第716回:新しい総合事業について(その1)

 地方政治新聞「民主香川」に、「史上最悪の社会保障改悪」というタイトルで、医療・福祉の改悪の内容を連載しています。2015年4月19日号(第1668号)に掲載した、「第3回 新しい『総合事業』について(1)」で、一部修正しています。

 第713回(4月7日付)で、「今後は、要支援と判定されると、介護保険の利用ができなくなり、市町村の『新しい介護予防・日常生活支援総合事業』(新しい総合事業)で対応することになります」と述べました。

厚生労働省が全国1579の市町村と広域連合を対象に実施時期を調べたところ、「今年度から独自事業を始める」と答えたのは114と、全体の7%にとどまっていました。「移行期限となる平成29年度」と答えたのは1069と全体の67%、「未定」と回答したのは119でした(NHK 4月11日)。

新しい総合事業の実施に踏みだした自治体の取りくみを紹介します。

まず、三重県桑名市です。桑名市のホームページから、引用します(一部省略しています)。


要支援1,2の方への予防給付のうち、訪問介護(ホームヘルプ)と通所介護(デイサービス)については、桑名市が行う新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」(新しい総合事業)へ移行します。

また、新しい総合事業では、これまでと同様のサービスに加え、より多様なサービスが創設されます。

総合事業訪問介護 ・現行の介護予防訪問介護と同様
・現行のサービスを提供する事業所
えぷろんサービス ・シルバー人材センター会員による掃除、洗濯、買い物等の日常生活支援
おいしく食べよう訪問 ・訪問による「食事相談」、「献立相談」、「体重測定」 等の提供
栄養いきいき訪問 ・管理栄養士による訪問栄養食事指導を提供
お口いきいき訪問 ・歯科衛生士による訪問口腔ケアを提供
「通いの場」応援隊 ・シルバーサロン等の利用者の自宅とサロン間の移送
総合事業通所介護 ・現行の介護予防通所介護と同様
・現行のサービスを提供する事業所
シルバーサロン ・茶話会などの地域住民が相互に交流する機会を提供
・「宅老所」「ふれあいサロン」「まめじゃ会」
健康・ケア教室 ・医療・介護専門職等が送迎を伴う通所による運動、栄養、口腔、認知等に関する介護予防教室を開催

しかし、サービス利用の仕方、事業所案内については、「作業中のためしばらくお待ちください」とホームページを見ただけでは、実際のところはわかりません。

厚労省は訪問介護(ホームヘルパー)サービスの今後について、要介護者に対する訪問介護に加え、要支援者に対するサービスとして以下の類型が提示されています。

・訪問型サービスA;生活援助等。事業者を指定または委託する。人員等の基準は緩和
・訪問型サービスB:ボランティアなどによる生活援助
・訪問型サービスC:保健師等が自宅・施設で相談指導を行う
・訪問型サービスD:移送前後の生活支援。ボランティア主体

4月から実施するとしている自治体も、上記のサービス全てを4月から開始している訳ではありません。次回から実際に開始している自治体の様子を報告したいと思います。因みに、香川県内のすべての自治体は「様子見」の状態です。