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新型コロナウイルスワクチンの接種が進みません。2月12日に最初のワクチン、最大38万回分(最大とは1瓶あたり6回採取する計算。以下同じ)が日本に届いてから、2月21日に最大45万回分、3月1日からは毎週月曜日に届いており、3月22日までの合計で最大406万回分届いています。3月26日時点で1回目の接種が終わった人は約78.2万人、480万人と言われる医療従事者の16.3%に過ぎません。上述の406万回分がすべて医療従事者に使用されても、最大42.3%です(1バイアルで5人しかとれない注射器ならもっとこの数値は下がります)。

ある市では、診療所であれ病院であれ、公平を期すため1医療機関あたり1バイアルで、4月19日から配布するといいます。3月29日に最大141万回分が届きますが、高齢者へのワクチン接種も同時に始まることになるので、医療従事者への接種が終了するのはいったいいつのことになるのかと思います。国内にワクチンがない以上、接種しようがないのですが。

このような状態で、東京オリンピック・パラリンピックを本当に開催するのか。いま一度考え直すべきではないのでしょうか

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年2月21日付(第1874号)に掲載した、「医療ひっ迫原因は民間医療機関の問題ではありません」の後半です。

菅首相は1月13日の記者会見で、コロナ患者受け入れを、民間にもより広げる必要性に触れ、「民間病院に一定数を出してほしいと働きかけをずっと行ってきている」と述べました。

厚労省の示したデータによれば、救急や重症患者を治療する急性期病院のうちコロナ患者の受け入れが可能な病院は公立73%、公的84%に対し、民間は30%にとどまる、としています。

しかし、日本の病院の8割が民間病院で、その多くは200床未満の中小病院です。

また、急性期病床を持つ約4,300病院のうち、民間病院で200床未満は約2千です。

新型コロナ患者の受け入れ状況は100床未満でみると、公的・公立が40に対して、民間は113です。100床以上200床未満では公的・公立が134に対し民間は256で、受け入れ率でみれば低くても、病院数では民間の方が多いのが実態です。

民間病院では、公的病院のように自治体等からの繰入金はありません。もともと医師・看護師等の人員にも余裕はありません。構造的にも一般患者とコロナ疑い患者の動線を完全に分けるのも難しいのが実態です。

コロナ患者を受け入れるためにベッドを空けておくと減収になります。2人部屋を個室に、4人部屋を2人にしても減収になります。

減収補填はしない、人員の補充は「自己責任」というのでは、受け入れようがないというのが正直なところです。

民間医療機関の受け入れが問題、というのは、「民間医療機関バッシング」といえるのではないでしょうか。

公的・公立病院の病床削減政策の転換、社会保障の充実が求められています。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年2月21日付(第1874号)に掲載した、「医療ひっ迫原因は民間医療機関の問題ではありません」の前半です。

感染症法やコロナ特措法の改正法が成立。問題が多く含まれているため、オンライン診療に関する連載の途中ですが触れておきたいと思います。

いわゆるコロナ特措法の正式名称は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」です。もともとは新型インフルエンザに対する法律に、2020年に新型コロナウイルス感染症を追加したものです。

「改正特措法」では、「まん延防止等重点措置」が新たに設置されます。緊急事態宣言発令前の段階でも、都道府県知事は営業時間の変更などの措置が取れます。

「まん延防止等重点措置」では、都道府県が飲食店などの店舗や施設に対し
・従業員への検査勧奨
・発熱者等の入場禁止
・感染防止のための措置を行わない人の入場禁止などができます。

「改正感染症法」では、指定感染症の場合、入院を拒否したり、入院先から逃げたりした感染者に対しては、50万円以下の過料が科されます。刑事罰である罰金刑と異なり、行政罰で前科がつくわけではありませんが、最高50万円の支払いが命じられる厳しい罰です。

しかし、入院希望者がすべて入院できる状況にはありません。

清水忠史衆院議員(共産)は12月27日に発熱、大阪市保健所に連絡したらPCR検査は10日後になると言われ、熱が下がらないため4日後の31日に発熱外来のある医療機関を受診、抗原検査で陽性でした。しかし、保健所から「あなたの症状では入院できない」といわれました(※)。これが現状です。

