第990回:国民の健康を害するサマータイム制度の導入を行うべきではありません

相変わらず猛暑が続いています。2020年に開催される東京オリンピックに対する影響が懸念されています。とりわけマラソンの開始時刻を繰り上げるとか、「サマータイム制の導入」などが言われています。

そもそも、「サマータイム」とは、欧米では、デイライト・セービング・タイム(Daylight Saving Time)と呼ばれており、「昼間の光を無駄にしない制度」という意味です。北欧のように昼間の時間が短い季節のある国ならともかく、日本のように日照時間が長い国には必要がありません。

夏時間開始初日の朝7時は、夏時間開始前日の朝6時になります。逆に夏時間終了日の朝7時は、夏時間終了翌日には朝6時になります。そのため同じ「時間」に起きるとすると、夏時間開始時には1時間の早起きに、夏時間終了時には1時間の朝寝坊になります。

1987年から2006年のスウェーデンでのデータに基づいた検討で、夏時間が始まった直後(春)の初めの3日間(月、火、水)に心筋梗塞発症の危険率が有意に増加したといわれます。1週間の平均で見ると、危険率は5%高まるとのことです。逆に夏時間が終わった直後(秋)の月曜には心筋梗塞発症の危険率が有意に減少し、1週間の平均で見ると危険率は1.5%低下したとのことです。(※)

サマータイム廃止を検討しているEUのパブリックコメントで、8割以上が制度の廃止を支持したと独メディアが報じ、EU域内では健康や睡眠への悪影響を示唆する研究成果などへの関心が高まっており、パブコメの結果を受けて今後廃止に向かう可能性が出てきた、と報じられています。(「毎日」8月29日)

夏の暑さが問題になるのなら、開催時期を秋に延期すれば解決することです。海外のTV放送のために選手が犠牲になることは許せません。

※一般社団法人 日本睡眠学会「サマータイム制度に関する特別委員会」の報告を参照ください。

http://www.jssr.jp/data/pdf/summertime_20120315.pdf
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