毎週火曜日・金曜日更新予定。理事長ブログ

Monthly Archives: 8月 2020

香川県でも、新型コロナ感染症が発生しています。東京や大阪ほどではありませんが、現場で仕事をしているとり少しずつ増加しているという感じです。

一方、感染した患者さんや勤務先の会社等や同僚に対する、いわれのない非難が聞こえてきます。

香川県の浜田知事は、県内で感染者やその家族、それに医療関係者などへのひぼう中傷が確認されているとしたうえで「戦うべき相手は人ではなく、ウイルスです。正しい情報のもとに冷静に一丸となってウイルスと戦っていきたい。差別や偏見、ひぼう中傷は行わないようお願いしたい」と呼びかけました。

全国知事会も、「おもいやり」と「やさしさ」の輪を広げましょう、として以下のような呼びかけを行っています。

私たちが闘う相手は、新型コロナという「ウイルス」であって「人間」ではありません。みんなの隣人を責めてもウイルスは無くなりません。

新型コロナは、あなたご自身も含め誰もが感染しうる病気です。

新型コロナとの闘いを克服していくため、ひとりも取り残されず、みんな人間として、命も健康も、そして平穏な暮らしも、私たちみんなの決意と実践で守り抜いていきましょう。

患者・家族など新型コロナウイルスと闘う方々に対する差別的扱いや誹謗中傷は、絶対に許しません!

医療従事者をはじめ、新型コロナ治療や社会機能維持のため頑張る方々に感謝し、応援します!

都道府県境を越えて来られる方々を非難したり、傷つける行為をせず、お互いに尊重し合います!

奈良県天理市の並河健市長は、自身のフェイスブックで、以下のように呼び掛けています。こういった声を拡げていくことが重要だと思います。

全文は長文ですが、ぜひお読みください。

天理大学ラグビー寮での集団感染の発生に関連し、天理大学学生全般に対する不当な扱いの是正を求めた天理市長として、クラスターが発生した団体に「謝罪」を求めることについての見解を申し上げます。ポイントは以下の3点です。

● 感染の発生について、どう表現するか、当事者以外が口出しすべきでない。

● 風評被害も、不当な扱いも根っこは同じ。社会の「謝罪」圧力が原因。

● 謝罪を求め、傷つけ合い、萎縮する悪循環を見つめ直さない限り、薬やワクチンができても、日本社会は真に「コロナ禍」を克服したことにはならない。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年6月21日付(第1851号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その1)の後半です。

5月28日に医団連(※)が記者会見を行い、医療・介護の現場が新型コロナ感染症の影響により経営危機に陥っているとして、国が減収分を全額補てんするなどの支援策を求めて安倍晋三首相、加藤勝信厚生労働相あてに緊急要請書を提出しました。

この要請の前後から、メディアでも医療機関の経営問題が大きく取り上げられるようになりました。記者会見で配布された資料から引用します。

民医連では、3・4月の外来患者数は前年同月比で2割前後の減少、外出自粛や風評被害、院内感染等への不安からくる受診控えが生じている。検診は、特定健診や企業検診がストップしている影響で、4月は激減している(5月はほぼゼロ)。

入院患者数は感染拡大地域を中心に減少、感染者や感染が疑われる患者を受け入れている病院では、空床確保や多床室の個室化などによる入院制限のため患者数が減少している。

介護分野では、感染リスクを避けるために利用者が減少、事業そのものを休止したり、感染対策にかかる費用増などにより経営が困難になっている。

そのため、経営への影響は、67.6%が「深刻」、30.6%が「一定影響がある」と回答。影響が長引いた場合、資金ショートが起きる可能性があり、6月末が10.1%、7月末が17.5%など、約半数が上半期のうちに、4分の3が年度内には資金破綻の可能性があるとしました。

福祉医療機構の無利子無担保融資を利用したり、利用予定の法人もありますが、借金であることにかわりはなく、将来に膨大なツケを回すわけで根本的な解決策にはなりません。

これは民医連に特徴的な問題ではなく、すべての医療機関に共通の問題です。

民医連の緊急要望として、①新型コロナウイルス感染患者・利用者(疑い含む)への対応による、特別の負荷に対する適切な財政支援(PCR・抗体検査等の不備による救急 病院での疑い患者入院を含む)、②個々の責任に帰せない損失(患者減少・収益減少)に対する財政支援などを求めています。

※医団連(医療団体連絡会議)は、保団連(全国保険医団体連合会)、民医連(全日本民主医療機関連合会)、医療福祉生協連(日本医療福祉生活協同組合連合会)、新医協(新日本医師協会)、医労連(日本医療労働組合連合会)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年6月21日付(第1851号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その1)の前半です。

4月から医療保険の定価にあたる、診療報酬改定が行われました。その特徴について連載を始めましたが、新型コロナ感染症の蔓延のため、臨的な措置ですが、診療報酬制度が次々と変更になりました。

