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Monthly Archives: 7月 2019

香川県保険医協会報2019年7月20日号(No.416)の「主張」欄に、「社会保障改善の取り組みに力を入れましょう」という文章を書いたので、転載します。

この文章は参院選投票日直前に書いたので、選挙情勢については殆ど触れていません。

今後の社会保障について考えてみたいと思います。

10月からの消費税増税は「骨太方針2019」に明記されました。安倍首相は参院選で、「税収は今年、過去最高」「バブル時代も超えた」と演説しました。一般会計の総税収は1990年に比べ60.1兆円から60.4兆円に伸びましたが、法人税は33%減、所得税は23%減少、消費税は284%増で、3.8倍になったことが主因です。

消費税は「社会保障に対する安定的な財源を確保する」ためといいますが、第2次安倍内閣以来の7年間、社会保障費は4兆円余り削減され、この先も社会保障の給付抑制、負担増を実施する計画が目白押しです。

「骨太方針2018」では、「後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する。介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する」とし、具体的には、75歳以上の医療費の窓口負担の原則2割化、受診時定額負担、薬剤負担の見直しなどが本格化されます。

5月に成立した医療保険制度等の改革法では、マイナンバーカードを、保険証利用時の本人確認と資格確認に利用することを強制しかねない仕組みが作られました。

介護保険では、要介護1・2の利用者の生活援助の保険外し(総合事業への移行)や、利用料2割負担化が検討され、19年末には結論を得るとされています。

国民健康保険制度の都道府県統一化が行われましたが、法定外繰入等の解消が求められ、今でも高すぎる保険料負担がさらに増えていくことが懸念されます。

参院選直前に争点となった年金の問題もあります。年金受給開始の時期については、70歳以降も選択できるよう範囲を拡大する。年金もマクロ経済スライドの実施で給付を抑制し、2043年の基礎年金給付額が7兆円の削減となることが明らかになっています。

消費税増税をこのまま許すのか、社会保障分野での改悪を許すのかが大きな問題になります。この秋、国民的な運動を広げていく必要があります。

善通寺市が発行する「広報ぜんつうじ」7月号の、ドクターからのアドバイス欄に「口の健康について」という文章を寄稿しましたので紹介します。善通寺医師会員が順番に寄稿するもので、2 ~ 3年に1回の割で回ってくるものです。

高齢化に伴い、徐々に体が弱り始めます。しかし、ある日突然介護が必要になるわけではありません。自立と、介護が必要となるまでの、中間的な状態があります。これを、「虚弱」状態を意味する英語のフレイルティから、「フレイル」と呼びます。

フレイル状態になるのを予防する取り組みでは、社会性が大事だといわれます。一人で運動するより、家族や仲間と運動するほうが効果的です。一人で食事するよりも、誰かと一緒に食事する方が効果があります。

栄養も大事ですが、とりわけ「口の健康」が重要です。「人は口から衰える」という言葉があります。高齢者が肺炎で入院すると、食事が誤って気管に入る(誤嚥)のを防ぐために入れ歯が外されます。これが長く続くと、口元がたるむ、口腔内(※)が乾燥する、舌も動きにくくなる、ますます呑み込みができにくくなります。

少し極端な例をだしましたが、口の健康、口腔機能は、健康で長生きするためには大変重要なことです。この口腔機能の低下を、オーラルフレイル、と呼びます。

オーラルフレイルに対する取り組みで最近話題になっているのが、「あいうべ体操」です。福岡市の今井医師が提唱したもので、大きく口を開けて「あ」「い」「う」といって、最後に「べ」と舌を前に突き出します。声に出す必要はありませんが、みんなで声を出す体操も楽しいかもしれません。

口の周りの筋肉や舌の運動を行うのが目的ですから「体操」と呼びます。これを1回10セット、1日3回行うと効果があります。小学校で実践したら、インフルエンザによる学級閉鎖が減ったという報告もあります(手洗いやうがいは当然ですが)。

※「口腔」の読みは正しくは「こうこう」ですが、医学の世界では「こうくう」と言います。

前回の文章は以下のアドレスを参照ください。
https://hiraihou.t-heiwa.com/?p=1815

7月17日に名古屋市の北医療生協、すまいるハートビルの2階で、「いのちの章典」と「理念」――「ガイドライン」を活用し実践しよう、題すると講演を行いました。北医療生協の職員教育の一環で「キラキラ集会」と題したもので、67名の参加で行われました。

内容は、協同組合と生活協同組合について、「医療生協の患者の権利章典」と「医療生協の介護」が果たした役割、「医療福祉生協のいのちの章典」の果たす役割、「いのちの章典実践ガイドライン」のもつ意味、何より実践が重要であることなどを、全国各地の実践を交えて講演しました。

・今後の業務にいのちの章典のこの部分だなと思いながら仕事をしたい

・具体的な話を聞くことができた

・自分たちが普段やっていることが、いのちの章典に繋がっていることもあるんだと思いました

・実際に行っていること、当たり前のことがいのちの章典に繋がるのは、改めて実感しました

などの感想が寄せられました。

7月6日に香川医療生協研修室で、「香川アスベスト被害者を守る友の会」の第8回総会が開かれました。記念講演として、立命館大学政策科学部の森裕之教授の「自然災害とアスベスト被害」と題する講演が行われ、20人余りが参加しました。

