第1026回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(20)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年3月17日付(第1808号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その11)の前半です。

今回は16改定について触れます。

16改定では、「経済財政運営と改革の基本方針2015 ~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針)に基づき、社会保障1700億円削減を実現するために全体としてマイナス改定となりました。

改定の中心は、入院の再編と機能分化・強化と連携です。

急性期病床では、最も単価の高い7対1看護体制の病床を減らすために、算定要件として、より重症度の高さを求める、該当患者数の割合を引き上げる、在宅復帰率を引き上げるなど、中小病院では算定が困難な条件を設定しました。

14改定で新設された「地域包括ケア病棟入院料」には、手術料が出来高で算定できるように変更され、中小病院の役割がより明確になりました。

療養病棟では医療の必要性がより高い患者の入院が必要となるなどの変更がなされました。急性期病院からの転院を促進する目的がある一方、軽症患者が入院できにくくなるという側面があります。

「病院から在宅へ」という動きを加速するものとして、「退院支援加算」が新設されました。従来の「退院調整加算」が廃止され、要件を厳しくした「退院支援加算1」を新設、従来の「退院調整支援加算」は「退院支援加算2」(以下、「2」)になりました。「退院支援加算3」はNICU等に入院中の小児等が対象となります。

新設された「退院支援加算1」は、入院後3日以内(「2」は7日以内)に退院困難な要因を有する患者を抽出し、7日以内(「2」はできるだけ早期)に患者・家族と面談し、7日以内にカンファレンスを実施(「2」は実施すればよい)などと要件が厳しくなり、特にハードルが高いのが、20カ所以上の連携する医療機関の職員と、年3回以上の定期的な面談を行う、というものです。介護保険との関連では、介護支援専門員との連携実績が必要です。