第998回:19年予算を考える

香川県保険医協会報2018年9月号の「主張」欄に、来年度予算方針に関する内容を掲載しました。転載します。

7月10日に開かれた閣議で、「平成31年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」という方針が閣議了解されました。基本的な方向性として「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)に示された「新経済・財政再生計画」に基づき取り込むことが記されています。

社会保障に関連する分野として「年金・医療等に係る経費」については、前年度当初予算に高齢化等に伴う、自然増として6,000億円を加算した額、としていますが、一方で「これまでの改革等の効果を引き続き適切に見込む」ということで、実質削減する方針が明確になっています。

各種審議会の議論によれば、「後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する」として、具体的には、後期高齢者の窓口負担を原則2割とする、かかりつけ医以外の外来を受診した場合の「受診時定額負担」制度を導入する、薬剤費の自己負担を引き上げるなどです。

一方、義務的経費として、防衛関係費及び国家機関費は、そのままとすることになっています。

2018年度予算は、防衛費が5兆1911億円と過去最大となり、前年度当初予算と比べ1.3%増でした。来年度はさらに膨張し5兆3千億円に膨れ上がる可能性が指摘されています。

第2次安倍政権後、米国の武器輸出制度である「対外有償軍事援助」(FMS)に基づく米国製武器の購入が急増。13年度の589億円から、18年度には4,102億円と7倍に拡大しています。

また、在日米軍再編経費も、辺野古の米軍新基地建設費の積み増しで13年度の656億円から、18年度は2,161億円と約3.3倍に増加しています。

これらの軍事費の拡大は、あまりに高額すぎるため単年度予算では賄えないため、「後年度負担」として、将来へのつけ回しになることです。

これが「義務的経費」の一部となっています。

「義務」というなら、日本国憲法25条に定めた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障した社会保障を中心とした予算編成を行うべきではないでしょうか。