毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

飛来峰記事

ネパール地震についての支援の呼びかけを、4月28日付(第718回)の本欄で訴えました。この間、APHCO(アジア・太平洋地域保健協同組合協議会)の会長として、フェクトネパールに激励のメッセージを送ってきました。

今回、フェクトネパールのプラダン先生から、返信が送られてきました。

フェクトネパールは、カトマンズ市内にカトマンズ・モデル病院を、山間のキルティプルにも大学病院を運営しています。いずれも今回の地震で大きな被害はなく、救急患者に24時間対応を行っています。

キルティプルの病院の体制を強化し、レントゲンや手術室、ICUへの対応を強化しています。

Phect-NEPAL would like to express sincere thanks to the Asia Pacific Health Cooperative Organization and Japanese Health and Welfare Cooperative Federation for expressing deep concern and sympathy on the loss due to the devastating earthquake through out Nepal on April 25, 2015.

Phect-NEPAL is doing its best possible care to the victims of the earthquake through its Kathmandu Model Hospital, Kirtipur Hospital and regular community based health camps. This difficult period has forced us to upgrade our Kirtipur Hospital with complete radiology, operation theaters and ICU services to cope with the possible post disaster effects & complications and rehabilitation of the casualties.

We appreciate support and cooperation from HeW-COOP Japan and APHCO Member Countries to overcome the difficult situation in coming days.

Dr. Bharat Pradhan/Executive Director/Phect-NEPAL

被災者とフェクトネパールへの支援のために、募金を行っています。集まった募金は医療福祉生協連を通じて、フェクトネパールに送付する予定です。香川医療生協の事業所まで募金をお寄せください。

香川県保険医協会は機関紙「香川県保険医協会報」の「社保のページ」に介護保険改定に関する連載を行っています。
2015年2月号に掲載した内容を転載します。内容的にはこれまでの「飛来峰」の内容と重複します。

2015年4月から介護保険法が改定され、3年に1度の介護報酬改定も行われます。改定の詳細について、連載したいと思います。
介護認定で「要支援」と判定された場合、ホームヘルパー(45万人利用)・デイサービス(50万人利用)の利用が介護保険から外されます。
かわりに市区町村の「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)で対応します。従来の施設基準・人員基準等は廃止されますから、自治体により対象やサービス内容が異なることになります。サービス事業には予算の上限が定められますから、財政等に余力があり、サービスを充実できる自治体では対応可能ですが、そうでなければサービス内容は不十分になります。
これまで介護職が行ってきたサービスが、専門技量を持たない無資格のボランティアが対応することにもなります。自治体でも「ボランティアなど受け皿がなく、移行は困難」という声もあります。「安全・安心」には程遠い「新しい総合事業」になる可能性があります。
自治体の準備状況について、中央社保協(中央社会保障推進協議会)が2014年9月から11月にかけて、47都道府県の社保協を通じ、アンケート調査を行いました。
その結果をまとめた、2014年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」報告書では、回答のあった35都道府県の950自治体のうち、「要支援1・2サービスの地域支援事業への移行」について、「見通しがたたない」「できない」と回答したのが74・0%、「できる」としたのは8・9%でした。
厚労省の調査では2015年度中に移行できるのは144自治体(7・2%)、この4月から移行できるのは78自治体(4・9%)、13府県では移行自治体がゼロでした。今回の介護保険改悪が、大きな矛盾に突き当たった形です。
大半の自治体が準備中ですから、計画を具体的に明らかにさせ、準備状況について情報公開を求めていくことが必要です。そして、「改悪」の撤回を求める運動を広げていく必要があります。

いつでも自衛隊を海外に派遣できる「国際平和支援法案」と、10本の改正法案をまとめた、「戦争立法」が14日にも閣議決定されようとしています。それに先立ち、5月1日付で、医療福祉生協連会長理事として、以下の声明を発表しましたので、紹介します。

新日米防衛指針(ガイドライン)の合意撤回を求める

2015年5月1日

日本医療福祉生活協同組合連合会
会長理事 藤原 高明

日米両政府は、27日にニューヨークで開催した外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)において、18年ぶりの「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」改定(以下、「新ガイドライン」)に合意しました。

