香川県保険医協会の会報の2016年9月号の「主張」欄に掲載した文章を紹介します。一部修正しています。
参院選が終わり、政府は、社会保障費の自然増分を3年間で1兆5000億円に抑え込むために、負担増・給付抑制を目的とする検討を始めました。
まず、「世代間の公平」の名のもとに、負担を引き上げようとしています。2年前の改悪で、70歳から74歳は2割負担に引き上げている最中ですが、75歳以上の窓口負担を2割に引き上げようとしています。また、70歳以上の医療保険の自己負担の限度額の引き上げも検討されています。
後期高齢者医療保険料の「特例軽減」が廃止されると、低所得者の保険料は2倍~10倍に急増します。介護保険の利用料も1割から2割に上げる計画です。
しかし、高齢化に伴い病気の種類は増えますから医療費が増加する一方、年金など収入は減少します。受診抑制を招き、疾病の重症化でかえって医療費は増える可能性があります。
療養病床で導入されている入院時の居住費(光熱水費)を一般病床にも拡大、かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担、なども検討されています。
介護保険では、要支援1・2の介護保険外しに続いて、要介護1・2の生活援助を介護保険制度のサービスから外すというものです。生活援助とは、調理、洗濯、掃除等のことで、そもそも調理や洗濯などが自分でできないから「要介護」になっているのですから、介護保険制度の趣旨に反します。
福祉用具の貸与や住宅改修を保険対象から外すことも検討されています。具体的には、車いす・特殊寝台・床ずれ防止用具・手すり・スロープ・歩行器などです。
自己負担割合が2割になる人の対象を拡大、高額介護サービス費の上限額の引き上げなども検討されています。
保団連では、負担増計画の具体化を食い止めるため、参院選前から続けてきた「ストップ!患者負担増」署名に引き続き取り組みます。国会回次が変われば同趣旨の請願を再度提出できるため、これまで署名をしてもらった患者さんに、再度署名を訴えることが可能です。この秋は社会保障改悪を阻止する運動に力をいれましょう。