません。このようなときに、安心して治療が受けられるように、日頃から保険料を出し合い、お互いに助け合うためにつくられた制度が医療保険の制度であり、国民健康保険もその一つです」と、憲法25条の内容とも、国保法の「法律の目的」とも異なる内容が記載されています。

他の市町のホームページを見てみると、善通寺市は「国保(国民健康保険)は、病気やケガに備えて、私たち加入者(被保険者)がお金(保険税)を出し合って医療費を負担していく制度です」。

三木町は「国民健康保険は、病気やけがをしたときに備えて、加入している人たちがお金を出し合い、安心して医療を受けられるようにする制度です」となっています。

いずれも、国保法第一条の「社会保障及び国民保健の向上」を考慮せず、「助け合いの仕組み」として運営していることがよくわかります。