「新ガイドライン」は、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」「宇宙及びサイバー空間に関する協力」「日米共同の取り組み」という項目を立て、日本が集団的自衛権を行使することを前提に米軍への後方支援の地理的制限をなくしただけでなく、宇宙空間やサイバー空間までも含めて米軍との協力を可能にしています。

集団的自衛権行使は閣議決定後関連法制の整備がすすめられ、この通常国会で関連法規が審議される予定のものであり、その審議も待たずに集団的自衛権の行使を前提にした「新ガイドライン」に合意することは国会軽視・国民無視であり、内閣の行為としてあってはならないことです。

日米安保条約は第6条で「極東の平和と安全」に寄与することを定め、日本政府は従来の指針の際、「極東」を「フィリピン以北並びに日本及びその周辺地域」と説明してきました。「新ガイドライン」は地理的制約を取り払い「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域」とすることで、地球規模にその範囲を広げました。これは日米安保条約の事実上の改定に等しいもので、認めることはできません。

「新ガイドライン」は、第2次世界大戦後70年をかけて築いてきた日本国憲法の理念や平和国家の姿を投げ捨て、紛争解決の手段としての外交努力を放棄し、米軍と一体となり自衛隊員を「平和維持」の名目で戦地に送るものです。

戦後政治の転換をもたらすこうした重大な決定は国民への丁寧な説明と、国会における十分な論議を経て承認されるべきものです。医療福祉生協連は政府に対して「新ガイドライン」合意を直ちに撤回し、国民に対する丁寧な説明と国会での徹底審議を求めます。

以上

~医療保険制度改革関連法案の衆議院本会議採決にあたって~

2015年4月28日

香川民主医療機関連合会 会長 中田 耕次
香川医療生活協同組合 理事長 藤原 高明
高松平和病院 院長      蓮井 宏樹
高松協同病院 院長      田中 眞治

 政府・与党は、4月28日、医療保険制度改革関連法案(「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」)を衆議院本会議で採決強行をしました。衆議院厚生労働委員会での審議はわずか3日、参加人質疑を含めて22時間足らずで打ち切り、採決を強行したものです 。参考人質疑を受けての審議もなければ患者・国民に説明もないまま、衆議院本会議での採決を行いました。

「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」は、5つの法律の「改正」案を一括して提案していますが、その内容には、患者・住民の負担増(後期高齢者医療保険料の特例軽減制度の廃止、入院食事料の引き上げ、紹介状のない大病院受診時定額負担)や「患者申出療養」制度の創設、あるいは国保の都道府県単位化(都道府県による財政運営、医療費適正化計画の見直しなど)など、住民のくらしに重大な影響を与える問題が数多く含まれています。

 衆議院の委員会審議も十分なものとはいえず、「今後中医協などで議論していく」「詳細はこれから検討する」などと述べるばかりで、具体的な答弁は殆どありませんでした。患者団体からは、「患者負担の増大等への影響」を危惧し、法案の白紙撤回を求める意見が表明されています。患者・住民の負担増は受診抑制を招き、医療機関・医療従事者としてもこの法律案は許すことはできません。

 十分な審議のないまま多くの反対を押し切って医療保険制度改革関連法案が衆議院本会議で可決されたことに強く抗議し、参議院での徹底審議と法案の廃案を求めるものです。

2015年4月25日にネパール中部でマグニチュード7.8の大地震が発生しました。「現地の警察によれば、これまでに3,726人の死亡が確認され、6,900人以上がけがをしました」と伝えられます(NHK 27日17:20)。

現在も倒壊した建物の下に閉じ込められている人たちの救助活動が続いています。また、余震を恐れて被災者の多くが広場などに集まり、屋外での避難生活を強いられています。

医療福祉生協連とフェクトネパールPublic Health Concern Trust-NEPAL (phect-NEPAL)は、同じアジアの保健協同組合として医療支援や医学生の人材交流など長年交流を深めてきました。フェクトネパールは、首都カトマンズにカトマンズモデル病院を持ち、医療の恩恵に浴することのないネパールの圧倒的多数を占める貧困層の人たちの医療に正面からとりくんでいます。医療福祉生協連(当時、日本生協連医療部会)は、このカトマンズモデル病院建設のために全国の医療福祉生協に募金を呼びかけ、フェクトネパールに贈りました。現在も交流を続けています。

被災者とフェクトネパールへの支援のために、募金の呼びかけをすることとしました。集まった募金は医療福祉生協連を通じて、フェクトネパールに送付する予定です。

香川医療生協の事業所まで募金をお寄せください。当面、5月30日(土)までの期間続けます。

 

