第1027回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(21)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の後半です。

問題は、入院7日以内に「家族と面談」というところで、同居家族がいればともかく、一人暮らしでこどもは遠方というのはよくあります。こどもが仕事をしていればすぐには来られません。時間外ならいけるといわれると、今度は職員の側が時間外労働になり長時間労働になるという問題もあります。家族にしても、すぐに来てほしいと言われても仕事の都合がつかない、仕事をしていなくても子供の行事などもあるしすぐにはいけない、すでに肉親の介護を行っているなどという事もあります。

2017年6月21日に開催された「第3回入院医療等の調査・評価分科会」でも、「入退院支援を困難にしている理由・課題等をみると、相談員の人員体制の不足、支援のための時間確保が困難、患者・家族等との面会日の日程調整が困難(特に日勤帯だけでは困難)との指摘がある」とまとめられています。

もう一つが「20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う」ということです。すべての医療機関が一堂に会するのが理想的ですが、「各機関の退院支援職員同士が協議を出来る機関数で行う」「一堂に会することで、対面しての業務上の意思疎通ができないものは要件を満たすことにならない」などの縛りがあり、地域連携懇談会のような形で20以上の医療機関に参加してもらっても、現実的には個別に懇談する時間が取れないので、ハードルは高い、といわざるを得ません。

また、「地域連携診療計画管理料」「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)」が廃止され、「地域連携診療計画加算」が新設されました。在宅療養支援診療所等に紹介する場合は、「退院時共同指導」が算定できますが、それ以外の医療機関に紹介する場合の点数で、入院時から退院に向けてスムーズに進むような仕組みであると言えます。