第1039回:参院選の争点を考える

香川県保険医協会報5月号の主張欄に「参院選の争点を考える」という文章を掲載しましたので、それを転載します。

参議院議員選挙は7月4日公示、21日投票と言われていますが、安倍首相は衆参同時選挙を狙っているとも伝えられ、日程は決まっていません。

選挙の争点について考えてみたいと思います。

内閣府は13日、3月の景気動向指数の基調判断を、「悪化」に引き下げました。中国経済の減速、米中の経済摩擦など、景気の悪化要因が高まるなかで、10月に予定されている消費税増税をこのまま行うのか、ということが最大の争点になります。

昨年4月から国民健康保険の都道府県化が実施され、全国的に国保料の値上げが始まっています。国民健康保険には、加入者に高齢者が多い、所得の低い人が多いという特徴があります。全国知事会は14年以来、公費1兆円の投入を政府に要求しており、実現すれば多くの自治体で国民保険料を引き下げることが可能になります。

短時間で採決した健康保険改定案では、診療報酬明細などの医療データベースと介護保険給付費明細書などの介護データベースなどとの連結分析を認めて民間事業者の活用を可能にすることが決まりました。情報漏洩のリスクについて、サイバーセキュリティー基本法の対象になっておらず、大きな問題を抱えています。また、マイナンバーカードを普及するために、保険証として使えるようになりますが、医療機関にはその管理が強要されるなど問題点も多数あります。

給付型奨学金を増やすなど、教育の無償化も大きな課題です。保育料負担や質の担保など、国民的な課題として考えていく必要があります。

憲法9条について、「9条に自衛隊を書き込むだけで何も変わらない」といっていた安倍首相が、自衛官募集と関連付けて「憲法にしっかりと自衛隊と明記」することを唱えるなど、「憲法改正」も大きな争点です。とりわけ5月3日の憲法記念日に「2020年を新しい憲法施行の年にしたいという気持ちに変わりはありません」と唱えるなど、予断は許せません。

こういった問題点を選挙の中で考えていきましょう。