第1008回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(12)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年11月11日付(第1797号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その7)の前半です。

退院時の調整に関わる点数項目で、06年改定では「地域連携診療計画管理料」 「地域連携診療計画退院時指導料」「総合評価加算」などが新設されました。08年改定では「後期高齢者退院調整加算」「退院調整加算」などが新設されました。

10年からはこれらの対象を広げていくために、退院調整に関わる制度が創設されます。

まず、「介護支援連携指導料」です。医療・介護関連職種の連携を推進する観点から新設されました。入院患者に対して、医師または医師の指示を受けた看護師等が、ケアマネジャーと共同し、退院後に利用可能な介護サービス等について説明および指導を行った場合に算定できるものです。入院中から、ケアマネジャーが退院後のケアプランを作成できることを評価したものです。

また、「地域連携診療計画管理料」の計画を共有する相手として、介護サービス事業者等が追加されています。前述の「介護支援連携指導料」等とは併算定できないため、大腿頸部骨折(手術した場合)と脳卒中は「地域連携診療計画管理料」で算定し、それ以外を「介護支援連携指導料」で算定するという形になりました。いずれも、入院中からケアマネジャーや介護事業者との連携をつくり、退院後の生活を支えていく仕組みです。

従来の「地域連携診療計画退院時指導料」が「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)」となり、退院後の治療を行う医療機関や介護サービス事業者に診療情報を文書で提供した場合の「地域連携診療計画退院計画加算」が新設されました。

また、「地域連携診療計画退院時指導料(Ⅱ)」が新設されました。これは、地域連携パス(注1)で患者の受け入れ側になる医療機関(診療所や200床未満の病院)の役割を評価するもので、地域連携パスを作成した病院に日常生活機能評価(注2)等を記載した文書を提供し、計画通りに推移しているかどうか、退院後の状態を報告するといった仕組みが作られました。

注1:地域連携パス
脳卒中や大腿骨頚部骨折の術後などに対して急性期・慢性期治療、退院後の患者の流れを定めたもの。工事の工程表のイメージで考えるとわかりやすい。

注2:日常生活機能評価
寝返りや起き上がり、食事摂取、衣服の着脱などの生活自立度を13項目で評価するもの。