今回の改正で厚労相や知事が医療機関に必要な協力を求めることができるとし、正当な理由なく応じなかった場合には勧告したうえで従わなかった場合は医療機関名を公表できる規定も盛り込まれました。

※しんぶん赤旗1月24・25日付

香川県保険医協会報2021年2月号の「主張」欄に、「3次補正予算の問題点を考える」と題する文章を掲載しました。紹介します。

1月7日に首都圏を中心に発出された緊急事態宣言は、その後対象地域を広げ期間延長を行うなどし、10都府県で継続されています。その中で1月28日に19兆円規模の第3次補正予算が成立しました。

外来の小児診療等の評価やコロナ感染患者の転院支援など、評価すべき点もありますが、ここでは問題点を中心にみていきたいと思います。

感染拡大防止策については4分の1の4.4兆円に過ぎません。当初は「雇用調整助成金」の特例措置や、「持続化給付金」「家賃支援給付金」の打ち切りが予定されていましたが、世論の反発により、特例措置の延長や「給付金」の申請期限が延長されましたが、十分なものとは言えません。

とりわけ、減収により経営的に困難状況に陥っている医療機関に対する減収補填ではなく、「緊急包括支援交付金」(病院100万円・診療所50万円)などの形で、新たに購入したものに対する補助となっています。しかし、多くの医療機関では収入そのものが減少していることが問題なので、あくまで直接的な支援が必要だと思います。

厚労省の予算(案)を見ても、ワクチン接種体制の整備や、雇用調整助成金関連など必要と思われるものもありますが、「デジタル改革の実現」と称して、デジタル化・データ連携の推進、保育分野のICT導入支援、ゲノム解析、介護分野等へのロボット等導入など、緊急性にかけるものも多々あります。

とりわけ問題と思われるのは、国土交通省関係の内容です。ポストコロナに向けた経済構造の転換などに1.4兆円、国土強靭化推進に1.8兆円などです。GO TO トラベル事業に1兆円を投入するなど、緊急事態宣言を延長せざるをえない状況のなかでは、まさに不要不急の事業です。国土強靭化では、「流域治水」等の推進、南海トラフ地震や首都直下地震対策、官公庁施設の耐災害性強化など、重要な内容であったとしても、補正予算で対応する必要はありません。

予算が成立しても、不要な内容は執行させない運動が重要です。

※2月11日時点での情報に基づいたものです。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年1月17日付(第1872号)に掲載した、「オンライン診療の問題点」(その4)の後半で、第1176回(3月2日付)の続きです。

「過去に受診歴のないケース」について、かかりつけ医・地元の病院等から患者情報が共有できるようになればよい、という意見もあるようですが、例えば旅行中・仕事で出張中などが想定されますが、それなら、元々の主治医に電話で相談すればよいわけです。

第3波が来ているような状況であるし、特例措置の当面継続を決めた状況で、恒久化を図る内容を決定することに疑問を感じている。

オンライン診療では、すぐさま処置や治療を行わないといけない症例や、症状が遷延しており重大な疾病が隠れている症例においては、十分な対応ができない、という意見も出されています。

その他、
・急性腹症(※)は、触診しないと分からない。
・喉の痛みは難しい。スマホの映像で喉が赤いのを診るところまでは難しかった。
・これまでかかった病気や、内服薬、体温や血圧等、患者さんに関する情報があらかじめ必要。
・オンライン診療に関する説明・同意を行うことが前提で同意をとった記録をどうするかなど検討が必要。
・諸外国の例でも、初診ではオンライン診療に不適切な症状・状態を除外している場合がある。

◇  ◇  ◇

菅政権肝いりの「デジタル化の推進」をするために、恒久化に前のめりになってきた検討会ですが、少しトーンダウンしています。第13回の「今後のスケージュール」では、21年6月頃に恒久化に向けたまとめが予定されており、問題点をさらに明らかにする必要があります。