立命館大学・森裕之教授の記念講演です

森先生は、2018年9月に開催された、医療福祉生協連の2018年度トップセミナーで、「縮小社会政策と今後の取り組み」と題する講演をいただいたことがあり、アスベスト被害の研究者でもあることから、今回講演をお願いすることにしました。

アスベストの7 ~ 8割が建設関係に使用されたことから、日常的に建築物の解体や改修時にはアスベストを含む粉塵が飛散しやすいこと、阪神・淡路大震災や東日本大震災などではこういった問題が広範囲に起きる危険性を指摘しました。

法律などが整備されてきているが、法律は大まかな枠組みを決めるだけなので、市町村レベルでの細かな条例などを整備する必要がある。これからは自治体に対して、実効ある対策を求めていく必要がある。今後も大震災や・洪水などの自然災害、人口減少に伴う公共施設の統廃合に伴う建物の解体や撤去、空き家の増加、水道施設の老朽化に伴う対応など、アスベストに関する問題は大きくなる。しかし、アスベスト問題は大きく取り上げられることはあまりなくなった。引き続き取り上げていく必要がある、と結びました。

大変示唆に富む内容で、これからの私たちの運動に有用な講演でした。

6月23日に高松市内で、香川県保険医協会の第38回定期総会が開催されました。その席上で採択された「決議」の個別要求項目を紹介します。

一 医療・介護・年金等の社会保障の抑制・削減方針を転換し充実させること

一 75歳以上の窓口負担2割化など新たな患者負担増計画は止めること

一 よりよい歯科医療を実現するため、保険のきく歯科治療を増やすこと

一 消費税10%への増税は中止し、医療への消費税課税には「ゼロ税率」を適用すること

一 不合理点数を是正し、適切な医療・介護体制が提供できるよう診療報酬・介護報酬を大幅に引き上げること

一 審査、指導、監査等は、保険医の人権と患者の療養権が確保されるよう改善すること

一 国民生活を守るため、憲法9条・25条を始め日本国憲法を守ること

一 すべての原発を廃炉にし、原発に依存しないエネルギー政策に転換すること

一 憲法違反の「安保法制」「共謀罪」法は廃止すること

以上、決議する

2019年6月23日 香川県保険医協会 第38回定期総会

6月23日に高松市内で、香川県保険医協会の第38回定期総会が開催されました。その席上で採択された「決議」を紹介します。

決議

「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」は、5月15日に十分な審議を行うことなく16本もの法律の改正が一括で行われた。マイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入、審査支払機関を医療費抑制を主眼とした機関に変貌させ、患者の個別性を無視した機械的審査拡大のおそれがある。

安倍政権は、「全世代型社会保障制度の構築」を打ち出し、さらなる高齢者負担増、医療・介護・福祉の削減、消費税増税とセットにした幼稚園・保育所・高等教育の「無償化」など、憲法の保障する生存権、社会保障の理念を形骸化するものである。

いまこそ、議会制民主主義、国民主権が輝く政治を求めるものであり、必要な医療・介護が安心して受けられる社会保障の充実を望むものである。

我々は、国民医療の確保のため、直ちに次の事項を実現するよう要求する。

同時に、人命を守る医療者として平和を希求するとともに、解釈改憲による「海外で戦争する国」づくりに反対し、平和と民主主義を守る取り組みを進める。

6月22日に開催された香川医療生協の総代会には、浜田恵造香川県知事より祝辞をいただきました(安藤照文・県健康福祉部長の代読)。

その大要(要旨)を紹介します。

(香川医療生協の)組合員の皆様は、「健康チェック」や「健診」などの取組みに加え、「かがわ健康ポイント事業」(マイチャレかがわ)にも賛同いただくなど、健康を守る活動を進めるとともに、医療・介護サービス等の提供により、県民の健康・医療の向上に多大な貢献をしています。

近年の健康・医療を取り巻く環境は、大きく変化しています。

こうした状況を踏まえ、本県では、「健康長寿の香川をつくる」ことと「切れ目のない安心な医療体制をつくる」ことを重点施策に掲げています。

今年度、小学校四年生に加え、新たに中学一年生への予防健診を助成対象とするなど、子どもの生活習慣病予防対策を強化するとともに、加齢に伴う口腔機能の低下が心身の虚弱を招いて、要介護状態に進む「オーラルフレイル」の予防や改善の方法等について普及啓発を図ることで、歯と口腔の健康づくりを推進します。

病床機能の分化・連携や在宅医療の推進に取り組み、地域において切れ目のない医療の提供を実現することにより、良質かつ適切な医療を提供する体制の確保に努めています。

皆様方には、今後とも、ご自身の健康づくりに取り組むとともに、その輪を地域に広げていただき、健康長寿の実現や安心な医療体制の構築に、より一層のお力添えをいただきますようお願いいたします。

安藤健康福祉部長が県知事祝辞を代読していただきました