第725回:介護保険改定について(その3)

香川県保険医協会機関紙「香川県保険医協会報」の「社保のページ」に介護保険改定に関する連載を行っています。

2015年5月号に掲載した内容を転載します。一部修正しています。

内容的にはこれまでの「飛来峰」の内容と重複します。

2015年4月から65歳以上の被保険者(第1号被保険者)の保険料がほんの一部ですが改善します。これまでは所得に応じて6段階になっていましたが、9段階に細分化され、より所得の低い階層に対する保険料の引き下げが行われます(自治体によってはすでに実施されています)。

「世帯全員が市民税非課税で、課税年金収入額と合計所得金額の合算額が80万円以下の方」などの、9段階に細分化された第1段階の場合、これまでの基準額の50%から45%に引き下げられます。ただ、多くの市区町村で基準額が引きあげられていますから、どれほどの引下げになったかは調査が必要です。

介護サービスの利用料が引き上げられます。2015年8月から、65歳以上の一定以上所得者の利用料は2割になります。前年度の合計所得金額(年金等の控除後で、人的控除等の前の額)が原則160万円以上の場合です。但し、同一世帯の方の所得額が低い場合は、2人以上世帯の場合で346万円未満なら1割に据え置かれるなどのケースもあり、詳しく確認しておく必要があります。

低所得者が介護保険施設に入居する場合、食費・居住費の軽減制度があります。公費により補填される訳ですが、これを「補足給付」と呼びます。ユニット型個室に入居する場合、市町村民税本人課税者の場合、居住費+食費+1割負担で、月額13万円以上かかりますが、市町村民税世帯非課税であり課税年金収入額などの合計が80万円以下の場合は、5.2万円になります。この制度が変更されます。

2015年8月からは、世帯分離をしていても配偶者(事実婚含む)が住民税課税者である場合は、その所得を勘案し補足給付の対象外となります。要するに配偶者に一定の収入があれば代わりに支払いなさい、ということになります。