第1094回:国民健康保険制度を考える(その11)

 地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年11月17日付(第1831号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その6)の前半です。

前回(12月13日付)は、58年に国保法の全面改正が行われ、被用者保険に加入していない人は全て、国民健康保険制度に加入することについて触れました。そして、61年に国民皆保険制度が実施されることになりました。

この国民健康保険法の第一条には、この法律の目的として、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」と定められました。

戦前の38年に制定された国民健康保険法は第一条にその目的として「相扶共済の精神に則り……」と書かれていたことと比較すると、憲法25条の内容が反映していることが、よくわかります。

高松市のホームページの「国民健康保険概要」、国民健康保険の項には「私達は、いつ、どこで大きな事故や病気に見舞われるか分かりません。このようなときに、安心して治療が受けられるように、日頃から保険料を出し合い、お互いに助け合うためにつくられた制度が医療保険の制度であり、国民健康保険もその一つです」と、憲法25条の内容とも、国保法の「法律の目的」とも異なる内容が記載されています。

他の市町のホームページを見てみると、善通寺市は「国保(国民健康保険)は、病気やケガに備えて、私たち加入者(被保険者)がお金(保険税)を出し合って医療費を負担していく制度です」。

三木町は「国民健康保険は、病気やけがをしたときに備えて、加入している人たちがお金を出し合い、安心して医療を受けられるようにする制度です」となっています。

いずれも、国保法第一条の「社会保障及び国民保健の向上」を考慮せず、「助け合いの仕組み」として運営していることがよくわかります。