第986回:診療報酬にみる「入院から在宅へ」の流れ(5)

地方政治新聞「民主香川」に、「全世代直撃の社会保障改悪」というタイトルで、社会保障関連の内容の連載をしています。2018年7月15日(第1785号)に掲載した、「入院から在宅へ」の流れを考える(その3)、の前半部分です。

入院から在宅ヘの流れを作るための仕組みとして、06年から「在宅療養支援診療所」(以下、支援診)の創設、08年から「在宅療養支援病院」(以下、支援病)が創設されます。

支援診は、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置し、連絡先を文書で患家に提供する、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保する(他院との連携含む)、24時間訪問看護の提供が可能な体制を確保する、他の保険医療機関内において、在宅療養患者の緊急入院を受け入れる体制を確保する、というのが条件でした。

制度開始時点で届け出た医療機関は9,434(06年7月)でしたが、9年間で14,562(15年7月)と、1.5倍にしか広がっていません。

支援病は、原則200床未満の病院であること、当該病院において、緊急時に在宅患者が入院できる病床を常に確保していること、往診を担当する医師は病院の当直医とは別であること、その他は支援診と同様の条件で始まりました。

こちらは、331(08年7月)から1,074(15年7月)に、7年間で3.2倍に広がりました。とはいっても、1.5万近い支援診に対して対応する病院が千程度では、入院時に大変な苦労を強いられるのが実態です。

そこで、在宅患者の緊急時の対応ができるように、14年改定時に、200床以上の病院を対象に在宅療養後方支援病院(以下、在後病)の制度が新設されました。当該病院を緊急時に入院を希望する病院としてあらかじめ当該病院に届け出ている患者について緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れること、入院希望患者に対して在宅医療を提供している医療機関と連携し、3月に1回以上、診療情報の交換をしていることが、条件です。