第1100回:国民健康保険制度を考える(その15)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年1月19日付(第1836号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その8)の前半です。

前回は、「国保料」と「国保税」、「応能割」と「応益割」、「所得割」と「資産割」、「均等割」と「平等割」について述べました。今回も、国保の都道府県単一化以前の仕組みについて述べます。

自治体によって国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)が異なりますが、その要因は、以下の3点です。

①保険給付費、つまり国保を利用する際の医療費の違い。

②住民所得の違い。

③都道府県及び市町村からの繰入金。

①は、高齢化率、医療機関の分布、疾病構造などが影響します。
高齢者が増えると病気になる人が増えますから当然医療費も増えます。近くに大病院があると高額な検査が増えるし、入院しやすい状況になりますから医療費は増加します(年齢には関係ありませんが)。医療費の増加の一因でもある高額薬剤を使用する疾病が多ければ、医療費も増加します。

②国保料の算定のうち、「所得割」については、住民の所得により異なってきます。保険給付費が多く所得が少なければ、所得割の料率が高くなります。

③市町村国保に対しては、都道府県を通じて支給される国の特別調整交付金(結核・精神の疾病に係る医療費等が多額である場合等)のほか、一般会計からの繰入金があります。後者の額は自治体の姿勢により大きく異なりますから、単純に他自治体と比較はできません。

また、国保法では低所得者に対する減免措置(法定減免制度)と、自治体が定める申請減免制度があります。