※フェクトネパールについては、下記のHPを参照ください。

http://kagawa.coop/hiraihou/20120907.html

http://kagawa.coop/hiraihou/20120918.html

http://kagawa.coop/hiraihou/20121002.html

http://kagawa.coop/hiraihou/20131129-2.html

 4月23日の午後、独立行政法人国立病院機構・四国こどもとおとなの医療センターの会議室をお借りして、第6回地域連携会議を行いました。

 今回は、四国こどもとおとなの医療センターの師長さんや地域連携室の職員の方多数が参加していただきました。その他、香川医療生協の善通寺診療所・訪問看護ステーションほがらか・ヘルパーステーションほがらかのほか、三豊市立西香川病院、、善通寺市地域包括支援センター、善通寺市社会福祉協議会のほか、橋本病院(三豊市)、大杉脳神経外科(善通寺市)、セントケア訪問看護ステーション丸亀、指定居宅介護支援事業所しんちゃん家など、地域の医療機関や介護支援事業所のケアマネジャーなど、約50名が参加しました。

 私の開会挨拶のあと、三豊市立西香川病院地域連携室の篠原室長から「西香川病院における地域連携の現状」と題して、認知症疾患治療病棟、介護療養病棟、回復期リハビリテーション病棟の、それぞれの取り組みと特徴について報告がありました。

 認知症疾患治療病棟はグループホームの集合体のような作りで、家庭に近い環境を重視し、キッチンで料理を作ったり、端切れを選んで袋を作ったりするなどの取りくみを重視していました。三豊市には入院できる病院が少ないため、介護療養病棟でも看取りも含めた終末期にも対応する医療を行っていました。

 西香川病院とは、回復期リハ病棟から退院する患者さんの紹介を受けることが多かったために、多彩な活動を行っていることを知ることができ、随分勉強になりました。

 2つ目の報告は、善通寺市包括支援センターの田中保健師から「善通寺市における地域包括ケア」と題する、地域包括ケアシステムの内容と善通寺市の取り組みが報告されました。

 活発な質疑応答が行われ、有意義な会合となりました。

 最後に、「患者を中心にした、地域でくらし続けられる「包括ケア」を実践するために、顔の見える連携を重視して一緒に活動を続けていきましょう」と、まとめの発言を行いました。

 こどもとおとなの医療センターに初めて足を踏み入れたのですが、時間がなく写真を撮れませんでした。

 次回は10月開催を予定しています。

 地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、医療・福祉の改悪の内容を連載しています。2015年4月19日号(第1668号)に掲載した、「第3回 新しい『総合事業』について(1)」で、一部修正しています。

 第713回(4月7日付)で、「今後は、要支援と判定されると、介護保険の利用ができなくなり、市町村の『新しい介護予防・日常生活支援総合事業』(新しい総合事業)で対応することになります」と述べました。

厚生労働省が全国1579の市町村と広域連合を対象に実施時期を調べたところ、「今年度から独自事業を始める」と答えたのは114と、全体の7%にとどまっていました。「移行期限となる平成29年度」と答えたのは1069と全体の67%、「未定」と回答したのは119でした(NHK 4月11日)。

新しい総合事業の実施に踏みだした自治体の取りくみを紹介します。

まず、三重県桑名市です。桑名市のホームページから、引用します(一部省略しています)。


要支援1,2の方への予防給付のうち、訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)については、桑名市が行う新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)へ移行します。

また、新しい総合事業では、これまでと同様のサービスに加え、より多様なサービスが創設されます。

総合事業訪問介護 ・現行の介護予防訪問介護と同様
・現行のサービスを提供する事業所
えぷろんサービス ・シルバー人材センター会員による掃除、洗濯、買い物等の日常生活支援
おいしく食べよう訪問 ・訪問による「食事相談」、「献立相談」、「体重測定」 等の提供
栄養いきいき訪問 ・管理栄養士による訪問栄養食事指導を提供
お口いきいき訪問 ・歯科衛生士による訪問口腔ケアを提供
「通いの場」応援隊 ・シルバーサロン等の利用者の自宅とサロン間の移送
総合事業通所介護 ・現行の介護予防通所介護と同様
・現行のサービスを提供する事業所
シルバーサロン ・茶話会などの地域住民が相互に交流する機会を提供
・「宅老所」「ふれあいサロン」「まめじゃ会」
健康・ケア教室 ・医療・介護専門職等が送迎を伴う通所による運動、栄養、口腔、認知等に関する介護予防教室を開催