今後検討が必要な事項に「受診歴のない患者に対し……必要な健康情報について(診療情報ネットワーク等の技術の発展を踏まえて検討)」とあり、マイナンバーカードの保険証との一体化、健康情報の集積とも関連しており、問題点をさらに明らかにしていく必要があります。

※急に発症する腹痛で手術など迅速な対応が必要なもの。

3月4日、全国保険医団体連合会は、住江会長名で、<医療現場での混乱を防ぐため、「保険証で受診できる」ことの周知徹底を求める要望>、と題する要望書を発表し、菅総理、内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度)、厚労大臣、総務大臣及びマスコミ各社に送付しました。その大要を紹介します。

マイナンバーカードの保険証利用が3月下旬より本格的に運用が開始される予定です。他方、マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーを申請している医療機関は2月下旬で医療機関の約3割です。カードリーダー申請から受け取りまで4~6か月程度を要することから、3月下旬時点でマイナンバーカードの保険証利用に対応する医療機関は更に少ないものと見込まれます。

マイナンバーカードを患者が持参しても、ほとんどの医療機関にカードリーダーを設置していない状況では、各地で混乱やトラブルが生じることが強く懸念されます。先の社会保障審議会医療保険部会(2月12は、健康保険組合連合会の委員からも、受診時の混乱を避けるため、「当面は既存の健康保険証を利用することが最も確実な方法」などを加入者に周知せざるを得ないと述べ、国に対しても国民に誤解を与えない周知・広報を求めたと報道されています。

1年以上に渡り、医療機関は通常の医療提供に加え、新型コロナウイルス感染症に対する対応などを求められ、医療現場では疲弊感が蔓延しています。マイナンバーカードの保険証利用に対応していない大半の医療機関において、マイナンバーカードを持参した患者にその都度、資格確認ができないなどの説明をしていくことは、医療現場の疲弊を更に強めるとともに、医療提供に支障を生じる事態さえ危惧されます。

(中略)

コロナ禍で困難に置かれた医療機関において新たな混乱・負担が生じないよう、下記事項の実現を強く要望いたします。

以下の点について、CM・広告やポスター・チラシ、個別通知はじめ、あらゆる広報媒体を活用して、患者・国民に周知徹底を図ること。

  1. 3月以降も、保険証で受診できること。
  2. マイナンバーカードの保険証利用への対応は、患者、医療機関にとって任意であり義務ではないこと。
  3. カードリーダーを設置していない医療機関では、マイナンバーカードを持参して受診しても資格確認が出来ないため、保険証の提示が必要となること。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2021年1月17日付(第1872号)に掲載した、「オンライン診療の問題点」(その4)の前半です。

「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」は、20年11月13日に第12回、12月21日に第13回が開催されました。

この検討会では、当初「年内に方向性を取りまとめ、恒久化に向けて現在の指針を改定」(11月2日NHK)、と報じられましたが、第13回検討会では、当面のまとめとして、「令和2年内に一定の方向性を示すことを念頭に検討を進めてきたものの、……時限的・特例的措置を当面継続することを念頭に……丁寧に検討することが適当」としましました。つまりこれまでの検討は「丁寧」ではなかったと認めた訳です。

理由は、「新型コロナウイルス感染症が再度拡大している」としていますが、全国の新規感染者数は11月中旬から急増していますから、20年度内に新型コロナウイルス感染症が収束する見込みが外れたということでしょう。拙速な制度改正が延期されたことはよかったと思います。

先月号で、問題例を紹介しましたが、検討会で出された意見を参考に、問題点を考えてみたいと思います。

医師の側でいうと、初診の場合の安全性・信頼性を担保するためには、医師が患者の医学情報を把握しているとか、医師・患者間の信頼感が必要です。しかし、初診時に患者の医学情報を把握し信頼感があるというのは、往診患者の家族であるとか、今診ている患者に付き添ってきている方など、極めて稀なケースだと思います。

検討会でも「受診歴のない患者の初診オンライン診療は怖いと感じている」と指摘されています。

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