第1004回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(10)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年10月21日付(第1794号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その6)の前半です。

06年改定では医療機関の連携の推進を目的に、地域連携診療計画管理料 地域連携診療計画管理料退院指導料が創設されました。

重複になりますが、06年の改定では、入院から速やかに在宅に移るための仕組みとして、大腿骨頚部骨折患者で骨接合術や人工骨頭置換術等を実施している患者を対象に「地域連携診療計画管理料(入院時)」1500点と、「地域連携診療計画退院時指導料(退院時)」1500点が新設されました。

入院時に算定するための条件は、平均在院日数17日以内の急性期病院で、退院後の連携を持つ病院は複数でないといけない、など限られた特定の医療機関同士での患者のやり取りは認めない、という縛りがあります。つまり、幅広く多くの地域の医療機関との連携をしなさいという訳です。

また、退院時に算定するためには、連携医療機関間で、地域連携パスに係る情報交換ための会合を定期的に開催、診療情報の共有が適切に行われているなどの条件があります。日常的に地域の医療機関同士で連携を持つことが必要だということです。

全国調査でも、該当病院では、大腿頸部骨折で入院した患者の泥亀在院日数は、05年度が38.2 日、06年度は33.0 日と5.2 日短縮されていました。この方式に効果があったということでしょう。08年からは対象疾患として脳卒中が追加されますが、対象患者が大幅に増えると予想されることから、点数は、入院時の計画料が1500点から900点に、退院時の指導料が1500点から600点に、大幅に引き下げられました。

脳卒中が対象に加えられるとともに、医療法第30条の4に基づく「医療計画」に記載されている病院または有床診療所と条件が付けられました。

「医療計画」とは、1985年の第一次医療法改正時に導入されたもので、都道府県が医療提供体制の確保を図るために定める行政計画のことです。この計画制度は、1985年の第一次医療法改正によってはじめて導入されたもので、18年度からは第7次医療計画がスタートしています。