第1018回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(16)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2019年1月20日付(第1803号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その9)の前半です。

医療保険の「定価」を決める診療報酬は2年に1回、介護保険の「定価」を決める介護報酬は3年に1回改定されます。介護保険の開始は2000年で、この年に診療報酬の改定がありましたから、それ以来、06年、12年、18年に医療・介護報酬の同時改定が行われました。

12年の医療・介護の同時改定は、「社会保障と税の一体改革」の一環として行われ、団塊の世代が75歳を超える2025年に向けて、医療費の抑制と医療への国の支出を抑えることを最大の狙いとしていました。

14年改定は、これをさらに進めるものとなりました。具体的には入院医療機関の病床機能を高度急性期、一般急性期、亜急性期、慢性期へと機能別に再編し、高度急性期から在宅への流れを強めることにより病床数や入院患者数の削減を狙うものとなっています。しばらく14改定の特徴をふりかえってみます。

急性期医療を担う7対1入院基本料の施設基準に「自宅や在宅復帰機能を持つ病棟、介護施設に退院した患者の比率が75%以上であること」という基準が追加されました。つまり、自宅に直接帰るのが難しい場合は、転院先から容易に自宅に帰れるような仕組みを作ったということになります。

在宅復帰機能を持つ病棟とは「回復期リハビリテーション病棟」「地域包括ケア病棟」「在宅復帰機能強化加算を届けている療養病棟」のことです。介護施設とは「居住系介護施設」と、詳細は略しますが「(一部の)介護老人保健施設」です。

いずれにしても、「川上」から「川下」へ患者の「流れ」をつくる施設体系を整備した訳です。

(次号に続く)