第1098回:国民健康保険制度を考える(その13)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年12月15日付(第1834号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その7)の前半です。

今回は、国民健康保険の仕組みを考えてみます。

15年5月に「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法の一部を改正する法律」が成立、18年4月からは、これまでの市町村に加え、都道府県も国民健康保険制度の運営を行うことになりました。

今回の内容は、国保の都道府県単一化以前の仕組みついて述べることにします。

国保は各自治体が保険者となり運営しています。そのため、保険料の算出方法やその金額は自治体により異なります。そもそも、呼び名が「国民保険料」「国民保険税」と異なります。

「国民健康保険ガイド」を参考にして述べます。

保険料と保険税は、関係する法令が異なります。保険料の場合は国税徴収法、保険税の場合は地方税法により徴収されます。

滞納した場合の徴収権の消滅時効は、保険料は2年ですが、保険税は5年です。差し押さえの優先順位が、保険料の優先順位は、住民税の次ですが、保険税は住民税と同じです。

自治体の立場でいえば、保険税の方が優先して弁済を受けることができるので、「有利」ということになります。

国保の保険料・税(以下、国保料と表現します)は、加入の届出をした日からではなく、資格を取得した日から支払う必要があります。保険税は遡って請求できる期間が長いため、届出が遅れると遡って課税されることになり、過去の滞納分に対して請求できる上限年数が、保険料と保険税では異なります。

保険料の遡及は最大2年ですが、保険税は最大3年になります。

いずれにしても、滞納した場合の話ではありますが、そもそも払える額の保険料なのか、という問題があります。