第1175回:オンライン診療の問題点(その6)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年12月20日付(第1869号)に掲載した、「オンライン診療の問題点」(その3)の後半です。

オンライン診療を実施できると登録した医療機関は、10月末現在で、1万6千余りで、全体の医療機関の約15%です。4月24日時点では1万件余りでしたが、5月末で約1.5万件、6月末以降は約1.6万件でほぼ一定になっています。そのうち初診から可能というのは7千件弱で全医療機関の6.3%程度です。

科別にみると、電話診療もオンライン診療も内科・小児科が中心で、両科を合わせると、電話診療の約92%、オンライン診療の約83%でした。

今回の特例措置の条件がいくつかあります。
 ・麻薬及び向精神薬の症はしてはならない
 ・診療録で基礎疾患の情報が把握できない場合は、処方日数は7日間を上限とする
 ・抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤等の処方をしてはならない
等でした。

実際はどうだったか。4月 ~6月は、麻薬の処方が18件、向精神薬70件ありました。7月~9月は、麻薬の処方が14件、向精神薬の処方が73件ありました。殆ど変わりはありません。これらの処方で問題が生じたかどうかは不明ですし、医療機関側の問題か患者側の問題かは不明ですが、ルールが守られていない実態があることは、医療の安全性を考えるうえで問題は大きいと思います。

4月~6月のまとめでは、「重症な疾患によるものである可能性のある症状」として検討会事務局が集計したデータでみると、発熱が2,605件、頭痛が1,102件、咳が805件ありました。

もちろん、少し咳が出る(咳が止まらないのではない)、発熱も高熱や持続するのではないなど、問題のないケースも含まれていると思いますが、きちんと経過をみた訳ではないので、心配ないのかという気がします。

第10回検討会を受けて8月26日に「留意事項」が事務連絡として発出され、特例措置の当初の条件の遵守の徹底が呼びかけられました。医療の安全性を担保するためにも、制度運用の実態を注視する必要があります。