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Monthly Archives: 8月 2018

相変わらず猛暑が続いています。2020年に開催される東京オリンピックに対する影響が懸念されています。とりわけマラソンの開始時刻を繰り上げるとか、「サマータイム制の導入」などが言われています。

そもそも、「サマータイム」とは、欧米では、デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time)と呼ばれており、「昼間の光を無駄にしない制度」という意味です。北欧のように昼間の時間が短い季節のある国ならともかく、日本のように日照時間が長い国には必要がありません。

夏時間開始初日の朝7時は、夏時間開始前日の朝6時になります。逆に夏時間終了日の朝7時は、夏時間終了翌日には朝6時になります。そのため同じ「時間」に起きるとすると、夏時間開始時には1時間の早起きに、夏時間終了時には1時間の朝寝坊になります。

1987年から2006年のスウェーデンでのデータに基づいた検討で、夏時間が始まった直後(春)の初めの3日間(月、火、水)に心筋梗塞発症の危険率が有意に増加したといわれます。1週間の平均で見ると、危険率は5%高まるとのことです。逆に夏時間が終わった直後(秋)の月曜には心筋梗塞発症の危険率が有意に減少し、1週間の平均で見ると危険率は1.5%低下したとのことです。(※)

サマータイム廃止を検討しているEUのパブリックコメントで、8割以上が制度の廃止を支持したと独メディアが報じ、EU域内では健康や睡眠への悪影響を示唆する研究成果などへの関心が高まっており、パブコメの結果を受けて今後廃止に向かう可能性が出てきた、と報じられています。(「毎日」8月29日)

夏の暑さが問題になるのなら、開催時期を秋に延期すれば解決することです。海外のTV放送のために選手が犠牲になることは許せません。

※一般社団法人 日本睡眠学会「サマータイム制度に関する特別委員会」の報告を参照ください。

http://www.jssr.jp/data/pdf/summertime_20120315.pdf
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従業員が50人以上(現在は45.5人以上)の事業所には、障害者を一定の割合で雇用する義務があります。これが障害者雇用率制度ですが、今年の4月1日 から、法定雇用率が、民間企業では2.0%から2.2%に、国、地方公共団体等は、2.3%から2.5%に、都道府県等の教育委員会は2.2%から2.4%に引き上げられました。また、対象となる事業主の範囲が、50人以上から45.5人以上に広がり、2021年4月末までにはさらに0.1%引き上げとなります。

最近、多くの省庁でこの「雇用率」をねつ造していたことが発覚、大きな社会的な問題になっています。報道によれば、数千人単位ともいわれ、香川県の名前もあがっているようです。民間事業者に対しては、罰則規定もあり、ある民間事業所では、日にちを限って雇用計画を提出しなければ、悪徳事業者として公表するとまで言われたところもあります。

一方、公務員の職場では罰則規定もなく相当長期にわたって、数値を「ねつ造」していた訳で決して許されるものではありません。

障害者が安心して働ける社会に変えていかなければいけないと思います。

一般名「ニボルマブ」という、一部のがんに効果のある薬剤があります。これまで、高すぎる薬剤の典型例として、2016年の8月19日(第320回)、10月21日(837回)、10月28日(838回)に取り上げてきました。最近はこれを大きく超える薬剤の承認が検討されようとしています。

4月23日の日経新聞は、「スイス製薬大手ノバルティスの日本法人は23日、次世代のがん治療薬として知られるCAR―T細胞医療を、厚生労働省に承認申請したと発表した」と報じました。この薬剤は「キムリア」という名前で、人の免疫細胞に遺伝操作を加え、がん細胞に対する攻撃力を高める薬剤のようです(この説明が正確かどうか、自信はありません)。

難治性の白血病やリンパ腫の一部に効果があるため、専門家や患者からは期待がもたれているようです。

問題は、この薬剤の値段で、米国では1回の投与価格が47万5千ドル(約5,200万円)だということです。これがそのまま日本でも適用されるなら、日本の保険制度は確実に破たんします。

名古屋大学の小島勢二名誉教授(小児科)によれば、名古屋大学から中国の北京小児病院に送った患者さんの薬剤費は100万円、中国人は30万円ですむ(全国保険医新聞2018年2月5日号)そうで、中国が持つ特許が使用されているため、安く上がるようです。

特許の問題はともかく、米国の薬価を元に日本の薬価が決められるようでは、日本の医療保険制度が崩壊する危険が大きいと言えます。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年7月15日(第1785号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その3)、の後半部分です。

いま、多くの「急性期病院」が、医師不足による救急対応の制限や入院日数が伸びそうな患者の入院に対して及び腰になっています。曰く「○○科の医師がいない」「神経難病の専門医がいない」「今日の当直は内科医でない」など、さまざまな理由で診療を遠回しに断られたり、「診察はしますが入院はできません」など、地方では在宅医療のバックアップが極めて困難になっています。地域の中核的な役割を持つ病院でも、「休日・時間外は、脳卒中や心筋梗塞など生命にかかわる緊急状態でなければ受け入れはできない」などという病院もあります。その中で、登録をしておけば「緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れる」病院の存在は貴重です。

入院から在宅ヘの流れを作るための仕組みとして、診療所の仕組みとしての「支援診」、中小病院の仕組みとしての「支援病」、200床以上の病院の仕組みとしての「在後病」について触れました。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年7月15日(第1785号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その3)、の前半部分です。

入院から在宅ヘの流れを作るための仕組みとして、06年から「在宅療養支援診療所」(以下、支援診)の創設、08年から「在宅療養支援病院」(以下、支援病)が創設されます。

支援診は、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置し、連絡先を文書で患家に提供する、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保する(他院との連携含む)、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保する、他の保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保する、というのが条件でした。

