毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 12月 2017

2017年も最後の回になります。今年は今回で87回目になります。

2018年4月の診療報酬・介護報酬・障害者サービスの報酬のトリプル改定を前に、社会保障の話題が大半でした。もう少し、憲法9条をはじめとする平和の問題を取り上げないといけなかったかもしれません。

来年は、憲法9条改定を狙いとする改憲論議が話題になります。様々な分野に目配りをしながら、発信を続けていきたいと思います。

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。2017年11月号に掲載した内容です。

前回は、在宅医療の現状について述べましたが、現在議論になっているのは、在宅医療提供体制の確保を目的とする、「安心して身近な地域において療養できる地域包括ケアシステムの構築推進」です。

在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)は現状からみると、まだまだ整備されていません。特に在支診では、大半が一人医師体制で対応しているのが現状ですから、何らかの協力体制が必要です。

複数の医療機関が連携して在宅医療を担う機能強化型在支診は、12年2604から14年3468に増えましたが、14年改定で実績要件が厳しくなり、16年には2593と4分の3に減少しました。連携を広げる仕組みづくりが課題です。

在宅患者の入院ベッドを確保する在宅療養後方支援病院は、整備が不十分です。香川県では、坂出市と観音寺市に一つずつしかありません。これではいざというに対応できませんから、この点での仕組みづくりが必要です。

在支診・在支病以外の医療機関による訪問診療の提供について、どう評価するか、在宅医療を専門に行う医療機関の取扱いや、訪問看護ステーション等との連携も課題です。

複数の疾病を有する患者の総合的な医学管理、異なる診療科の複数の医師が連携した訪問診療については、問題があります。訪問診療を算定できるのは1医療機関に限られているため、主治医が内科医で訪問診療料を算定している場合、他科の医師が専門的な医療を継続的に行う必要があっても訪問診療料を算定できません。地域連携を進めるうえで大きなネックになっています。

12月14日、四国こどもとおとなの医療センターの4Fこもれびホールで、第11回医療連携懇談会(四国こどもとおとなの医療センター、香川医療生協善通寺診療所・訪問看護ステーションほがらか・訪問ヘルパーステーションほがらか共催)が開催され、30近い事業所から80名を超える多職種の方が参加し、熱心な討議が行われました。

私は開会あいさつで、医師は病気の専門家と言われるが、本当に病気のことを知っているのは、患者・利用者、その人たちの声を聞き、その思いを知ることが必要ではないかと思い、今回の企画をしたと紹介しました。

初めに、現在もがんの治療を受けている方から、自分の病歴から始まり、治療の選択でどう感じたか、そして、自己決定できる患者に変わってきた経過を話しながら、「納得の治療を受ける」ために何が必要かを語りました。

2番目は、認知症として治療を受けている方から、認知症と診断された時の思いや、前向きにどう変わっていったかを語りながら、失ってしまったものは元には戻せないが、少しずつ取り返すことはできる、と話しました。

その後30分あまり、グループで討議を行いました。

会場の様子です

第11回APHCO(アジア太平洋地域保健協同組合協議会)総会の報告の続きです。各国からの報告、カントリーレポートの続きです。

マレーシア、スリランカ、日本、文書報告として韓国から報告が行われました。マレーシアと日本の報告を紹介します。

KDM(マレーシア)の活動報告を行うサイード先生

マレーシアからはサイード先生が報告しました。マレーシアの医師協同組合(KDM)は、1988年に設立、政府とも良好な関係にあり、政府とFOMEMA(Foreign Workers’ Medical Examination)として知られる外国人労働者向けの健康診断プロジェクトを行っています。KDMの医薬品部門のKDMファーマは薬を卸値で一括購入して手頃な価格で個人開業の診療所に販売しています(これは医療福祉生協連と同じ仕組みです)。

外国人労働者が結核などの感染症を国内に持ち込んだり、就労不適な状態を管理する活動も行っています。

政府は医療保険制度を真剣に検討しており、協同組合の役割が期待されています、と報告がありました。

医療福祉生協連の活動報告を行う髙橋淳先生
(岡山医療生協理事長)

日本からは、髙橋理事(岡山医療生協)が報告しました。日本の政治情勢、くらしと経済危機、社会保障の危機などが報告され、医療福祉生協連の活動報告が行われました。

今後の課題として、①平和で人権が尊重される社会をめざす取り組み、②多世代の健康づくりを通して住み続けられるまちづくりに貢献する、③人財育成、④国内外の協同組合協同を広げる、と提起しました。