この変更は一時的なものとされていますが、新型コロナ感染症が終息を見たわけでもなく、いったん連載を中断しました。

そういう訳で新型コロナ感染症が医療に与えている影響についてしばらく連載をすることにしました。

厚生労働省が国内での感染者を初確認したのは、1月16日です。この感染者は武漢市に滞在後、日本に帰国した中国人とされます。その後2月1日にクルーズ客船から下船した旅客の感染が確認され、一気に国内外での感染が広がりました。

当初は、マスク不足など物品不足の報道が中心でした。
その後、発熱が4日続かないと診断のためのPCR検査が受けられない、入院が必要であっても入院ができない、発熱しているだけで診察を断られる患者が続出するなどの問題点が出てきました。

これらの問題は後日検証していきたいと思います。今回は、新型コロナ感染症蔓延に伴い、医療機関にどのような影響が出ているかについて触れたいと思います。

10日付「朝日」は、「東京の医療 逼迫せず」を否定した医師は、というタイトルで、杏林大病院(東京都三鷹市)の山口芳裕・高度救命救急センター長インタビューを掲載しました。

新型コロナウイルスの感染状況などを分析する東京都の会議でそう訴え、医療体制に余裕があると強調する政府に疑問を呈した。と報じました。

杏林大病院でも、7月後半から感染者の入院や、感染が疑われて救急搬送されてくる「疑い患者」が増えてきました。そのたびに救命救急センターでは、(高性能な)N95マスクやガウン、手袋などフル装備で対応します。感染者用の病床をふやすのは簡単ではない、患者の転院や、準備期間を考えると、病床が不足する事態に陥ると指摘しています。

確かに、3月や4月の時期には、手術の延期や入院受け入れの延期などで感染症に対応する病院は感染者のための病床確保ができました。しかし、そのため多くの医療機関で大きな赤字を抱えることになり、大病院の中では夏のボーナスはゼロにするというところまで出ました(その後支給されるようになったようですが)。このまま、手をこまねいてみていたら、病床確保が困難になるのは目に見えているのではないでしょうか。

山口医師は「新型コロナへの対応は短期間では終わりません」「社会と医療がコミュニケーションをとりながら、対策をしていかねばなりません」「国民と医療の信頼関係が必要」と強調しています。まったく同感、という感想を持ちます。いまこそ、新たな対応が求められています。

メディアの報道によれば、8月4日大阪府の吉村知事が会見を行い、新型コロナウイルスの軽症者に「ポビドンヨード」を含んだうがい液でうがいを実施した結果、陽性になる頻度が下がったと明らかにしました。「皆様もよく知っているうがい薬を使ってうがいをすることによって、コロナの患者さん、コロナがある意味減っていく。コロナに効くのではないかという研究が出ました」(TBS NEWS)という発言です。

この話のおかしなところは、「うがい」という行為に効果があるのか、「ポピドンヨード」に薬理学な効果があるのかがよく分からないということです。
「すべての傷にポピドンヨードを使用するのは不適」、というのが医学的常識です。症例を選べば有効という意見もあり、100%ダメということではありませんが。

吉村知事の発言は、翌日に「コロナを予防できるものではありませんが、唾液を介して人にうつすリスクを抑制し、感染拡大防止に寄与する可能性がある」とトーンダウンしましたが、知事が「コロナに効くのではないか」といえば、多くの府民・国民がドラッグストアなどに買いに走るのは容易に想像できることです。

特定のうがい薬の効果が正しいのかどうかはともかく、自分の発言の影響を考えなかったのかと疑問を持つものです。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年5月17日付(第1848号)に掲載した、「診療報酬の改定を考える」(その2)の後半です。

こういったことを背景にして、2040年を展望した「だれもがより元気に活躍できる社会の実現を目指す」ための政策課題を3つ挙げています。

具体的には、以下の分野です。
①多様な就労・社会参加として、雇用・年金制度改革等
②健康寿命の延伸として、健康無関心層へのアプローチの強化と地域・保険者間の格差の解消を目指す。そのために、以下の 3分野を中心に、取組みの推進を目指しています。
 ・すべての人の健やかな生活習慣形成
 ・疾病予防・重症化予防
 ・介護予防・フレイル対策、認知症予防
③医療・福祉サービス改革として、
 ・ロボット・AI・ICT等の実用化推進、データヘルス改革
 ・タスクシフティングを担う人材の育成、シ ニア人材の活用推進 ・組織マネジメント改革 ・経営の大規模化等

そして、これらを実現するために、引き続き取り組む政策課題として、「給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保」としています。

前置きが長くなりましたが、こういった観点で診療報酬改定が行われていることになります。

横文字や耳慣れない言葉が続出するため、少し解説します。

新体力テストとは、東京オリンピックを契機に国民の体力・運動能力の現状を明らかにする目的で行われた「体力・運動能力調査」を見直し、国民の体位の変化や高齢化を踏まえ、1999年から導入されたもの。垂直跳びや背筋力などが除かれ、長座体前屈(足を伸ばした状態で座り、どれくらい体を前に倒せるか)などが追加されている。

タスク・シフティングとは、2012年11月20日に開催された「第29回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の資料によれば、「医行為の一部の他の職種への委譲」のことで、簡単に言えば医師でなければできない行為を他の職種に移行すること。じゃあ、日本語で言えばいいのにという気がします。