第1099回:国民健康保険制度を考える(その14)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の後半です。

さらに、保険料を減免する規定の運用が柔軟な自治体とそうでないところ、事実上の無保険者を作り出す被保険者資格証明書(資格証明書)の発行に積極的なところとそうでないところなど、自治体間の差は大きいというのが実態です。

これは結局、自治体=首長や議会の姿勢によるものですが、住民の意識はどうかという問題もあります。

話が少しそれますが、毎年秋に、社会保障推進協議会(社保協)が「自治体キャラバン」を行い県内すべての市町、香川県、香川県後期高齢者医療広域連合と懇談を行っていますが、ここへの住民参加が十分かというと、必ずしもそうではないという問題もあります。

国保の保険料は、支払い能力に応じて決められる「応能割」と、支払い能力に関わらず一定の条件に合致すれば決められる「応益割」があります。

応能割には、所得に応じて決められる「所得割」と、資産に応じて決められる「資産割」があります。所得割の計算方式には所得比例方式(旧ただし書き方式)と住民税方式があります。13年度からは原則所得比例方式になり、総所得から基礎控除(33万円)を引いた金額に保険料率をかけて計算し、現在はすべての自治体でこの方式をとっています。住民税方式によると、各種控除額を引いて計算するために低所得者の保険料率が下がることがありました。

応益割には、加入人数に対して決められる「均等割」と、世帯に対して負担が求められる「平等割」があります。問題は、「均等割」で、子どもが一人生まれるたびに増えるわけで、古代から中世にかけて世界でみられた「人頭税」と同じ性格をもつものとして批判の的になっています。

この応益割の比率が高くなると、所得に関係なく国保料が増えるわけで、高すぎる国保料ということになります。