第1066回:地域医療構想に基づく病床削減を考える(その1)

厚生労働省は9月26日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の第24回会議を開催し、2025年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証を要請する対象となる病院名を公表しました。

具体的には、一般病床もしくは療養病床を持つ医療機関であって、平成29年病床機能報告において「高度急性期」もしくは「急性期」病床を選択した公立または公的医療機関1455病院中、424病院(29.1%)が「再検証要請対象医療機関」であると実名を公表しました。そのため、全国の多くの地域で、この地域で入院できる病院がなくなるのかと不安を呼び、行政関係者からも「これはひどい」「地域の現状を無視している」という声が上がっています。

再検証の要請対象となるのは、以下の2つの条件です。

1.がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期、災害、へき地、研修・派遣機能の9領域で、「診療実績が特に少ない」とされた277病院。

2. がん、心疾患、脳卒中、救急、小児、周産期のすべての領域で「類似かつ近接」とされた307病院。

1.にも2.にも該当するダブりを除いたのが、424病院です。

しかし、これまで、脳卒中や心筋梗塞などは、地域に拠点病院を定めそこに患者を集中させる政策をとってきました。多くの病院は医師不足、スタッフ不足などが背景としてあり、この政策に従い救急医療等を行ってきました。

つまり、政府の方針に従い、脳卒中や心筋梗塞患者が自医療機関にきても、拠点病院に紹介していたわけで、その結果=診療実績をみただけで、脳卒中や心疾患の診療実績のない病院として判定され、「地域で不要な病院」と言わんばかりの扱いをうけるわけです。現場の医師としては、2階に上がったら梯子を外された、という気分になります。

地域で必要な病院が次々と消えていく政策と言わざるを得ません。

この話題はしばらく続けます。