しかし、サービス利用の仕方、事業所案内については、「作業中のためしばらくお待ちください」とホームページを見ただけでは、実際のところはわかりません。

厚労省は訪問介護(ホームヘルパー)サービスの今後について、要介護者に対する訪問介護に加え、要支援者に対するサービスとして以下の類型が提示されています。

・訪問型サービスA;生活援助等。事業者を指定または委託する。人員等の基準は緩和
・訪問型サービスB:ボランティアなどによる生活援助
・訪問型サービスC:保健師等が自宅・施設で相談指導を行う
・訪問型サービスD:移送前後の生活支援。ボランティア主体

4月から実施するとしている自治体も、上記のサービス全てを4月から開始している訳ではありません。次回から実際に開始している自治体の様子を報告したいと思います。因みに、香川県内のすべての自治体は「様子見」の状態です。

 3月29日(日)に開催された「介護報酬検討会」の報告の続きです。今回の介護報酬改定の特徴と問題点で、第714回(4月10日)の続きです。

 7.口腔ケア・経口維持の評価の引き上げを行うべきです。

 嚥下(のみ込み)能力は、施設に入所中の方にはとりわけ重要な問題です。施設における経口維持加算の算定要件は緩和されましたが、医師・歯科医師・管理栄養士ほかの職種による計画作成に加え、共同で食事観察や会議を行った場合に算定できるとされ、1日28単位の算定から1月につき400単位の算定に引き下げられました。協力歯科医療機関等を定めた場合には、1月に100単位の算定とされ、十分な評価とは言えません。

 口腔ケアの充実は重要な課題ですから、報酬を引き上げるべきです。

 8.介護予防訪問介護・通所介護の新総合事業移管をやめ、全国一律の介護保険給付に戻すべきです。

 要支援者のデイサービスやホームヘルプサービスは、介護保険から外され市町村等が行う新総合事業に移管されます。9割以上の自治体が準備できていない現状から見て早急な実施強行は行うべきではありません。また、内容も規制緩和のように捉えられている向きもありますが、無資格者を中心とするボランティア活動にゆだねるもので、内容が充実する保証はありません。

 9.2018年4月以降も書面による請求を認めるべきです。

 2018年以降は電子請求が義務付けられ、書面による請求が認めれる事業者は限られています。今後新規に居宅療養指導(医師・歯科医師等が介護保険利用者の診療を行い、その情報を介護事業者に提供する場合に算定)を算定する場合、数件しか対象がいない場合などは書面による請求も認められるべきです。

 10.告示・通知の発出から実施まで、十分な周知期間を設けるべきです。

 今回の介護報酬の改定は、3月19日と23日に告示が、3月27日に通知がだされました。あまりに遅いと言わざるをいません。現時点(4月13日)でも、通知・告知で理解不能な内容はたくさんあります。今後Q&Aが出るでしょうが、あまりに無責任なやり方だと思います。強く抗議をしたいと思います。

 11.国庫負担を拡大し、介護保障の充実を行うべきです。

 社会保障の充実のために消費税を5%から8%に引き上げたはずです。新たに8兆円の財源が増えたはずなのに、2015年度予算を見ると社会保障は3900億円の減となっています。国庫負担を拡大し、介護報酬の引き上げを行うべきです。

3月29日(日)に開催された「介護報酬検討会」の報告の続きです。今回の介護報酬改定の特徴と問題点で、第712回(3月31日)の続きです。

3.リハビリテーションの評価を引き上げ、必要なリハビリテーションを受けられるようすべきです。

通所リハビリテーション(デイケア)の引上げが行われる一方、「個別リハビリテーション加算」が包括されるため実質引き下げになります。訪問リハビリとデイケアに「社会参加支援加算」が新設されました。他の通所サービス等に利用者が移行できた場合に算定するものですが、報酬の低い制度を利用すれば算定できるわけで、要支援者の介護保険外しと合わせ、介護報酬の削減を目的とするもので、必要なリハビリテーションを受けられるようにすべきです。