第11回APHCO(アジア太平洋地域保健協同組合協議会)総会の報告の続きです。各国からの報告、カントリーレポートです。

初めに、デシュムク先生がシュシュリュシャ市民協同病院の報告を行いました。病院組織は1966年3月設立、1969年5月にインディラ・ガンジー首相によって開所されました。病院の目標は、医師と患者の関係を基礎とする、最新の医療設備を提供する、地域からの支援を得ることです。ISO9001:2015の認証を取得しています。

乳がん検診や、心臓病や高血圧の早期発見、小児科や皮膚科や眼科の検診、パーキンソン病などの神経疾患、献血など幅広く地域で検診を行っています。

中央政府や州政府の支援、寄付を行うと所得税の控除が行われるため多くの寄付が集まること、定期預金(日本の組合債)などによる資金が利用されていることなど、さまざまな工夫が報告されました。

フェクトネパールからは、さまざまな地域での保健活動などが報告されました。

(この項、続く)

フェクトネパールの活動報告を行うプラダン先生

香川県保険医協会報2017年10月号の「診察室の窓から」の欄に、「医師の説明と患者の納得」というタイトルの文章を投稿しましたので、再掲します。

医師や患者との「ミスマッチ」と感じるケースを見聞きしました。

早期胃がんで内視鏡治療を受けた方がいます。担当医から、すべて取り切れたという説明を受けて喜んでいるのですが、「転移はなかった」という説明がなかった、と心配しています。

内視鏡所見と病理所見から転移があるはずがないと判断して言わなかっただけではないか、という別の医師の説明を聞いて納得しているのですが、それでも、と考えています。

クレームとして言っているのではないので、大きな問題ではありませんが、内視鏡治療をする前に、「取りきれない場合はどういう治療になるか」、「病理結果に転移の可能性がある場合の次の治療は」、「外科的な処置が必要となる場合はどのような手術法が考えられるか」、など詳しい説明を受けており、それぞれのリスクについて、一つ一つ、心配ないですねといってほしいというのです。

確かに、医師の常識から考えると「言う必要はない」と判断したのでしょうが、すべての方がその説明で納得するとは限らないということなのでしょう。

インフォームド・コンセント、インフォームド・チョイスなど、丁寧な説明が求められますから、場合によっては、およそ起こりえないことでも説明するケースが増えているのだと思います。

医師が「常識」と思っていることが、患者にとっての「常識」とは限りません。

健康診査の時期ですから、結果説明を行う機会が増えました。「肝機能検査で、γGTPが少し高めでした」と説明すると、「γGTPとは、何ですか」という質問はよくあります。先日は「GOT、GPT……」と説明すると、「何の検査ですか」というので、「肝臓の働きを示す数字です」といったら、「肝臓とは何ですか」という質問がありました。

こうなると、どこから説明すればよいのか、こちらが混乱してきます。

患者の理解度は様々で、それぞれに対応する、オーダーメイドの回答が求められる時代になったということではないでしょうか。

 第11回APHCO(アジア太平洋地域保健協同組合協議会)総会の報告の続きです。2017年から2019年までの2年間の活動計画の主な内容の紹介です。

1.保健協同組合の医療・介護の質と規模の向上を図ります
2.持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)にとりくみます

マレーシアのホテルの部屋にあったカレンダーです。企業全体でSGDsに取り組む姿勢がよく表れています。

 2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」では、2030年に向けて「誰一人取り残さない」社会の実現をめざし、経済・社会・環境に関わる広範な課題に、総合的にとりくむこととしています。現状が続くと仮定した推計では、2030年を境に人口、環境、経済などすべての指標が低下に向かうという予測がでており、次の世代にも人類社会が持続するようにと国連が提起したものです。企業やさまざまな団体にもその協力が呼びかけられ、なかでも協同組合は有力なステークスホルダーとして期待されています。

(1)すべての人々の健康的な生活の確保と福祉を推進します
(2)感染症の医療対応と予防対策をすすめます

3.大規模災害における保健協同組合の連携にとりくみます
4.ICA(国際協同組合同盟)、IHCO(国際保健協同組合協議会)との連携をすすめます
5.すべての世代の健康づくりに対応する事業と活動を強化します

 APHCOは、あらゆる世代のすべての人が健康で意欲的に生きる社会をめざし、医療・介護体制の充実と保健予防活動の強化にとりくみます。また今後、多くの国が日本や韓国のような高齢社会を迎えることが予想されます。高齢者の健康寿命の延伸、認知症患者への対応と認知症の予防、高齢者の孤立を防ぐための活動、高齢者の貧困対策を各国政府に求めることなどにとりくみます。