10日付「朝日」は、「東京の医療 逼迫せず」を否定した医師は、というタイトルで、杏林大病院(東京都三鷹市)の山口芳裕・高度救命救急センター長インタビューを掲載しました。
新型コロナウイルスの感染状況などを分析する東京都の会議でそう訴え、医療体制に余裕があると強調する政府に疑問を呈した。と報じました。
杏林大病院でも、7月後半から感染者の入院や、感染が疑われて救急搬送されてくる「疑い患者」が増えてきました。そのたびに救命救急センターでは、(高性能な)N95マスクやガウン、手袋などフル装備で対応します。感染者用の病床をふやすのは簡単ではない、患者の転院や、準備期間を考えると、病床が不足する事態に陥ると指摘しています。
確かに、3月や4月の時期には、手術の延期や入院受け入れの延期などで感染症に対応する病院は感染者のための病床確保ができました。しかし、そのため多くの医療機関で大きな赤字を抱えることになり、大病院の中では夏のボーナスはゼロにするというところまで出ました(その後支給されるようになったようですが)。このまま、手をこまねいてみていたら、病床確保が困難になるのは目に見えているのではないでしょうか。
山口医師は「新型コロナへの対応は短期間では終わりません」「社会と医療がコミュニケーションをとりながら、対策をしていかねばなりません」「国民と医療の信頼関係が必要」と強調しています。まったく同感、という感想を持ちます。いまこそ、新たな対応が求められています。