第1125回:診療報酬の20改定を考える(2)

地方政治新聞「民主香川」に、「診療報酬の20改定を考える」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年4月19日付(第1845号)に掲載した、(その1)の後半です。

さて、診療報酬改定は安倍政権発足時以来、消費税増税の補填などを含む名目数値はともかく、実質改定率ではマイナス改定が続いています。14改定はマイナス1.26%、16改定はマイナス1.31%、18改定はマイナス1.19%、20改定ではマイナス0.46%でした。安倍政権下で通算5%近い削減が行われたことになります。

今回の改定は、改定項目でみると率直に言って、あまり大幅な改定ではないように見えます。これまでのように、病床の新しい仕組みの導入や、外来医療を大きく変えるような制度の導入などがあったわけではありません。

 今回改定の特徴点は、以下の点です。

①初診料や再診料、入院料等の基本診療料等の本体点数(基本的な部分の評価)は全く引き上げられませんでした。

②検体採取(採血時の評価など)、院内調剤、注射、処置、点数などの汎用点数(よく使われる部分)が引き上げられました。

③救急医療体制の評価として、救急車・救急ヘリによる搬送件数が年間2千件以上ある地域の救急医療基幹病院を対象に、地域医療体制確保加算が新設されるなど、救急医療の集約化が図られました。また、入院医療の再編・統合を加速するために、「重症度、医療・看護必要度」を強化しています。これは、公立・公的病院の再編や引き続く民間病院の再編に続くものと考えられます。

④医師の働き方改革については病院勤務医だけが対象ですが、医師事務作業補助体制加算、看護補助者の配置や、看護職員・看護補助者の夜間配置に係る点数が引き上げられました。施設基準でも、常勤者要件の緩和や、複数の非常勤職員を組み合わせた常勤換算で要件を満たす取り扱いがいくつかの点数で取り入れられています。

※今回改定は、技術料など本体でプラス0.55%、薬価・材料価格がマイナス1.01%です。