第702回:4月から、要支援者の介護保険の利用が大きく制限されます(その2)

中央社保協(中央社会保障推進協議会)が昨年秋に行ったアンケートを元に、2014年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」を公表しました(2月3日付「飛来峰」第701回)。その内容の大要を紹介します。「 ⇒ 」以下は、私のコメントです。

1)介護保険料について
①第5期(2012年4月~2015年3月)の基準額は、平均56,999円(年)

②第6期(2015年4月~2018年3月)の保険料について、回答のあった自治体の平均は、66,226円で、年間1万円の引き上げでした。回答した1003自治体のうち「据え置き」は11自治体、「引き下げ」は2自治体で合わせても1%、「不明」「無回答」を除き約半数の48%が引き上げでした。

③保険料財源への一般財源の繰り入れについて

保険料財源への一般繰り入れは、回答した951自治体のうち「検討している」は41自治体で4%、「検討していない」は467自治体で49%でした。

⇒ ほとんどの自治体で引き上げになると思われます。

2)「要支援者」の総合事業・地域支援事業への移行について、実施時期について回答した976自治体のうち「2015年4月」と答えたのは32自治体で3%のみです。その他は「見通したたない」が125自治体で13%、「不明」が273自治体で28%、「その他」が308自治体で32%です。

また、新しい介護予防・生活支援サービス事業について「『多様なサービス』の確保について」は、回答した950自治体のうち「確保できる」と答えたのは85自治体で9%のみでした。「できない」「見通しがたたない」と回答したのは703自治体で74%でした。

⇒ 厚労省の調査(※)では、全1579自治体の集計で、2015年4月から開始できるのは78自治体で4.9%ですから、中央社保協の数値は実態を反映したものと思われます。法的には、2017年度中に開始することになっていますから、3分の2の自治体は先送りしているようですが、サービス提供の目途が立っていないというのが実情だと思います。

⇒ 3年以内にすればよいという考えの自治体もあるようですが、利用者の立場から見れば、それでは困るというのが正直なところだと思います。実態を明らかにする運動が求められると思います。

3)特別養護老人ホームの入所待機者数
回答のあった31都道府県からの報告集計は275,135人で、そのうち「要介護1・2」は80,787人で約3割を占めています。

⇒ 要介護1・2は、原則として特別養護老人ホームへの入所ができませんから、今後大きな問題になっていくと思います。この点も、いっせい地方選挙を前にして、大きく問題にしていく必要があります。

※2015年2月5日付のしんぶん赤旗より。以下のHPを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-02-05/2015020501_02_1.html

(この項続く)