第1019回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(17)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年1月20日付(第1802号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その9)の後半です。

入院日数の制限のある一般病棟でも、従来は、病棟または病室単位で、ある程度長く入院ができる「亜急性期入院病床・病棟」がありましたが廃止され、「地域包括ケア病床・病棟」が新設されました。1日当たりの包括点数が決まっており制約は多いものの、60日間算定できますから、入院した日に退院の話が始まることもなく、疾病によっては適切な医療が提供できる制度という側面もあります。

在宅医療のバックアップ機能を行う「在宅医療後方支援病院」(在後病)が新設されました。200床以上の病院が対象で、診療所等が訪問診療を行っている患者で、在後病に登録した患者が緊急入院すると「在宅患者緊急入院加算」2500点を病院が算定できます。訪問診療を行っていると、夜間・休日等に病院に紹介する時には困難を極めます。病院にとっても、診療所にとっても、患者・家族にとってもメリットのある制度です。因みに、1病院につき1患者、つまり患者が複数の病院に登録することはできないことになっていますが、在後病が満床の場合は、いったん診察したうえで、あらかじめ契約している他の病院に紹介入院できるようになっています。

200床未満の病院の場合は、在宅療養支援病院(在支病)として、自らが訪問診療を行い、入院は自院で対応するという仕組みです。

因みに、香川県には、18年12月1日現在で、在宅医療後方支援病院は3か所、在宅療養支援病院は12か所です。