第1096回:国民健康保険制度を考える(その12)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年11月17日付(第1831号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その6)の後半です。

現在の日本の社会保障の中心となる仕組みは「社会保険」です。国保などの公的な医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険、いずれも同じ構造で、これらの保険で社会保障予算の九割を占めています。

社会保険には、「社会原理」と「保険原理」という、二つの性格があります。

「社会原理」とは、個人にも負担を求める(保険料負担がある)が、被用者保険のように事業主にも負担を求めるというものです。

かつて、建設労働者などには「ケガと弁当は手前持ち」という言葉がありました。病気、ケガ、高齢に伴う問題、失業などは個人の責任や助け合いの仕組みでは解決できません。

本紙七月号に、旧社会保険庁が発行していた、「社会保険の手引き」を引用し、日本の社会保険を以下の五点で特徴づけていると紹介しました。

①相互扶助 ②企業主の責任③国が責任をもって運営(公費の投入)④加入の義務付け⑤保険料負担。

これが「社会原理」で、民間保険との大きな違いです。

「保険原理」とは、サービスを利用するのなら保険料を納めなさい、ということです。民間保険なら、保険料が払えないならそこで終了、ということになります。

昨今の財界等からでてくる議論は、この「保険原理」だけに着目した「受益者負担」という主張です。

しかし、病気になり保険給付を受けることが「益」(利益)なのでしょうか?だれも、保険給付を期待して病気になったりケガをするわけではありません。好き好んで入院する人はいません。

「受益者」という言葉を使うこと自体が本質から目を背けるものになっているといえます。

そういった観点から自治体のホームページをみてみる必要があります。