第1105回:国民健康保険制度を考える(その18)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2020年2月16日付(第1839号)に掲載した、「国民健康保険制度を考える」(その9)の後半です。

協会けんぽや組合健保、共済保険の加入者から見たら、関係ないと見えるかもしれません。しかし、定年退職後や、病気・倒産などで失業したら、国保に加入することになります。国保は国民皆保険制度を支えるもので、「公共システム」の一部といえますから、この制度を充実させることが社会保障制度の基本です。

厚労省は、国保料に対する法定外繰入を行う市町村に対してペナルティーを科す方針です。

内閣府が19年10月9日に開催した、第27回経済・財政一体改革推進委員会に対して、厚労省が提出した資料によれば、法定外繰入等の解消等に対する検討として、「骨太方針等に基づき、法定外繰入等の早期解消を図るべく、2020年度の保険者努力支援制度において、市町村指標の新設、赤字解消計画の見える化や進捗状況等に応じた評価指標の設定、マイナス点の設定など、抜本的な強化を図った」とし、「保険者努力支援制度」における評価指標を設けました。

具体的には、18年度決算において決算補填等目的の法定外一般会計繰入等を行っていない場合は、プラス35点。赤字削減・解消計画を策定していない場合、又は赤字削減・解消計画を策定しているが、赤字の削減目標年次、削減予定額(率)若しくは具体的な取組内容のいずれかを定めていない場合はマイナス30点など、実績や「見える化」の「指標」で評価をしていくというものです。これを元にして交付金額が決まります。

厚労省はこれまでの国会答弁で、公費の繰入は「自治体の判断」としてきました。この方針を180度転換するものです。「地方創生」はどこにいったのか、ということになります。

※国保料・税は国保料。保険料・税は保険料と記載しました。