第1022回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(19)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年2月17日付(第1805号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その10)の後半です。

「地域包括ケア病棟入院料」は病室単位で算定できるもので、在宅療養支援病院・在宅療養後方支援病院・二次救急医療施設(※)・救急告示病院のいずれかを満たし、リハビリテーションを実施しているなどの要件があります。「地域包括ケア病棟入院料」には、高い点数が算定できる「1」と、低い点数になる「2」がありますが、「1」の場合は、在宅復帰率が70%以上というハードルが設定されています。

つまり、救急医療に対応する、在宅医療のバックアップ機能を持つ、リハビリテーションを行う、在宅(※2)復帰機能を持てば収益につながる制度であるといえます。

療養病棟でも、一定の在宅復帰率を有する病棟に対する評価が新設されました。「在宅復帰機能強化加算」で、1月(※3)以上入院していた患者の50%以上が在宅に退院する、退院した患者が1月以上在宅生活が継続していることを確認するなどの条件が必要です。

リハビリテーションでも、一日でも早く退院を促進するために、急性期病棟におけるリハビリテーション専門職の配置に対する評価として「ADL維持向上等体制加算」が新設されました。専従のセラピスト(常勤理学療法士、常勤作業療法士、常勤言語聴覚士が1名以上)を配置する必要があります。すべて「常勤」というところがミソで、それなりの職員を抱えないといけないというメッセージでもあります。

回復期リハビリテーション病棟でも365日リハビリテーションを行うことをめざし、従来は「休日提供加算」がありましたが、高い点数を算定するには、休日を含め、週7日間リハビリテーションを提供できる体制が算定要件として包括されました。休日も行うことが前提とされた訳で、文字通り「毎日がリハビリ」になりますが、一日も早い回復を望む患者にとってはメリットは大きいと言えます。


二次救急医療施設
入院を要する救急医療を担う医療機関で、救急救命センターなどの三次救急医療機関以外のもの

2在宅の定義
基本的に自宅・アパートやマンションなどの集合住宅などを指します。様々な施設については、改定のたびに変化しているのでここでは触れません。

1月
「ひとつき」と読みます。1ヶ月というと、1月は31日、2月は28日か29日、4月は30日ですから、「定義」になりません。そこで、月初めから月末なら「ひとつき」、1月25日から2月24日までも「ひとつき」と言います。