第1003回:医療機関の立場からも消費税増税は中止すべきです

消費税増税をこのまま許すのか、ということが大きな問題となっています。医療は非課税ということになっており、医療機関が医療に係る仕入れ(薬剤など)は、診療報酬で補てんされているということになっています。

これまで、医療機関が負担する消費税が診療報酬で十分補てんされていないのではないかという主張に対して、厚労省は診療報酬で補てんされていると説明してきました。

15年12月2日に開催された第316回中医協(中央社会保険医療協議会)で、「消費税率8%への引上げに伴う 補てん状況の把握結果について」という報告が行われました。内容は

・医療機関等全体で見た補てん差額は+54億円、補てん率は102.07%であった。

・病院、一般診療所、歯科診療所の補てん率は100%を上回った一方で、保険薬局の補てん率は100%を下回った。

・病院全体としての補てん率は100%を上回った一方で、特定機能病院やこども病院の補てん率は100%を下回った。

というものでした。

しかし、18年7月25日に開催された、中医協専門組織の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、この報告が誤りであったことが明らかとなり、9月26日に開催された第399回中医協総会で報告されました。

誤りの原因は「DPC病院の包括部分の補てん状況の把握に不正確な点があった」「DPCレセプトでは、月跨ぎの入院について、該当月以前の入院日数も記録されるため」入院日数を過剰に計算したため、と説明しました。

その結果、再度調査をしたところ、病院では補てん率は85.0%など、診療報酬では正確には補てんされていないことが明らかとなりました。

消費税を引き上げた際に診療報酬を引き上げることは、患者に負担を強いることになります。消費税増税を中止するとともに、医療機関が被っている過剰な負担を解決すべきです。