第1136回:新型コロナ感染症が医療機関の経営に与えた影響(その2)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年6月21日付(第1851号)に掲載した、「新型コロナ感染症の医療機関への影響」(その1)の後半です。

5月28日に医団連(※)が記者会見を行い、医療・介護の現場が新型コロナ感染症の影響により経営危機に陥っているとして、国が減収分を全額補てんするなどの支援策を求めて安倍晋三首相、加藤勝信厚生労働相あてに緊急要請書を提出しました。

この要請の前後から、メディアでも医療機関の経営問題が大きく取り上げられるようになりました。記者会見で配布された資料から引用します。

民医連では、3・4月の外来患者数は前年同月比で2割前後の減少、外出自粛や風評被害、院内感染等への不安からくる受診控えが生じている。検診は、特定健診や企業検診がストップしている影響で、4月は激減している(5月はほぼゼロ)。

入院患者数は感染拡大地域を中心に減少、感染者や感染が疑われる患者を受け入れている病院では、空床確保や多床室の個室化などによる入院制限のため患者数が減少している。

介護分野では、感染リスクを避けるために利用者が減少、事業そのものを休止したり、感染対策にかかる費用増などにより経営が困難になっている。

そのため、経営への影響は、67.6%が「深刻」、30.6%が「一定影響がある」と回答。影響が長引いた場合、資金ショートが起きる可能性があり、6月末が10.1%、7月末が17.5%など、約半数が上半期のうちに、4分の3が年度内には資金破綻の可能性があるとしました。

福祉医療機構の無利子無担保融資を利用したり、利用予定の法人もありますが、借金であることにかわりはなく、将来に膨大なツケを回すわけで根本的な解決策にはなりません。

これは民医連に特徴的な問題ではなく、すべての医療機関に共通の問題です。

民医連の緊急要望として、①新型コロナウイルス感染患者・利用者(疑い含む)への対応による、特別の負荷に対する適切な財政支援(PCR・抗体検査等の不備による救急 病院での疑い患者入院を含む)、②個々の責任に帰せない損失(患者減少・収益減少)に対する財政支援などを求めています。

※医団連(医療団体連絡会議)は、保団連(全国保険医団体連合会)、民医連(全日本民主医療機関連合会)、医療福祉生協連(日本医療福祉生活協同組合連合会)、新医協(新日本医師協会)、医労連(日本医療労働組合連合会)