第993回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(8)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年8月19日付(第1788号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その4)、の後半部分です。

16年10月の医療施設調査によれば、(地域医療支援病院は)全国で543病院が指定を受けていますが、344ある二次医療圏のうち、111(32%)が空白となっています。

20年経っても3分の2しかないという言い方もありますが、人口密集地ではそれなりに役割を果たしているともいえます。

さて、00年の診療報酬改定で、200床以上で紹介率30%以上の病院の入院患者に対して「紹介外来患者加算」が設定されたため、多くの病院で患者紹介をしやすくし、退院後の逆紹介をスムーズに行うために、病院に「地域連携室」が設置されるようになりました。

00年の報酬改定では、患者紹介に関わる項目として、「急性期入院加算」、「急性期特定入院加算」が設けられました。この二つの加算は、「急性期医療の実施体制や地域との連携体制の指標」として紹介率30%以上と、平均在院日数が17日以内、診療録管理体制などを要件としたものでした。

患者紹介について、地域での医療連携を進める事より、加算を取得し経営面でのメリットを求める動機が、地域連携室活動の後押しになっていたのは間違いありません。多くの病院がさまざまな会合を開き地域の診療所に声をかけ、「連携」がキーワードになった時代でした。

ところが、06年の診療報酬改定は、3年連続のマイナス改定で、過去最大の下げ幅のマイナス3.16%でしたが、それだけでは済まない、「紹介率関連の加算廃止」が行われました。

いったい何のための地域連携だったのか、という気もしますが、ある意味では地域連携をするのは当たり前、医療機関はそれぞれ地域の中での役割を明確にしなさい、というメッセージだったのだと思います。今では、どこの医療機関も「地域の中でのポジショニング」を模索しています。

2006年は、医療体制をドラスティックに変えていく、ターニングポイントの年だったと言えます。