4.医療系介護報酬は、区分支給限度額から外すべきです。

区分支給限度額は、介護保険で認定された介護度に合わせて利用額を制限するものですが、本来医療保険で賄われるべきものが含まれています。医療保険から介護保険に適用が変われば、必要であっても利用できない(保険給付されない)のは間違っていますから、支給限度額からは外すべきです。

5.医師・歯科医師の居宅療養管理指導における同一建物居住者減算を廃止し、訪問看護の同一建物居住者減算の対象拡大を撤回すべきです。

「居宅療養管理指導」とは、医師・歯科医師などが介護事業者等に患者・利用者等の情報を提供することに対する評価です。「同一建物居住者」とは、サービス付き高齢者住宅(サ高住)や有料老人ホームなどに住んでいる方のことです。

同じ建物の中の複数の患者を往診する時には診療費を大幅に引き下げる、という医療保険の改定に連動した形で、同一建物居住者に対する居宅療養指導管理費を減額するというものです。個人に関する情報を他の事業者に提供するのに、自宅にいる方と集合住宅等に住んでいる方で差をつけるというのは、これはどう考えてもおかしな話ですから撤回すべきだと思います。

6.認知症対応型共同生活介護、認知症対応型通所介護を引き上げ、認知症対応強化をすべきです。

認知症への対応は強化が求められている分野です。しかし、今回の改定で「認知症対応型共同生活介護」「認知症対応型通所介護」は、大きく引き下げられました。これはむしろ引き上げるべきです。

(この項、続く)

 

 地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、医療・福祉の改悪の内容を連載しています。2015年3月15日号(第1665号)に掲載した、「第2回 要支援者の介護保険外し」で、一部修正しています。

 2015年4月から介護保険法が改定されます。また、3年に1度の介護報酬改定も行われます。3月3日に厚労省は、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議を開催し、15年度の介護報酬改定の概要(案)を示しました。

 介護保険の認定審査会で「要支援」と判定された場合、ホームヘルパー(介護予防訪問介護)やデイサービス(介護予防通所介護、)の利用は、介護保険の「予防給付」としてサービスの給付が行われていました。それぞれ、45万人、50万人が利用しています。

 今後は、要支援と判定されると、介護保険の利用ができなくなり、市町村の「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)で対応することになります。

 しかし、実際に「新しい総合事業」への対応ができている市町村は殆どありません。厚生労働省が15年1月に行った調査で、15年度中に事業実施を予定しているのは全体の7.2%、15年4月から実施する考えを持っている市町村は、全体の5%に過ぎません。13府県では、対応可能な自治体はゼロでした。

 その一方で、全体の57.7%にあたる1,069の市町村が、最終実施期限である17年4月まで先送りする方針を示しています。つまり、何の準備も出来ていない中での実施強行ということになります。

 さらに問題なのは、従来の施設基準・人員基準等は廃止され、自治体により対象やサービス内容が異なることになるということです。このサービス事業には予算上限が定められますから、財政等に余力があり、サービスを充実できる自治体では対応可能ですが(どこにあるのか?と言う気がしますが)、そうでなければサービス内容は不十分になります。

 通所介護の場合、今回の改定の人員基準は、「緩和した基準によるサービス」では、利用者が15人以上なら従事者は利用者一人に必要数となっています。あらたに始まる、住民ボランティア・住民主体の自主的活動の場合は、必要数となっています。

 これまで介護職が行ってきたサービスが、専門技量を持たない無資格のボランティアが対応することにもなり、さらにその人員数も「必要数」ですから、「適当に」ということになりかねません。

 中央社保協(中央社会保障推進協議会)は14年9月から11月にかけて、47都道府県の社保協を通じ、アンケート調査を行いました。

 その結果をまとめた、14年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」報告書では、回答のあった35都道府県の950自治体のうち、「要支援1・2サービスの地域支援事業への移行」について、「見通しがたたない」「できない」と回答したのが74・0%、「できる」としたのは8・9%でした。「ボランティアなど受け皿がなく、移行は困難」という声もありました。

 ホームページに16年度から開始予定と書いてある中讃のある市に聞くと、担当者は「まだ見通しが立たない」と回答しています。

 大半の自治体が困惑している、というのが実際だと思います。自治体に対して、計画を具体的に明らかにさせ、準備状況について情報公開を求めていくことが必要です。そして、「改悪」の撤回を求める運動を広げていく必要があります。