第1021回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(18)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年2月17日付(第1805号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その10)の前半です。

第1018回(2月19日付)・第1019回(2月26日付)では主に12改定について触れました。2012年は、2回目の診療報酬・介護報酬の同時改定でしたから、介護保険サービスとの関連で退院に向けた改定がありました。

14改定では、改定のポイントとして、「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組み、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築を図る」こととされました。そのため、退院に向けた細かな変更はなく、システムそのものに目を向けた改定となっています。

医療提供体制については、14年6月に公布された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」により改正された「医療法」に基づいて、14年10月から「病床機能報告制度」が実施されました。

病床機能報告制度とは、病棟単位で高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つのいずれの病床機能に該当するかを、毎年都道府県に報告することが求められるものです。

「高度急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」で、「急性期機能」は「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」とされます。「回復期機能」はリハビリテーションなど在宅復帰に向けた機能、「慢性期機能」は、長期療養が必要な場合です。

「高度急性期機能」と「急性期機能」の違いが今一つよくわかりませんが、それはともかく、この病床の機能分化に先立ち、在院日数を短くすることが求められる急性期病院で、04年に新設された、一定期間長く入院が可能だった「亜急性期入院医療管理料」が廃止され、「地域包括ケア病棟入院料」が新設されました。

 (次回に続く)