第937回:18改定の中央社会保険医療協議会での議論について(在宅医療篇 その2)

香川県保険医協会報の「社保のページ」に、診療報酬に係る内容を連載しています。2017年11月号に掲載した内容です。

前回は、在宅医療の現状について述べましたが、現在議論になっているのは、在宅医療提供体制の確保を目的とする、「安心して身近な地域において療養できる地域包括ケアシステムの構築推進」です。

在宅療養支援診療所(在支診)や在宅療養支援病院(在支病)は現状からみると、まだまだ整備されていません。特に在支診では、大半が一人医師体制で対応しているのが現状ですから、何らかの協力体制が必要です。

複数の医療機関が連携して在宅医療を担う機能強化型在支診は、12年2604から14年3468に増えましたが、14年改定で実績要件が厳しくなり、16年には2593と4分の3に減少しました。連携を広げる仕組みづくりが課題です。

在宅患者の入院ベッドを確保する在宅療養後方支援病院は、整備が不十分です。香川県では、坂出市と観音寺市に一つずつしかありません。これではいざというに対応できませんから、この点での仕組みづくりが必要です。

在支診・在支病以外の医療機関による訪問診療の提供について、どう評価するか、在宅医療を専門に行う医療機関の取扱いや、訪問看護ステーション等との連携も課題です。

複数の疾病を有する患者の総合的な医学管理、異なる診療科の複数の医師が連携した訪問診療については、問題があります。訪問診療を算定できるのは1医療機関に限られているため、主治医が内科医で訪問診療料を算定している場合、他科の医師が専門的な医療を継続的に行う必要があっても訪問診療料を算定できません。地域連携を進めるうえで大きなネックになっています。