第701回:4月から、要支援者の介護保険の利用が大きく制限されます(その1)

介護保険の「改正」により、「要支援」と判定された方がホームヘルパーの利用やデイサービスの利用を希望する時に、介護保険の利用ができなくなります。かわりに、市区町村が行う「地域支援事業」で対応することになりますが、全国一律の基準が廃止されるために自治体により、対象やサービス内容や異なることになります。

わかりやすく言えば、財政に余力があり、サービスを充実できる自治体ではそれなりに対応が可能ですが、そうでなければサービス内容が適当なものになるかもしれない、ということです。

また、これまでの「施設基準」が廃止されますから、専門知識がない、資格も持たない素人同然のボランティアが対応することにもなりかねません。「安全・安心」には程遠い「地域支援事業」になる可能性もあります。

早ければ今年の4月から始まる地域支援事業の自治体の準備状況について、中央社保協(中央社会保障推進協議会)が2014年9月から11月にかけて47都道府県の社保協を通じて自治体にアンケート調査をした結果がまとまりました。

2014年11月26日に、第1次集約(25都道府県の約560自治体・広域連合)の結果を、中央社保協が記者会見を行い公表しました。9割の自治体が「見通しが立たない」と回答があり、その理由として、都市部も過疎地域も「担い手が確保できない」「財源不足」の2点を理由としてあげていました(2014年11月28日付「しんぶん赤旗」)。

今回明らかになった、2014年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査」報告書では、回答のあった35都道府県の950自治体のうち、「要支援1・2サービスの地域支援事業への移行の見通しはあるのか」という問いに対し、「見通しがたたない」「できない」と回答したのが74%、「できる」としたのは9%でした。また、「見通しがたたない」「できない」と回答した自治体からは「地域の実情に合った改正を」「財政支援を求める」といった切実な声が寄せられています。

一方、2015年4月から移行できると回答した自治体は32(3%)と少ないのですが、すでに実施に向けて動きが始まっているわけで、それぞれの自治体に対して、調査を行う必要があります。

※社保協の「緊急調査」の報告書については、下記のHPを参照ください。

http://shahokyo.jp/2014年「全国市町村介護保険改定に関する緊急調査-2/

 (この項続く)