制度開始時点で届け出た医療機関は9,434(06年7月)でしたが、9年間で14,562(15年7月)と、1.5倍にしか広がっていません。

支援病は、原則200床未満の病院であること、当該病院において、緊急時に在宅患者が入院できる病床を常に確保していること、往診を担当する医師は病院の当直医とは別であること、その他は支援診と同様の条件で始まりました。

こちらは、331(08年7月)から1,074(15年7月)に、7年間で3.2倍に広がりました。とはいっても、1.5万近い支援診に対して対応する病院が千程度では、入院時に大変な苦労を強いられるのが実態です。

そこで、在宅患者の緊急時の対応ができるように、14年改定時に、200床以上の病院を対象に在宅療養後方支援病院(以下、在後病)の制度が新設されました。当該病院を緊急時に入院を希望する病院としてあらかじめ当該病院に届け出ている患者について緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れること、入院希望患者に対して在宅医療を提供している医療機関と連携し、3月に1回以上、診療情報の交換をしていることが、条件です。

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年6月17日(第1782号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その2)の後半部分です。

06年の診療報酬改定では、入院から在宅療養への円滑な移行への促進として、まず、在宅患者に対し24時間365日対応する「在宅療養支援診療所」が創設されます。そして、在宅患者が緊急入院したあと、入院医療機関と在宅を担当する医療機関が退院前に情報交換を行い問題点等を明らかにする「在宅患者入院共同指導料」が、新たに「地域連携退院時共同指導料」と再編され、報酬もそれまでの310点から1000点に(※)3倍以上に引き上げられました(在宅療養支援診療所の場合)。

がんの終末期など重症の場合は2回算定できますから、報酬は高くなります。連絡を密にし、情報を正確に把握してから在宅患者を診ることができますから、患者にとっては病状をよく把握した医師等に見てもらえるメリットがあるし、在宅を担当する医師等にとっても経済面以外にも大きなメリットがあると言えます。

06年の改定では、入院から速やかに在宅に移るための仕組みとして、大腿骨頚部骨折患者で骨接合術や人工骨頭置換術等を実施している患者を対象に「地域連携診療計画管理料(入院時)」1500点と、「地域連携診療計画退院時指導料(退院時)」1500点が新設されました。

入院時の点数は、平均在院日数17日以内の急性期病院で、退院後の連携を持つ病院は複数でないといけない、など特定の医療機関同士での患者のやり取りは認めないという縛りがあります。

00年に入ってから、脳卒中や大腿骨頚部骨折の術後、心筋梗塞などの特定の疾病に対して急性期治療、慢性期治療、外来・在宅等の患者の流れを定めた「地域連携パス」づくりが広がってきていたため、06年に試行的に導入されたものです。08年には脳卒中が追加されることになりました。

※診療報酬は「点」で設定されます。1点は10円です。従って、1000点とは1万円のことです。

「平成30年7月豪雨」の傷跡はまだ癒えていません。JR四国によれば(※)、予讃線の本山・観音寺間の財田川橋梁は、橋脚のずれにより線路がゆがんでおり、列車が通ることができません。

そのため普通列車は本山-観音寺間がバス輸送、特急列車は多度津-観音寺間がバス輸送になっています。もともと、多度津-観音寺間は特急列車なら15分程度しかかかりませんが、バス移動のため1時間以上かかることになります。

いま、四国に新幹線をという人たちがいて、8月26日投票の香川県知事選の重大な争点になっていますが、本州で新幹線に乗り松山へ向かう旅行客が、たくさんの荷物を抱えて途中で乗り換えて(どこで乗り換えるかはわかりませんが)、在来線より1時間以上余分に時間を使って松山駅に降りたつという、率直にいって滑稽な話になりかねません。

そもそも財田川の橋は、大正2年にかけられたもので、四国新幹線構想とは、その古い橋の上を新幹線が走るという計画ですから、真剣に安全性を検討したのかと疑いを持ちます。

何でも新しいものをではなく、人口減少社会に向け、今あるインフラを将来にわたり安全で信頼性のあるものに変えていくという考えが求められていると思います。


※JR四国のHPによれば、まだ回復していない箇所がたくさんあります(7月30日現在)。また、多度津-観音寺間は1時間以上かかります。
http://www.jr-shikoku.co.jp/emc_info/affliction0730.pdf
http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/20180713.pdf#page=5

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年6月17日(第1782号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その2)の前半部分です。

前回(970回。6月5日付)の最後の部分で、1983年2月に老人保健法が施行され、70歳以上の者及び65歳以上の寝たきり老人のみに適応される老人診療報酬点数表が創設されたことについて触れました。

高齢者の医療や福祉については、63年に施行された「老人福祉法」により政策が作られてきました。老人福祉法の目的は、第一条で、「老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ること」であるとされていました。

そして、その基本的理念は、第二条で「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする」となっていました。

83年2月に施行された「老人保健法」では、目的は第1条で「国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施し、もつて国民保健の向上及び老人福祉の増進を図る」とされおり、この部分は特別問題となる表現ではありませんが、基本的理念は大きく書き換えられました。

理念は、第二条の1項で、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴つて生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、老人の医療に要する費用を公平に負担するものとする」となっています。

つまり、基本的理念が、「生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるもの」から、「老人の医療に要する費用を公平に負担するもの」になったのです。老人医療の有料化から始まる際限のない負担増の大本はここにあるのです。

そして、2006年6月に成立した「健康保険法等の一部を改正する法律」の第7条の規定により、「老人保健法の一部改正(08年4月施行)」で、題名が「高齢者の医療の確保に関する法律」に改められ、「後期高齢者医療制度」が創設されることになりました。

(次号に続く)