第1095回:厚労省の「再編・統合」対象病院の公表を考える(その1)

本欄1092回(1月28日付)で、1月23日に開催された香川県保険医協会の2019年度第9回理事会で採択された「声明」を紹介しました。

1月28日に、この声明を手に、さぬき市民病院、香川県済生会病院、国立病院機構高松医療センターを訪問しました。高松医療センターは院長・事務部長ともに不在で資料を渡すだけになりました。また、滝宮総合病院は時間の関係で訪問はできませんでしたが、他の2病院では懇談することができました。同日、東部構想区地域医療構想調整会議が開催されました。

この訪問での懇談内容と、調整会議に出席した方からの報告を聞いての感想です。

さぬき市民病院は、さぬき市立ですから、そもそも他の病院との合併・再編ということにはなりません。病院のあり方を決めるのはさぬき市議会・さぬき市民ということになります。他の医療機関との連携や役割分担は、国の指示に従うというものではなく、地域における役割と医師体制や財政規模とを検討する中で自主的に決めるべきものです。

香川県は2013年に策定した「第六次香川県保健医療計画」で香川県内を5つの医療圏に分け、調整を行ってきました。さぬき市民病院は、大川保健医療圏の中核病院としての機能を果たしてきました。しかし、2016年10月に策定した「香川県地域医療構想」の趣旨などを踏まえ、2018年3月に策定した「第七次香川県保健医療計画」で、香川県内の「構想区域」を3つとし、大川保健医療圏と高松保健医療圏を合わせて、「東部保健医療圏」としました。

そのため、「大川」では中心であっても、「高松」と一緒に様々な指標を並べたら、下の方に位置することになります。救急受け入れの数字などがその典型です。圧倒的に人口の多い「高松」の方が救急受け入れ件数が多くなるのは当たりまえと言えます。相撲でいえば、取り組みの途中で「土俵が広くなった」ようなもので、住民目線から言えばおかしなやり方だと思います。

病院のHPをみても、2008年6月に精神科病床を廃止し416床から226床に減床(その後199床に)、2012年1月に新病院となり、総病床数は179床になっています。感染症対応やDMAT対応など、地域でなくてはならない病院として機能しています。

こういった実態をみていないのが、今回の厚労省の、病院名の「発表」と言えます。